呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

インフルエンザでも後遺症が起こり得る

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状、いわゆるlong COVIDでは、さまざまな症状が、数週間や数カ月間、時には何年もの間、続く可能性があることは広く知られている。こうした中、季節性インフルエンザ(以下、インフルエンザ)でも長期間にわたって症状が持続する「long Flu(ロング・フルー)」が起こり得ることが、米セントルイス・ワシントン大学の臨床疫学者Ziyad Al-Aly氏らが実施した研究で示された。詳細は、「Lancet Infectious Diseases」に12月14日掲載された。

高速道路の大気汚染は血圧を上昇させる?

 毎日の通勤で血圧を上昇させる要因は、高速道路の渋滞だけではないようだ。新たな研究で、自動車の排気ガスが乗車中の人の血圧を著しく上昇させ得ることが明らかにされた。排気ガスがもたらす血圧上昇は高塩分食摂取がもたらす影響に匹敵し、その影響は24時間続くことも示されたという。米ワシントン大学の医師で環境・職業健康科学分野教授のJoel Kaufman氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に11月28日掲載された。  この研究では、22〜45歳の正常血圧の成人16人(平均年齢29.7歳)を対象にランダム化クロスオーバー試験を行い、路上での交通関連大気汚染(traffic-related air pollution;TRAP)曝露が血圧と網膜血管系に及ぼす影響を調べた。試験参加者は、シアトル市のラッシュアワーの時間帯に、外気が車内に取り込まれる車で2日間運転を行う群と、外気の微粒子などを取り除く高性能フィルターが装備された車で1日だけ運転を行う群にランダムに割り付けられた。その後、最初に運転した車とは反対の条件の車で運転を行った。血圧は、車の運転前と運転中、および運転後最長で24時間後に、3分間隔で14回測定された。また、運転の前後に画像検査で推定網膜中心動脈径(CRAE)も測定された。

喫煙+受動喫煙で身体的フレイルのリスクがより上昇

 タバコを吸うことで身体的フレイルのリスクが有意に上昇し、受動喫煙が加わるとさらにリスクが高くなることを示すデータが、国内の地域在住高齢者を対象とする縦断研究から示された。国立長寿医療研究センター研究所老年学・社会科学研究センター老化疫学研究部の西田裕紀子氏、台中栄民総医院(台湾)の朱為民氏らの共同研究によるもので、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に10月26日掲載された。  喫煙や受動喫煙が有害であることについては、膨大な研究によって強固なエビデンスが確立されており、近年ではフレイル(要介護予備群)との関連も報告されている。ただし受動喫煙とフレイルとの関連を示した研究の大半は横断研究であり因果関係は確認されておらず、また喫煙と受動喫煙が重なった場合にフレイルリスクがどのように変化するのかは明らかにされていない。西田氏らは、同研究所による「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」のデータを用いてこれらの点を検討した。

オリゴ転移乳がん・NSCLC、SBRTは有益か?/Lancet

 体幹部定位放射線治療(SBRT)+標準ケアの全身性治療(標準治療)は標準治療単独と比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長することが示された。ただし、オリゴ転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者で、SBRT+標準治療は標準治療単独と比較してPFSを4倍以上延長し、有効性のある治療となる可能性が示された一方で、オリゴ転移のある乳がん患者ではベネフィットは観察されなかった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのChiaojung Jillian Tsai氏らによる第II相非盲検無作為化試験の結果で、著者は「さらなる検討を行い、今回示された所見を検証し、ベネフィットが異なった要因を明らかにする必要がある」とまとめている。転移のあるがん患者の多くは、最終的に全身性治療に対する耐性を獲得し、一部の患者は限定的な病勢進行(すなわちオリゴ転移)を有する。研究グループは、オリゴ転移病変を標的としたSBRTが患者アウトカムを改善可能か評価した。Lancet誌オンライン版2023年12月14日号掲載の報告。

肺がん遺伝子検査、マルチ検査の普及に課題(REVEAL)

