軽症から中等症のCOPD患者において、咳と痰の両方があると死亡リスクが高まることが、ジョンズ・ホプキンス大学のNirupama Putcha氏らにより報告された。また、これら2つの症状がある場合、呼吸器疾患による死亡も多くなることもわかった。Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease誌オンライン版2013年10月15日の掲載報告。
COPD患者において咳と痰は一般的な症状である。過去の研究では、これらの症状と全死亡や肺機能との関係については意見が分かれていた。そこでCOPD患者における咳や痰が全死亡や呼吸機能にどのような影響を与えるのか検証した。
対象は肺健康調査のデータから、軽症から中等症の気流制限が認められた5,887人の喫煙者とした。各症状群(咳のみ、痰のみ、咳と痰の両方)のベースラインと、12.5年間の全死亡と呼吸機能の経年変化との関係を調べた。平均年齢は48.5(±6.8)歳で、63%が男性、4%がアフリカ系のアメリカ人であった。「咳のみ」群は17%、「痰のみ」群は12%、「咳と痰の両方」群は31%であった。
主な結果は以下のとおり。
・「咳のみ」群、「痰のみ」群では、全死亡との関連は認められなかった。
・「咳と痰の両方」群では、年齢、性別、人種、5年間の喫煙状況、pack yearを指標とした喫煙歴、無作為化グループ間、予測1秒率のベースラインでの補正後も、全死亡のリスク上昇が認められた(ハザード比:1.27、95% Cl:1.02~1.59) 。
・「咳と痰の両方」群は、これらの症状がない群に比べ、呼吸器疾患による死亡が多いことがわかった。
・「咳と痰の両方」群はFEV1(一秒量)のベースラインより48mL低かったが(95% Cl:-90~-6)、「咳のみ」群および「痰のみ」群では、ベースラインとの差は認められなかった。
今回の研究結果は、有害事象が起こるリスクがより高いCOPD患者の集団を見極める一助となるであろう。
(ケアネット 鎌滝真次)