呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:19

アレクチニブ、ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法に承認/中外

 中外製薬は2024年8月28日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対する適応追加承認を取得したと発表。  今回の承認はIB期(腫瘍径4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に実施されたグローバル第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。同試験において、アレクチニブはプラチナベースの化学療法と比較して、対象患者の再発または死亡リスクを76%低下させた。

高身長とがんリスク~東アジア人での関連

 身長とがんリスクの関連が示唆されているが、ほとんどの研究は欧米人を対象としておりアジア人を対象とした研究は少ない。今回、中国・Fudan UniversityのYougen Wu氏らが中国人の前向きコホートで解析したところ、高身長ががん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頸がんのリスクと有意に関連していた。さらに、中国・日本・韓国のデータを用いたメンデルランダム化解析により、高身長が肺がんおよび胃がんのリスク因子である可能性が示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年10月号に掲載。

コロナ後遺症、6~11歳と12~17歳で症状は異なるか/JAMA

 米国・NYU Grossman School of MedicineのRachel S. Gross氏らは、RECOVER Pediatric Observational Cohort Study(RECOVER-Pediatrics)において、小児(6~11歳)と思春期児(12~17歳)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)を特徴付ける研究指標を開発し、これらの年齢層で症状パターンは類似しているものの区別できることを示した。これまでPASC(またはlong COVID)に関する研究のほとんどは成人を対象としたもので、小児におけるPASCの病態についてはあまり知られていなかった。JAMA誌オンライン版2024年8月21日号掲載の報告。

新型コロナの経鼻ワクチン、動物実験で感染を阻止

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の次世代経鼻ワクチンは、従来の注射型のワクチンにはできなかった、人から人へのウイルスの伝播を阻止できる可能性のあることが、動物実験で示された。この経鼻ワクチンが投与されたハムスターは、ウイルスに感染しても他のハムスターにそれを伝播させることはなく、感染の連鎖を断ち切ったと米セントルイス・ワシントン大学医学部分子微生物学および病理学・免疫学分野のJacco Boon氏らが報告した。詳細は、「Science Advances」8月2日号に掲載された。研究グループは、今回の動物を用いた研究によって、鼻や口へのワクチン投与がインフルエンザやCOVID-19といった呼吸器感染症の感染拡大を抑えるカギになる可能性があることを支持するエビデンスが増えたと話している。

モデルナのJN.1対応コロナワクチン、一変承認を取得

 モデルナは2024年8月23日付のプレスリリースにて、オミクロン株JN.1に対応する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株JN.1)」の承認事項の一部変更承認を厚生労働省より取得したことを発表した。  厚生労働省は2024年5月に、2024/2025秋冬シーズンの定期接種に使用する新型コロナワクチンの製造株として、JN.1系統および下位系統に中和抗体を誘導する抗原を採用することを決定していた。このガイダンスは、世界保健機関(WHO)のTAG-CO-VACの勧告と一致している。

重篤な薬疹を起こしやすい経口抗菌薬は?/JAMA

 一般的に処方される経口抗菌薬の中には、マクロライド系薬と比較して救急外来受診または入院に至る重篤な皮膚有害反応(cADR)のリスクが高い薬剤があり、とくにスルホンアミド系とセファロスポリン系で最も高いことが、カナダ・トロント大学のErika Y. Lee氏らによるコホート内症例対照研究の結果で示された。重篤なcADRは、皮膚や内臓に生じる生命を脅かす可能性のある薬物過敏症反応である。抗菌薬はこれらの原因として知られているが、抗菌薬のクラス間でリスクを比較した研究はこれまでなかった。結果を踏まえて著者は、「処方者は、臨床的に適切な場合はリスクの低い抗菌薬を優先して使用すべきである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年8月8日号掲載の報告。

長期のコロナ罹患後症状、入院後6ヵ月時点がカギに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期以降の認知および精神医学的転帰のリスク増加と関連することが知られている。英国で行われた大規模研究ではCOVID-19による入院後2~3年間における認知・精神症状の進行を追跡し、その症状と就労への影響について調査した。The Lancet Psychiatry誌2024年9月号掲載の報告。  本研究は英国の臨床医コンソーシアムであるThe Post-hospitalisation COVID-19 study(PHOSP-COVID)の登録データを使い、英国全土の参加病院でCOVID-19の臨床診断を受けて入院した成人(18歳以上)を対象とした前向き縦断コホート研究だった。

流行株によるコロナ罹患後症状の発生率とコロナワクチンの効果(解説:寺田教彦氏)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、起源株やアルファ株、デルタ株といったプレオミクロン株流行時期は、重症化率・死亡率の高さから、国内でも緊急事態宣言が出されるほど公衆衛生に多大な影響を与えていた。その後コロナワクチンや中和抗体治療薬により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化率や死亡率は低下したが、2021年ごろから後遺症の問題が注目されるようになった。新型コロナウイルス感染症罹患後症状(以下、本文ではPASC:post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infectionとする)は、診断基準を提案する論文はあるが(Thaweethai T, et al. JAMA. 2023;329:1934-1946.)、世界的に統一された明確な定義や診断基準はなく、病態や治療法も判明しきってはいない。  

自己免疫疾患を有するがん患者、ICIによるirAEリスクは?

 自己免疫疾患を有するがん患者では、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与によって免疫関連有害事象(irAE)が発現する割合は高いものの、これらは軽度で管理可能であり、がんへの反応性には影響がなかったことを、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMaria A. Lopez-Olivo氏らが明らかにした。European Journal of Cancer誌2024年8月号掲載の報告。  自己免疫疾患を有するがん患者は、ICIのランダム化比較試験から除外されていることが多い。そこで研究グループは、自己免疫疾患の既往があり、ICIを投与されたがん患者を含む観察試験と非対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、irAEの新規発現、自己免疫疾患の再燃、irAEによる入院・死亡などを調査した。

マクロライドとキノロンを組み合わせたmacrolones、耐性菌に有望か

 2方向から同時に細菌を攻撃する抗菌薬が、薬剤耐性菌と闘うための解決策になるかもしれない。互いに異なる標的に作用する2種類の抗菌薬を組み合わせたmacrolonesと呼ばれる合成抗菌薬が、細菌のタンパク質合成の阻害とDNA複製の阻害という2つの異なる方法で細菌の細胞機能を破壊することが示された。米イリノイ大学シカゴ校(UIC)生物分子科学および薬学分野のAlexander Mankin氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Chemical Biology」に7月22日掲載された。  Macrolonesは、広く使われている2種類の抗菌薬であるマクロライド系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬を組み合わせたものである。エリスロマイシンのようなマクロライド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームでのタンパク質合成を阻害し、シプロフロキサシンのようなフルオロキノロン系抗菌薬は、細菌がDNAを複製する際に必要とする酵素(DNAジャイレース、トポイソメラーゼIV)を標的にする。