レミフェンタニルの使用は脳腫瘍切除または直腸がんの術後早期アウトカムに影響するか?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/20

 

 レミフェンタニル(商品名:アルチバ)は脳神経外科麻酔にとって重要な特徴があるが、術後回復と死亡率に及ぼす影響に関するデータが不足している。そこで、東京大学の内田氏らは、2007年のDPCデータを用いて、術後の院内死亡率や入院期間に対するレミフェンタニルの効果を検討した結果を、Journal of anesthesia誌オンライン版に5月4日に報告した。

 対象は、レミフェンタニルまたはフェンタニル(商品名:フェンタニルなど)を使用し全身麻酔下で開頭脳腫瘍切除を受けた患者で、レミフェンタニル群と非レミフェンタニル群に分け、潜在的交絡因子に対する傾向スコアマッチングの後、2群間の院内死亡率と術後入院期間を比較した。比較対象として、硬膜外麻酔を伴う全身麻酔下で直腸がん手術を受けた患者を同じエンドポイントで評価した。

 この比較検討により、開頭神経外科手術を受けている患者にとって、レミフェンタニルの投与がより良好な早期術後回復に寄与する可能性が示唆された。

 主な結果は以下のとおり。

・脳腫瘍切除(936対)を受けた患者において、レミフェンタニル群は非レミフェンタニル群に対し、有意に低い院内死亡率を示した(1.5% vs 3.0%、p=0.029)。
・ロジスティック回帰分析で、院内死亡率とレミフェンタニルのオッズ比は0.47であった(95%信頼区間:0.25~0.91、 p=0.025)。
・レミフェンタニル群は非レミフェンタニル群と比較し、退院も早かった(入院期間の中央値 17日 vs 19日、ハザード比:1.19、95%信頼区間:1.08~1.30、 p<0.001)。
・対照的に、直腸がん手術を受けている2,756対の患者においては院内死亡率、在院日数の中央値ともにレミフェンタニル群、非レミフェンタニル群間で有意差はみられなかった。院内死亡率(1.2% vs 1.3%、p=0.518)、在院日数の中央値(19日vs 19日、p=0.148)。

(ケアネット 有田 衣里)