放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針

 本邦初となる喀血診療に関する指針「喀血診療指針」が、2024年11月に日本呼吸器内視鏡学会の学会誌「気管支学」に全文掲載された。そこで、喀血ガイドライン作成ワーキンググループ座長の丹羽 崇氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 兼 喀血・肺循環・気管支鏡治療センター長)に、本指針の作成の背景やポイントなどを聞いた。  「喀血診療の現場では、長年にわたって公式な診療指針が存在せず、個々の医師が経験と知識を基に対応していたことに、大きなジレンマを感じていた」と丹羽氏は述べる。自身でカテーテル治療や内視鏡治療を行うなかで、より体系的な診療指針の必要性を実感していたところ、日本呼吸器内視鏡学会の大崎 能伸理事長(当時)より「ガイドラインを作ってみないか」と声をかけられたことから、喀血ガイドライン作成ワーキンググループが立ち上がり、作成が始まったとのことである。

限局型小細胞肺がん、CRT後のデュルバルマブ承認/AZ

 アストラゼネカは2025年3月27日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について「限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。根治的化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められない限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)を対象とした免疫療法では、本邦初の承認となる。  本承認は、LD-SCLC患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の結果に基づくものである。

HER2陽性転移乳がん、術後放射線療法でOS改善~SEERデータ

 HER2陽性転移乳がん(MBC)において、抗HER2療法の下での術後放射線療法(PORT)の役割をリアルワールドデータで検討したところ、PORTが全生存期間(OS)をさらに改善していたことがわかった。また、サブグループ解析では、局所進行(T3~4、N2~3)、Grade3、ホルモン受容体(HR)陽性、骨・内臓転移あり、乳房切除を受けた患者において、有意にベネフィットがあることが示唆された。中国・The First Affiliated Hospital of Bengbu Medical UniversityのLing-Xiao Xie氏らがBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年3月14日号で報告した。

臨床意思決定支援システム、不適切な画像診断依頼を減らせず/JAMA

 臨床意思決定支援システム(CDSS)を導入しても、大学病院における医師による不適切な画像診断依頼の数は減少しなかった。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのStijntje W. Dijk氏らが、CDSSとしての欧州放射線学会(ESR)iGuideの導入が医師の画像検査発注行動の適切性に与える影響を評価する目的で実施したクラスター無作為化臨床試験「Medical Imaging Decision And Support trial:MIDAS試験」の結果を報告した。医療画像診断が広く使用されていることを考慮すると、適切性を向上させるための介入の有効性を評価することは、医療資源と患者のアウトカムの最適化において非常に重要とされる。JAMA誌オンライン版2025年2月10日号掲載の報告。

価値ある研究だが、国による医療事情の違いへの考慮が必要(解説:野間重孝氏)

本試験では、最初の診断時に冠動脈CT血管造影(CCTA)を施行したグループにおいても、最初にCCTAが行われたが、その後のフォローアップで定期的にCCTAが使用されたわけではない。したがって、初回の診断による薬物治療や治療方針の違いが長期転帰に影響を与えた可能性はあるが、病変の進展を観察しながら治療を逐次変更していったわけではない。それでもこうした有意差が認められたことは、治療開始時に冠動脈病変を正確に把握しておくことの重要性をあらためて認識させた研究であるといえよう。これは私たちのような古手の循環器科医にとっては耳の痛い話であるが、若い人たちは「そんなことは当然では?」と思われるかもしれない。

乳がん術後マンモグラフィ、頻度を減らすことは可能か/Lancet

 乳がんの診断時年齢が50歳以上で根治手術から3年が経過し、再発のない女性では、年1回のマンモグラフィ検査に対し、2年または3年に1回の低頻度マンモグラフィ検査は、乳がん特異的生存率、無再発率、全生存率に関して非劣性であることが、英国・ウォーリック大学のJanet A. Dunn氏らが実施した「Mammo-50試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2025年2月1日号で報告された。  Mammo-50試験は、年1回のマンモグラフィ検査に対する年1回以下の低頻度マンモグラフィ検査の非劣性の評価を目的とする実践的な無作為化第III相試験であり、2014年4月~2018年9月の期間に英国の114の病院で参加者を登録した(英国国立衛生研究所[NIHR]Health Technology Assessment programmeの助成を受けた)。

安定胸痛への冠動脈CTA管理、10年後アウトカムを改善/Lancet

 安定胸痛患者に対する冠動脈CT血管造影(CCTA)による管理は、10年後も冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞の持続的な減少と関連していた。英国・エディンバラ大学のMichelle C. Williams氏らSCOT-HEART Investigatorsが、スコットランドの循環器胸痛クリニック12施設で実施した無作為化非盲検並行群間比較試験「Scottish Computed Tomography of the Heart trial:SCOT-HEART試験」の10年追跡の結果を報告した。SCOT-HEART試験についてはこれまでに、CCTA管理により5年間の冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞のリスクが約4割低下することが示されていた。著者は、「CCTAによる冠動脈アテローム性動脈硬化症の同定は、安定胸痛患者の長期的な心血管疾患予防を改善する」とまとめている。Lancet誌2025年1月25日号掲載の報告。

MRIで膵臓がんの前駆病変を検出可能か

 膵臓がんは、膵臓自体が体の奥深くに位置しているため、生命を脅かすようになる前の早期段階で検出することは難しいことから、サイレントキラーと呼ばれている。しかし、拡散テンソル画像法(DTI)と呼ばれるMRI画像技術の一種が、膵臓がんのより早期の発見に役立つ可能性のあることが新たな研究で明らかになった。シャンパリモー臨床センター(ポルトガル)の放射線科医であるCarlos Bilreiro氏らによるこの研究結果は、「Investigative Radiology」に12月13日掲載された。研究グループは、これらの結果は膵臓がんリスクがある人の早期診断につながる可能性があると述べている。

「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療GL」第2版が発刊

 日本癌治療学会編『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』が12月20日に発刊された。本書は、「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2017年版」をMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020に準拠して、7年ぶりに全面改訂された。  2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に、新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしている。また、従来の性腺毒性分類は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告を元に最新のJSCO分類として生まれ変わっている。

低リスクDCIS、積極的モニタリングvs.標準治療/JAMA

 低リスク非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する積極的モニタリング(6ヵ月ごとに乳房画像検査と身体検査を実施)は、ガイドラインに準拠した治療(手術±放射線治療)と比較して、追跡2年時点の同側乳房浸潤がんの発生率を上昇せず、積極的モニタリングの標準治療に対する非劣性が示された。米国・デューク大学のE. Shelley Hwang氏らCOMET Study Investigatorsが前向き無作為化非劣性試験「COMET試験」の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2024年12月12日号掲載の報告。  研究グループは、2017~23年にUS Alliance Cancer Cooperative Groupのクリニック試験地100ヵ所で、ホルモン受容体陽性(HR+)グレード1/2のDCISと新規診断された40歳以上の女性995例を登録して試験を行った。