乳がん患者における能動喫煙と死亡リスクとの関連について、これまでの報告は一貫していない。宮城県立がんセンターの角川 陽一郎氏らは、女性の乳がん患者において、能動喫煙および受動喫煙と全死因死亡および乳がん特異的死亡リスクとの関連を、閉経状況およびエストロゲン受容体/プロゲステロン受容体(ER / PR)の状態別に検討した。その結果、長期間の能動喫煙は、閉経前の、おそらくホルモン受容体陽性乳がん患者における、全死因死亡および乳がん特異的死亡リスクの増加と関連することが示唆された。著者らは、「乳がん患者は禁煙の重要性を知らされるべき」としている。Cancer science誌オンライン版2015年6月6日号に掲載。
本研究では、1997~2007年に国内の1つの病院に入院した848例の患者を調査した。能動・受動喫煙の状況は自己管理質問票を用いて評価し、2010年12月31日まで観察した。ハザード比(HR)はCox比例ハザードモデルを用いて推定した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は6.7年で、その間に全死因死亡170例、乳がん特異的死亡132例が観察された。
・閉経前患者において、現喫煙者の全死因死亡と乳がん特異的死亡のリスクが高かったが、有意ではなかった。
・閉経前患者において、21.5年超の喫煙が、全死因死亡(HR 3.09、95%CI:1.17~8.20)および乳がん特異的死亡(HR 3.35、95%CI:1.22~9.23、傾向のp=0.035)と正の相関を示した。
・ER+もしくはPR+の閉経前患者では、喫煙期間の長さが全死因死亡および乳がん特異的死亡リスク増加と関連するという示唆もあった。
・受動喫煙については、有意なリスクは示されなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)