心臓死後の臓器提供に関して、調査を行った米国小児病院のおよそ7割で、独自の方針が整備されているものの、その内容にはかなりのばらつきがあることがわかった。また2割の病院では、調査時点で同方針を整備中だった。米国Utah大学小児科学部のArmand H. Matheny Antommaria氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年5月13日号で発表した。
回答を得た施設の72%で整備、方針がなく整備中でもないのは7%
同氏らは、全米小児病院の組織であるNational Association of Children’s Hospitals and Related Institutions(NACHRI)に所属する医療機関で、移植ネットワークUNOSの移植センターとして登録されている124ヵ所の医療機関を対象に、調査を行った。
そのうち回答が得られた105ヵ所の医療機関の72%(95%信頼区間:64%~82%)にあたる76施設で、心臓死後の臓器提供に関する独自の方針を整備していた。また、方針を整備中だったのは19%(12%~28%)にあたる20施設、方針がなく整備中でもなかったのは7%(3%~14%)の7施設だった。
84%が心臓死の基準を明示
73施設の独自方針の内容について見てみたところ、死亡を決定するための基準や検査について特定していたのは、84%(73%~91%)の61施設だった。
また4施設の独自方針では、心臓死から臓器摘出までの待機時間について、ガイドラインで定めた2分以上5分未満とは異なる設定を行っており、1施設では待機時間を2分未満、3施設では5分超にしていた。
さらに64施設では、死亡決定に関して移植チームを排除し、37施設では死亡前管理への同チームの関与を禁止していた。
生命維持治療を中止する場所についての記述があったのは68施設で、そのうち37施設では手術室を指定していたが、3施設では集中治療室(ICU)を指定していた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)