衝撃のISCHEMIA:安定冠動脈疾患に対する血行再建は「不要不急」なのか?(解説:中野明彦氏)-1224
安定型狭心症に対する治療戦略は1970年代頃からいろいろな構図で比較されてきた。最初はCABG vs.薬物療法、1990年代はPCI(BMS) vs.CABG、そして2000年代後半からPCI(+OMT)vs.OMT(最適な薬物療法)の議論が展開された。PCI vs.OMTの代表格がCOURAGE試験(n=2,287)1)やBARI-2D(n=2,368)、FAME2試験(n=888)である。とりわけ米国・カナダで行われ、総死亡+非致死性心筋梗塞に有意差なしの結果を伝えたCOURAGE試験のインパクトは大きく、米国ではその後の適性基準見直し(AUC:appropriate use criteria)や待機的PCI数減少につながった。一方COURAGEはBMS時代のデータであり、症例選択基準やPCI精度にバイアスが多いなど議論が沸騰、結局「虚血領域が広ければPCIが勝る」とのサブ解析2)が出て何となく収束した。しかしこの仮説は後に否定され3)、本試験15年後のfollow-up4)も結論に変化はなかった。