国連ミレニアム開発目標を達成するための効果的な介入方法

提供元:ケアネット

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公開日:2007/11/06

 

国連ミレニアム開発目標(MDGs)は、世界的に重大な貧困、健康および持続的な諸問題に関して具体的目標を立て2015年までに達成するというものである。しかし現状では目標日時までの達成は非常に難しいことがわかってきており、目標達成のための計画および資源配分を効果的に行い、1つの介入で複数のMDG達成に寄与できないかが検討課題となっている。
 ハーバード大学(アメリカ)Initiative for Global HealthのEmmanuela Gakidou氏らは、環境および栄養改善を目標とするMDGsへの介入の、乳幼児死亡率低下への寄与、および介入対象が置かれている経済状況によっての差異などを調査し、より有効な介入のあり方について検討を行った。JAMA誌10月24日号掲載の報告から。

環境・栄養改善介入の影響を乳幼児死亡率の低下で比較検証




栄養改善を目標とするMDGでは小児栄養の改善を掲げており、環境改善を目標とするMDGはクリーンな水・衛生環境・燃料を提供するというものである。

小児栄養および環境に関するリスク因子に対する介入の影響を、経済状況によって5段階に階層化したモデル集団の乳幼児死亡率をを比較することで評価を行った。

経済状況、小児低体重、水・衛生・家庭用燃料に関するデータは、ラテンアメリカおよびカリブ海、南アジアとサハラ以南のアフリカ42カ国を対象として統計されたDemographic Health Surveysを参照。疾患特有の乳幼児死亡率に関するデータは、WHOのものを参照した。その他MDGに関するリスク因子の各データは、システマティックレビューおよびメタ解析による疫学研究を参照した。

貧困層からの介入で改善率はさらにアップする




5歳未満のすべての小児を対象に実行した小児栄養の改善、クリーンな水・衛生環境・家庭用燃料の提供は、ラテンアメリカとカリブ海地域で49,700人(14%)、南アジアでは80万人(24%)、サハラ以南のアフリカでは147万人(31%)の小児死亡の年次低下をもたらすことが推定された。これらは、乳幼児死亡率のMDGにおける低下目標値と現状格差との30~48%に相当する。

MDGs全体で想定した場合、同様の環境・栄養改善の介入の半分の範囲を、もし最初に貧困層から行いやや裕福な層へと展開していった場合、乳幼児死亡率は前述の各地域でそれぞれ26,900人、51万、102万となると推定された。反対に裕福な世帯から行った場合は、これらの期待値は貧困層から行った場合の30%~75%に留まる。

Gakidou氏らは、MDGs全体を想定しての環境・栄養改善の介入が、実質的に乳幼児死亡率を目標とするMDGにも寄与する。統合的な介入マネジメントを、貧困層を優先して行うことで、その効果は最大のものにできると結論付けた。

(武藤まき:医療ライター)