高齢者のセルフネグレクトあるいは虐待は死亡率を有意に増大

提供元:ケアネット

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公開日:2009/08/18

 



セルフネグレクト(自己放任)や他者からの虐待が認められた高齢者は、死亡率が、そうでない人に比べ有意に増大するという。セルフネグレクトの場合には、1年以内の死亡率がおよそ6倍に増大していた。米国Rush大学のXinQi Dong氏らが、9,000人超の高齢者について、前向きに調査をして明らかにしたもので、JAMA誌2009年8月5日号で発表した。高齢者のセルフネグレクトあるいは他者による虐待は大きな問題となっているが、死亡率との関連を調べた研究は珍しいという。

65歳以上の9,318人を、中央値6.9年で追跡




Dong氏らは1993~2005年にかけて、シカゴ地域に住む65歳以上の高齢者、9,318人について調査を行った。そのうち、セルフネグレクトが報告されたのは1,544人、虐待は113人だった。

追跡期間の中央値は6.9年(四分位範囲7.4年)で、その間に死亡した人は4,306人だった。

セルフネグレクトの1年死亡率は5.8倍、虐待の総死亡率は1.39倍に




セルフネグレクトを報告した高齢者の1年死亡率は、270.36/100人年、1年以降死亡率は9.46/100人年だった。一方、セルフネグレクトの報告のなかった高齢者の死亡率は、5.01/100人・年だった。

セルフネグレクトを報告した高齢者は、そうでない人に比べ、1年以内の死亡に関するハザード比が5.82(95%信頼区間:5.20~6.51)だった。1年以降の死亡に関する同ハザード比は、1.88(同:1.67~2.14)と、1年以内より低下はするが依然として有意に高かった。なかでも、白人(補正後ハザード比:1.63)、男性(補正後ハザード比:1.72)の死亡率が高率だった。

一方、虐待の報告された高齢者の死亡に関するハザード比は、1.39(同:1.07~1.84)だった。

なお、セルフネグレクトや虐待による死亡率の増大は、認知能力や身体機能レベルの低いグループ以外でも認められた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)