子どもは食べる速度が速いと肥満のリスクが有意に高まるという研究結果が、東京大学 村上健太郎氏らにより示された。
Journal of Nutritional Science and Vitaminology誌 2012年58巻4号掲載の報告。
沖縄県那覇市の小学校35校、中学校17校の生徒と名護市の小学校17校、中学校8校の生徒を対象に、子供の食べる速度と肥満の関連性について横断的研究が行われた(Ryukyus child health study)。
調査期間は2004年9月から2005年1月。
6~11歳の男女15,974人(男児7,956人、女児8,018人)、12~15歳の男女8,202人(男子3,944人、女子4,258人)が登録された。
自己申告による食べる速度に応じて、5群(食べる速度がとても遅い群、比較的遅い群、普通、比較的速い群、非常に速い群)に分けられた。
BMIは自己申告された体重と身長から算出した。
過体重の診断基準は、国際肥満タスクフォース(IOTF)のガイドラインに基づき、年齢と性別による特定のBMIカットオフ値に応じて定義した。
主な結果は以下のとおり。
・過体重は全体の13.2%であった。
・食べる速度は過体重のリスクと正の相関を認めた。タンパク質、脂肪、食物繊維の摂取量とは無関係であった。
・過体重の多変量オッズ比(95%CI)は以下のとおり(すべて傾向性のp<0.0001)。
<6~11歳男児>
食べる速度がとても遅い群:0.31 (0.20~0.49)
比較的遅い群:0.49 (0.40~0.60)
普通:1 (reference)
比較的速い群:2.81 (2.42~3.26)
非常に速い群:4.49 (3.47~5.81)
<6~11歳女児>
食べる速度がとても遅い群:0.42 (0.31~0.58)
比較的遅い群:0.49 (0.41~0.59)
普通:1(reference),
比較的速い群:2.74 (2.27~3.31)
非常に速い群:5.69 (3.75~8.63)
<12~15歳男子>
食べる速度がとても遅い群:0.13 (0.03~0.54)
比較的遅い群:0.43 (0.28~0.65)
普通:1 (reference)
比較的速い群:2.31 (1.88~2.84)
非常に速い群:3.84 (2.77~5.31)
<12~15歳女子>
食べる速度がとても遅い群:0.55 (0.30~1.01)
比較的遅い群:0.46 (0.33~0.65)
普通:1(reference)
比較的速い群:1.30 (0.99~1.71)
非常に速い群:1.49 (0.84~2.65)
(ケアネット 武田 真貴子)