米国で、慢性疾患を持つ成人のホームレスの入院患者に対し、退院後に住居を提供することで、その後の再入院やER利用がそれぞれ2割以上減少することがわかった。米国Stroger Hospital of Cook CountyのLaura S. Sadowski氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年5月6日号で発表されている。慢性疾患を持つ成人のホームレスは、病院のERなど、高額医療サービスの利用頻度が高いことは、過去の調査で判明していた。
18歳以上のホームレス405人を調査
同氏らは、2003~2007年にかけて、18歳以上の慢性疾患を持つホームレス、合わせて405人を対象に調査を行った。被験者の78%が男性、また78%がアフリカ系米国人で、住居がない状態の期間の中央値は30ヵ月だった。
被験者は2群に分けられ、一方には退院時に仮住まいを、その後長期的に住むことができる住居を提供した。もう一方の対照群には、退院時に従来のソーシャルワーカーによる退院後プランが提供されただけだった。
入院率と入院日数は29%、ER利用は24%削減
試験開始後18ヵ月で、被験者の73%に、1回以上の入院またはERの利用があった。
両群を比較すると、補正前では、住居提供群が対照群に比べ、年間入院率は0.5/人(95%信頼区間:-1.2~0.2)、入院日数は平均2.7日(-5.6~0.2)、ERの利用は1.2/人(-2.4~0.03)、それぞれ減少していた。
補正後には、住居提供群が対照群に比べ、入院率は29%(10~44)、入院日数は29%(8~45)、ER利用は24%(3~40)、それぞれ減少した。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)