 『肺癌診療ガイドライン−悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む−2023年版』では、進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)の場合、8種類のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、KRAS、HER2)について、遺伝子検査を行うことが推奨されている。しかし、複数遺伝子に対するコンパニオン診断機能を有するマルチ遺伝子検査は、測定のための検体が多く必要であるため患者に負担がかかる、検査結果の返却に時間を要するといった課題が指摘されている。そのため、十分に普及していない可能性が考えられている。そこで、高濱 隆幸氏(近畿大学医学部)、阪本 智宏氏(鳥取大学医学部附属病院)、松原 太一氏(北九州市立医療センター)らを中心とした研究グループは、全国29施設のNSCLC患者1,479例を対象に、遺伝子検査の実施状況を調査するREVEAL(WJOG15421L)試験を実施した。その結果、86.1%の患者が遺伝子検査を受けていたが、マルチ遺伝子検査を受けた患者は47.7%にとどまっていたことが明らかになった。本研究結果は、阪本氏らによってJAMA Network Open誌12月15日号で報告された。

精度の低いAIは臨床医の誤診を増やす?/JAMA

 臨床医の診断精度は、標準的な人口知能(AI)モデルと一般的に用いられている画像ベースのAIモデルを提供された場合は向上するが、系統的に偏ったAIモデルを提供された場合は低下し、その影響は画像ベースのAIモデルで補うことはできなかったことが、米国・ミシガン大学のSarah Jabbour氏らによる検討で示された。AIは入院患者を診断する際に臨床医の助けになる可能性があるが、AIモデルの系統的な偏りは臨床医の診断精度を悪化させる可能性が示唆されており、最近の規制ガイドラインでは、AIモデルに、モデルによる誤りを軽減するための判断根拠の説明(AI explanations)を組み込むことを求めている。しかし、この戦略の有効性は確立されていなかった。JAMA誌2023年12月19日号掲載の報告。

高齢者肺がんに対するアテゾリズマブの有用性(IMpower130・IMpower132統合解析)/ESMO Asia2023

 高齢者および腎機能が低下した非扁平非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、アテゾリズマブ+化学療法の有用性を評価した第III相試験の統合解析が示された。  肺がん患者は高齢者が多くを占めるが、高齢進行NSCLCに対する第III相臨床試験は少ない。そのような中、75歳以上のNSCLC患者におけるアテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した事後解析が、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2023)で発表された。

コロナワクチン全額公費接種を3月31日に終了/ヌバキソビッド供給終了/厚労省

 厚生労働省は12月25日、新型コロナワクチン接種体制確保事業に関する自治体向け説明会にて、2024年3月31日に新型コロナワクチンの特例臨時接種による全額公費の接種を終了することを発表した。2023年9月20日以降は、生後6ヵ月以上のすべての人を対象に、オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチンの全額公費による接種が行われていたが、2024年4月1日以降(令和6年度)から、65歳以上および重い基礎疾患のある60~64歳(インフルエンザワクチン等の接種対象者と同様)を対象に、秋冬に自治体による定期接種が行われる。特例臨時接種終了の情報提供として、リーフレットも掲載された。

次世代mRNAコロナワクチン、国内第III相で有効性・安全性を確認/Meiji Seika

 Meiji Seika ファルマは12月21日付のプレスリリースにて、同社が国内における供給・販売を担う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する次世代mRNAワクチン(レプリコンワクチン)「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)について、追加免疫国内第III相試験の結果がThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月20日号に掲載されたことを発表した。  本試験は、既存mRNAワクチンを接種済みの成人を対象とし、次世代mRNAワクチンと既存mRNAワクチンの追加接種を比較した初めての臨床試験だ。本試験の結果、ARCT-154の5μgの追加接種が、コミナティ(ファイザー製)の30μgの追加接種と比較して、武漢株(Wuhan-Hu-1)に対して非劣性を示し、オミクロン株BA.4/5株に対して優越性を示すことが認められた。

2023年、がん専門医に読まれた記事は?Doctors’Picksランキング

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」は、2023年の1年間で、がん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した(対象期間は2023年1月1日~12月19日)。  昨年まで上位に入っていた新型コロナ関連の話題はトップ10から姿を消し、国内外の臨床腫瘍に関する学会の話題や、注目の臨床試験の結果を掲載したジャーナルの紹介記事が上位にランクインしている。 【1位】第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023|CareNet.com(2/22公開)  2023年3月16~18日に開催された日本臨床腫瘍学会学術集会。2月16日に開催されたプレスセミナーで、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが注目演題を発表した。