喘息患者では肺血栓塞栓症のリスクが増加することが台中病院のWei-Sheng Chung氏らにより報告された。European Respiratory journal誌オンライン版2013年8月29日号の掲載報告。
これまで喘息と肺血栓塞栓症の関係についての研究はあまりなかった。このため、全国的なコホート研究により、これらの関係を検討した。
対象は一般市民の中から、2002年~2008年に新たに喘息と診断された3万1,356例と喘息のない12万5,157例をランダムに選定した(国民健康保険研究データベースを用いて、年齢、性別、指標とした年により調整)。
両群のコホートは肺血栓塞栓症の発症頻度を測定することを目的とし、2010年末までフォローアップした。喘息の有無による肺血栓塞栓症のハザード比をCox比例ハザード回帰分析により検討した。
それぞれ、18万6,182人年の喘息患者と74万3,374人年の喘息のない人々をフォローアップした。喘息患者のコホートでは、喘息のないコホートと比べて、肺血栓塞栓症のハザード比が3.24であった(年齢、性別、併存症やエストロゲンの補充により調整)。また、肺血栓塞栓症のリスクは喘息の増悪頻度や喘息による入院頻度が多い群で有意に増加することもわかった。
(ケアネット 鎌滝真次)