婚姻状況(未婚、既婚、死別または離婚)は自殺の予測因子の一つである。東北大学の福地 成氏らは、国内の大規模な集団によるコホートを用いて(宮城県コホート研究)、自殺リスクに対する婚姻状況の影響を男女別に検討した。その結果、妻と死別または離婚した男性や未婚の男性は既婚男性より自殺のリスクが高い一方、女性ではそのような傾向はないことが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月4日号に報告。
宮城県コホート研究は、40~64歳の日本人成人を対象とした前向きコホート研究である。1990年6~8月に宮城県内の14市町村に住む4万7,604人が参加し、婚姻状況を含め、健康に関連するさまざまな生活習慣に関するアンケートを実施した。18年間のフォローアップ中、146人が自殺した。著者らは、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、婚姻状況による自殺死亡率のハザード比と95%信頼区間(95%CI)を、潜在的交絡因子を調整して推計した。
主な結果は以下のとおり。
・男性2万671人のうち、フォローアップした34万4,813人年の間に自殺により106人が死亡した。また女性は、2万1,076人のうち、36万5,524人年の間に自殺により40人が死亡した。
・男性でのみ、婚姻状況が自殺のリスクと有意に関連していた。男性における多変量調整後のハザード比は、「既婚」に対して「死別もしくは離婚」が2.84(95%CI:1.37~5.90)、「未婚」が1.56(95%CI:0.67~3.64)であった。妻と死別または離婚した男性に自殺リスクの有意な増加が認められた一方、女性にはそのような傾向は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)