救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

貧血を伴う急性脳損傷患者への輸血、非制限戦略vs.制限戦略/JAMA

 急性脳損傷患者に対する非制限輸血戦略または制限輸血戦略は、神経学的アウトカムにどのような影響をもたらすのか。ベルギー・ブリュッセル自由大学のFabio Silvio Taccone氏らTRAIN Study Groupが多施設共同無作為化試験にて検討し、貧血を伴う急性脳損傷患者では、非制限輸血戦略のほうが制限輸血戦略よりも神経学的アウトカムが不良となる可能性が低かったことを示した。JAMA誌オンライン版2024年10月9日号掲載の報告。  研究グループは、急性脳損傷患者における赤血球輸血の指針として、2つの異なるヘモグロビン閾値が神経学的アウトカムに与える影響を評価するため、22ヵ国72ヵ所のICUにて、研究者主導のプラグマティックな第III相多施設共同並行群間非盲検無作為化比較試験を行った。

高齢者の心不全救急搬送、気温低下の1~2日後に注意/日本心不全学会

 今冬はラニーニャ現象発生の影響で昨年よりも厳しい寒さとなり、心不全による入院の増加に一層の注意が必要かもしれない。では、どのような対策が必要なのだろうか―。これまで、寒冷曝露や気温の日内変動(寒暖差)が心筋梗塞や心不全入院を増加させる要因であることが示唆されてきたが、外気温低下の時間的影響までは明らかにされていない。10月4~6日に開催された第28回日本心不全学会学術集会のLate breaking sessionでは、これまでに雨季後の暑熱環境下における気温上昇と高齢者の心血管救急搬送リスクとの関連や脳卒中救急搬送リスク増加を示唆する疫学研究4)などを報告している藤本 竜平氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学・衛生学分野/津山中央病院 心臓血管センター・循環器内科)が『時間層別による外気温低下と心不全救急搬送の関連』と題し、新たな知見を報告した。

脳卒中の発熱予防は機能回復に有用か?/JAMA

 急性脳血管障害の患者では、発熱の標準治療と比較して、自動体表温度管理装置(Arctic Sun体温管理システム)を用いた予防的正常体温療法による発熱予防は、発熱負荷を効果的に減少させるが、機能回復には改善を認めないことが、米国・Boston University Chobanian and Avedisian School of MedicineのDavid M. Greer氏らが実施した「INTREPID試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年9月25日号に掲載された。

脳梗塞発症後4.5時間以内、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/JAMA

 発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法が適応となる急性虚血性脳卒中患者において、90日後の機能的アウトカムに関してtenecteplaseはアルテプラーゼに対して非劣性であることが認められ、安全性プロファイルも同様であった。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXia Meng氏らが、同国の55施設で実施した無作為化非盲検(評価者盲検)第III相非劣性試験「ORIGINAL試験」の結果を報告した。tenecteplaseはアルテプラーゼの遺伝子組み換え体で、フィブリン特異性が高く半減期が長いことから、単回ボーラス投与が可能である。tenecteplaseはアルテプラーゼと比較して、90日後の機能的アウトカム、死亡率、症候性頭蓋内出血の発生率が同等であることが報告されているが、中国人の急性虚血性脳卒中患者に対するtenecteplase 0.25mg/kgの有効性に関するエビデンスは限られていた。著者は、「本試験の結果は、脳梗塞発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法として、tenecteplaseはアルテプラーゼに代わる適切な治療法であることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年9月12日号掲載の報告。

高齢者へのImpellaの安全性・有効性~J-PVADレジストリより/日本心臓病学会

 補助循環用ポンプカテーテルImpellaは、左室機能を補助するための経カテーテル的補助人工心臓(PVAD:percutaneous ventricular assist device)で、唯一、国内承認されているものだ。2017年の承認から7年が経過し、国内の高齢者への安全性や有効性が徐々に明らかになってきている。今回、樋口 亮介氏 (榊原記念病院 循環器内科)が「心原性ショックを合併した後期高齢者におけるImpellaの成績:J-PVADレジストリからの検討」と題し、9月27~29日に仙台で開催された第72回日本心臓病学会学術集会の高齢化社会における循環器診療に関するシンポジウムで発表した。

やりがい?ワークライフバランス?若手医師が専攻領域を選んだ理由・変更した理由

 医師の総数は増加をしている中、外科などの一部診療科の増加が乏しいことに対して、どのような対策が考えられるか。9月20日に開催された厚生労働省の「第6回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、これらの課題を考えるうえでの参考資料として、厚生労働科学特別研究「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」から、「現在の基本領域を選択した理由」や「希望していた基本領域を選択しなかった理由」について聞いた専攻医へのアンケート結果が示された。本稿では、その内容の一部を紹介する。

敗血症生存者の再入院リスクは高い

 敗血症との闘いを幸運にも生き延びたとしても、安心はできないようだ。7,000人以上の敗血症患者を対象にした研究で、退院後30日以内の敗血症の再発やその他の原因による再入院率は驚くほど高いことが明らかになった。米オーガスタ大学看護学部のPriscilla Hartley氏らによるこの研究の詳細は、「American Journal of Critical Care」に9月1日掲載された。論文の筆頭著者であるHartley氏は、「再入院は、自宅退院または在宅医療に移行できるほど健康だと判断された患者の間でも頻発している」と指摘している。

急性心筋梗塞による心原性ショック、MCSデバイス使用は有益か/Lancet

 急性心筋梗塞による心原性ショック(AMICS)の患者に対する積極的な経皮的機械的循環補助(MCS)デバイスの使用は、6ヵ月死亡を抑制せず、大出血および血管合併症を増加したことが、ドイツ・ライプチヒ大学ハートセンターのHolger Thiele氏らMCS Collaborator Scientific Groupが行った個別患者データのメタ解析の結果で示された。ただし、低酸素脳症のリスクがないST上昇型心筋梗塞(STEMI)による心原性ショックの患者では、MCS使用後に死亡率の低下が認められた。積極的な経皮的MCSは、死亡への影響に関して相反するエビデンスが示されているにもかかわらず、AMICS治療での使用が増加しているという。

血栓溶解療法にアルガトロバンやGPIIb/IIIa阻害薬の併用は有効か(解説:内山真一郎氏)

このMOST試験は、米国の57施設が参加した単盲検の無作為化比較試験である。発症後3時間以内に血栓溶解療法を施行した虚血性脳卒中患者に血栓溶解療法開始75分以内にアルガトロバン、eptifibatide(GPIIb/IIIa阻害薬)、プラセボのいずれかを投与したところ、1次評価項目であった90日後の効用加重修正Rankinスケール(mRS)はプラセボ群よりアルガトロバン群で有意に高く(高いほど転帰良好)、eptifibatide群もプラセボ群より若干高く、安全性の1次評価項目であった症候性頭蓋内出血は3群間で有意差がなかったが、アルガトロバンやeptifibatideの併用療法により脳卒中後遺症は減らず、死亡が増加したと結論しており、抄録では結果と結論が矛盾している。

急性脳梗塞、抗凝固薬または抗血小板薬の補助療法は有益か/NEJM

 発症後3時間以内に静脈内血栓溶解療法を受けた急性脳梗塞患者において、アルガトロバン(抗凝固薬)またはeptifibatide(抗血小板薬)の静脈内投与による補助療法は、脳梗塞後の障害を減少させず、死亡の増加と関連することが、米国・セントルイス・ワシントン大学のOpeolu Adeoye氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。静脈内血栓溶解療法は急性脳梗塞の標準治療であるが、アルガトロバンまたはeptifibatideと併用した場合の有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2024年9月5日号掲載の報告。