四価HPVワクチン、市販後調査で失神と静脈血栓塞栓症が他種ワクチンより高率

提供元:ケアネット

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公開日:2009/09/01

 



米国で四価ヒトパピローマウイルス組換えワクチン(qHPV)の市販後調査で、ワクチン投与後の有害事象発生率について2年半の調査の結果、失神と静脈血栓塞栓症の発生率が、他のワクチン投与後と比べ高率であることが明らかになった。米国疾病予防対策センター(CDC)のBarbara A. Slade氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。米国食品医薬品局(FDA)は2006年6月にqHPVを承認、その後CDCの予防接種に関する委員会Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)では、女児の11~12歳に対する投与と、13~26歳の追加投与を勧告している。

2年半で1万2,000件超の有害事象報告、うち772件が重度




Slade氏ら研究グループでは、予防接種後の有害事象に関する、任意で報告を受動的に受け取る全米調査システム、「US Vaccine Adverse Event Reporting System」(VAERS)をもとに調査を行った。それによると、2006年6月から2008年末までに、1万2,424件の接種後有害事象の報告が寄せられていた。

全報告件数の6.2%に当たる772件が重度有害事象で、うち32件が死亡だった。有害事象の症状別の報告率は、10万qHPV接種当たり、失神が8.2件、局所反応が7.5件、めまいが6.8件、吐き気が5.0件、頭痛が4.1件、過敏反応が3.1件、蕁麻疹が2.6件、静脈血栓塞栓症、自己免疫障害、ギラン・バレー症候群は各0.2件、アナフィラキシーと死亡が各0.1件などだった。

失神と静脈血栓塞栓症は、承認前データと比べても高率




このうち、ほとんどの有害事象発生率は、他種のワクチンの有害事象発生率と同等だったが、失神と静脈血栓塞栓症については、他種ワクチンと比べて発生率が高率で、また承認前のデータと比べても高率だった。

なおこれら所見について同研究グループは、VAERSは受動的な報告をもとにしているため、過小報告の可能性もぬぐえないことについても言及している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)