若年者への抗精神病薬投与、2型糖尿病リスクが3倍に 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/09/03 抗精神病薬を処方された小児および若年者の2型糖尿病リスクは、その他の向精神薬の使用者に比べ3倍高く、用量依存的にリスクが高まることが、米国・ヴァンダービルト大学のWilliam V. Bobo氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年8月21日号の掲載報告。 小児および若年者への抗精神病薬の処方が増加しているが、それが2型糖尿病のリスクを高めるのではないかとの懸念が強まっている。Bobo氏らは、抗精神病薬による治療を最近開始した6~24歳の小児および若年者の2型糖尿病リスクを、患者背景をマッチさせたコントロール(別の向精神薬による治療を開始)と比較することを目的に、後ろ向きコホート研究を実施した。対象はTennessee Medicaid programに参加した患者で、内訳は抗精神病薬を開始した患者が2万8,858例、コントロールが1万4,429例であった。糖尿病あるいは統合失調症と診断されたことのある例、認識している治療が抗精神病薬のみであった例は除外した。主要アウトカムは、診断および糖尿病治療薬の処方に基づき、観察期間中に新規に確認された糖尿病とした。 主な結果は以下のとおり。 ・抗精神病薬使用者は、2型糖尿病のリスクが3倍高く(HR :3.03、95%CI:1.73~5.32)、観察開始後1年以内のリスクが顕著であった(同:2.49、1.27~4.88)。 ・抗精神病薬の累積投与量(クロルプロマジン換算)に伴い2型糖尿病リスクは上昇し、投与量5g以上におけるハザード比は2.13(95%CI:1.06~4.27)、5~99gでは3.42(同:1.88~6.24)、100g以上では5.43(同:2.34~12.61)であった(p<0.04)。 ・抗精神病薬の投与中止後も、リスクは1年間にわたり上昇し続けた(HR:2.57、95%CI:1.34~4.91)。 ・コホートを6~17歳の小児に限定すると、抗精神病薬使用者の2型糖尿病リスクは3倍を超え(HR:3.14、95%CI:1.50~6.56)、累積投与量の増加に伴いリスクの有意な上昇が認められた(p<0.03)。 ・2型糖尿病リスクの増大には、非定型抗精神病薬の使用(HR:2.89、95%CI:1.64~5.10)、リスペリドンの使用(同: 2.20、1.14~4.26)が関連していた。 関連医療ニュース 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク (ケアネット) 原著論文はこちら Bobo WV et al. JAMA Psychiatry. 2013 Aug 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21)