韓国・ソウル大学ブンダン病院のYoung Jin Lee氏らは、開頭術後のけいれん予防として投与したレベチラセタムの有効性と安全性について、バルプロ酸と比較検討した。その結果、発作アウトカムは両薬剤で同程度であるが、レベチラセタムはバルプロ酸に比べ長期合併症の発現が少なく、副作用による薬剤変更やその他の抗けいれん薬の追加投与が少ないことを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年8月7日号の掲載報告。
脳腫瘍術後のけいれん発作はレベチラセタム群7.8%、バルプロ酸群6.5%
脳腫瘍手術後のけいれん予防を目的に、抗てんかん薬が周術期に広く用いられており、第二世代の抗てんかん薬であるレベチラセタムへの関心が高まっている。本研究は後ろ向きカルテレビューにより、テント上脳腫瘍に対する開頭術後のけいれん予防として投与したレベチラセタムの発作アウトカム、副作用、忍容性をバルプロ酸と比較検討した。対象は、2009~2012年の間に、ソウル大学ブンダン病院においてテント上脳腫瘍に対する開頭術が施行された連続症例282例であった。術前にレベチラセタムを服用していた患者は51例(18.1%)、バルプロ酸を服用していた患者は231例(81.9%)であった。両薬剤による術後の発作アウトカム(術後1ヵ月以内)および長期副作用を評価した。
脳腫瘍術後のけいれん予防として投与したレベチラセタムをバルプロ酸と比較検討した主な結果は以下のとおり。
・レベチラセタム群の51例中4例(7.8%)、バルプロ酸群の231例中15例(6.5%)で脳腫瘍術後にけいれん発作が認められた(p=0.728)。
・バルプロ酸群における長期合併症の発生率(26.8%、62/231例)は、レベチラセタム群(9.8%、5/51例)に比べ有意に高かった(p=0.010)。
・バルプロ酸群では、肝毒性が10例、高アンモニア血症が20例、血液学的異常が10例(血小板減少6例、汎血球減少3例、白血球減少1例)に発現した。さらに、バルプロ酸群の89例(38.5%)は、副作用または発作のコントロール不良により薬剤変更またはその他の抗けいれん薬が追加された。
・一方、レベチラセタム群で薬剤変更またはその他の抗けいれん薬が追加された症例はわずか9例(17.6%)であった(p=0.005)。
・術後のけいれん発作コントロール率においてレベチラセタム群とバルプロ酸群の間で有意差はなかったが、安全性と忍容性においてはレベチラセタムのほうが優れている可能性がある。
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