米国ハーバード医科大学/ブリガム&ウィメンズ病院エイジング部門のLuc Djousse氏らは、男性において、改善可能な生活習慣によって心不全生涯リスクを低下できるかどうか調査を行った。心不全生涯リスクについては、40歳時点で男女を問わず約5人に1人に起き得ると報告されているが、改善可能な生活習慣と40歳以後の心不全リスクとの関連は明らかになっていない。JAMA誌2009年7月22・29日合併号より。
男性20,900例の、6つの生活習慣と心不全生涯リスクとの関連を前向きに評価
Djousse氏らは、「Physicians’Health Study I」(1982~2008)の参加者で、基線で健康だった男性20,900例を対象とする前向きコホート研究を行った。6つの改善可能な生活習慣(体重、喫煙、運動、飲酒、朝食時のシリアル摂取、果物と野菜の摂取)と、心不全の生涯リスクとの関連を評価した。
対象コホート40歳時リスク13.8%、4つ以上の習慣を守った人は10.1%に低下
平均追跡期間22.4年の間に、1,200例が心不全を呈した。
40歳時の全体の心不全生涯リスクは、13.8%だった。70歳までに心不全を呈さなかった人の心不全生涯リスクは安定的で、80歳時では
10.6%だった。
高血圧の有無で見ると、高血圧の人のほうが40・50・60・70・80歳時いずれの時点でも心不全生涯リスクが高かった。
健康的な生活様式習慣(正常体重、非喫煙、定期的な運動、適度な飲酒、朝食時のシリアル摂取、果物と野菜の摂取)は、残りの心不全生涯リスク低下と関連していた。これら習慣を1つも堅守できなかった人のリスクは最も高まり、21.2%だった。4つ以上堅守できた人は、リスクが10.1%に低下していた。
Djousse氏は「健康的な生活習慣を固持することは、心不全生涯リスクの低下と関連する」と結論している。
(朝田哲明:医療ライター)