肥満は、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む多くの悪性腫瘍による死亡リスクを増加させる。しかし、NHLのなかで最も多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」(DLBCL)において、診断時のbody mass index(BMI)と生存率との関連は不明である。
今回、ワシントン大学のKenneth R. Carson氏らは、米国退役軍人におけるレトロスペクティブ・コホート研究により、DLBCL診断時に過体重や肥満であった患者のほうが正常体重の患者より死亡率が低かったと報告した。Journal of Clinical Oncology誌2012年9月10日号に掲載。
著者らは、1998年10月1日から2008年12月31日までにDLBCLと診断された米国退役軍人2,534例について、診断時のBMIと全生存率との関連を評価した。なお、Coxモデルを用いて患者や疾患関連の予後因子の調整を行った。
主な結果は以下のとおり。
・診断時の平均年齢は68歳(範囲:20~100歳)であった。
・患者の64%が過体重(BMI:25以上30未満)もしくは肥満(BMI:30以上)であった。
・肥満患者は、他のBMIのグループと比較して、年齢は有意に若く、B症状は有意に少なく、Stageは低い傾向があった。
・Cox分析によると、正常体重の患者(BMI:18.5以上25未満)と比較して、過体重や肥満患者では死亡率が低かった(過体重:ハザード比[HR] 0.73、95%信頼区間[CI] 0.65~0.83、肥満:HR 0.68、95%CI 0.58~0.80)。
・“リツキシマブ時代”(2002年2月1日以降)に死亡リスクは減少した。しかしながら、この減少はBMIと生存率との関連性には影響しなかった。
・患者の29%で疾患関連の体重減少がみられた(診断前1年間の体重データより)。
(ケアネット 金沢 浩子)