女性の主要な死因である子宮頸癌の主な原因にヒトパピローマウイルス(HPV)がある。HPV検査に基づく子宮頸癌スクリーニングは、グレード2や3といった高度の頸部上皮内異常増殖の検出感度を高めるが、それは過剰診断なのか、あるいはグレードが高い頸部上皮異常増殖および子宮頸癌の予防に寄与するものなのか、明らかとはなっていない。
ランド大学(スウェーデン)Malmo大学病院のPontus Naucler氏らは、縦断的なコホート研究では、HPV検査と細胞学的検査であるパパニコロー(Pap)検査とを合わせて行うほうがより検出感度が高いと報告されていること、米国ではHPV検査はPap検査の補助的手段と位置付けられているといったことを踏まえ、HPV検査+Pap検査群とPap検査単独群との比較を行った。NEJM誌10月18日号より。
HPV+Pap検査とPap検査単独を比較
対象は、スウェーデンのスクリーニングプログラム対象である32~38歳の女性12,527例。HPV+Pap検査群とPap検査単独群(対照群)に1:1となるようランダムに割り付けられた。
HPV検査でポジティブだがPap検査は正常だった女性は、少なくとも1年以上後に2回目のHPV検査が実施された。そして、同じハイリスク型HPVが持続感染していることが判明した場合は、コルポスコピーと頸部生検が行われた。
同等数を対照群からランダムに選び、パパニコラウスミアとコルポスコピーの生検を二重盲検にて行った。
追跡調査期間は平均4.1年。登録時とその後のスクリーニング検査で発見された、グレード2または3の頸部上皮内癌の相対的割合が評価された。
早期の癌発見に結びつく
登録時に、HPV+Pap検査群でグレード2または3の頸部上皮内癌の病変が認められたのは51%で、対照群での割合より高かった。
しかしその後のスクリーニング検査時に、グレード2または3の病変または癌を有するとわかったHPV+Pap検査群の女性の比率は42%、グレード3の病変または癌がわかった比率は47%、いずれの値も対照群の割合より低かった。
HPV持続感染が認められた女性は、コルポスコピー生検後もグレード2または3の病変または癌のリスクは高いままだった。
以上のことからNaucler氏らは、30代半ばの女性へのHPV+Pap検査は、過剰診断ではなく高リスクの病変や癌予防に寄与するものだと結論づけている。
(朝田哲明:医療ライター)