救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

患者負担を軽減する世界初の肺胞蛋白症治療薬/ノーベルファーマ

 ノーベルファーマは、世界初の肺胞蛋白症治療薬サルグラモスチム(商品名:サルグマリン吸入用250μg)について本社でプレスセミナーを開催した。  肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis:PAP)は、酸素と二酸化炭素をガス交換する肺胞に蛋白様物質が貯留する希少疾患の総称。酸素と二酸化炭素の交換ができなくなり、うまく酸素が体に取り込めなくなるため、呼吸困難、咳や痰、発熱、体重減少などの症状がある。PAPのうち、免疫細胞の過剰産出に起因する自己免疫性PAPが90%を占め、国内に約730~770人の患者が推定されている。

高用量タンパク質投与、人工呼吸器装着患者には無益/Lancet

 人工呼吸器を要する重症患者への高用量タンパク質投与は標準量タンパク質投与と比較して、健康関連QOLを悪化させ、集中治療室(ICU)入室後180日間の機能的アウトカムを改善しなかった。オランダ・マーストリヒト大学のJulia L. M. Bels氏らPRECISe study teamが、同国とベルギーで実施した「PRECISe試験」の結果を報告した。先行研究で、重症患者へのタンパク質投与量の増加が、筋萎縮を緩和し長期的アウトカムを改善する可能性が示されていた。Lancet誌オンライン版2024年8月17日号掲載の報告。  PRECISe試験は、オランダの5病院とベルギーの5病院で行われた研究者主導の多施設共同並行群間二重盲検無作為化比較試験である。機械的人工呼吸器を装着した重症患者への経腸栄養によるタンパク質投与について、高用量(すわなち1日当たり2.0g/kg)が標準量(同1.3g/kg)と比較して、健康関連QOLと機能的アウトカムを改善するかどうかを評価した。試験組み入れ基準は、ICU入室後24時間以内に侵襲的人工呼吸器による管理を開始し、同装着期間が3日以上と予想されることとした。除外基準は、経腸栄養禁忌、瀕死状態、BMI値18未満、透析不要コードの腎不全、または肝性脳症であった。

昏睡・植物状態の患者、25%はfMRIまたはEEGで脳活動あり/NEJM

 昏睡、植物状態または最小意識状態マイナスの患者において、約4例に1例は言葉による指示に対するfMRIまたは脳波(EEG)上の活動、すなわち認知と運動の解離(cognitive motor dissociation:CMD)が認められたという。米国・Spaulding Rehabilitation HospitalのYelena G. Bodien氏らが国際共同前向きコホート研究の結果を報告した。一方、意識障害を有するが言葉による指示に対して観察可能な反応があった患者において、CMDが認められたのは約3例に1例であった。脳損傷により指示に反応しない患者が認知課題を行い、fMRIやEEGで検出される場合がある。CMDとして知られるこの現象については、これまで意識障害患者の大規模コホートにおいて体系的な研究はなされていなかった。NEJM誌2024年8月15日号掲載の報告。

現金給付は、医療アクセスを改善するか/JAMA

 貧困は医療へのアクセスの大きな障壁となり、健康アウトカムの悪化と関連することが知られている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSumit D. Agarwal氏らは、現金給付が医療サービス利用と健康にベネフィットをもたらすかを無作為化試験で調べた。現金給付を受けた人では、とくに精神疾患や物質使用障害(substance use disorder:SUD)に関連した理由での救急外来の受診が有意に減少し、入院に至った救急外来の受診の減少や専門外来の受診の増加もみられた。著者は、「試験の結果は、所得支援の提供で貧困を軽減しようとする政策が、健康および医療アクセスに大きなメリットをもたらす可能性があることを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。

重症敗血症へのアセトアミノフェン、生存日数を改善せず/JAMA

 重症敗血症患者において、アセトアミノフェン(パラセタモール)の静脈内投与は、安全性は高いものの、生存日数および臓器補助(腎代替療法、機械換気、昇圧薬)が不要な日数を改善しないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのLorraine B. Ware氏らが実施した「ASTER試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年8月6日号で報告された。  ASTER試験は、米国の40の病院の救急診療部または集中治療室(ICU)で実施した二重盲検無作為化第IIb相試験であり、2021年10月~2023年4月に参加者のスクリーニングを行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。

国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?

 2024年8月2日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者の占める割合が多い傾向にある。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。CDCのEmerging Infectious Diseases誌2024年8月号に掲載。

臓器不全の重篤患者、ICU治療にSGLT2阻害薬追加は有益か?/JAMA

 急性臓器不全を呈した重篤患者に対し、標準的なICU治療にSGLT-2阻害薬ダパグリフロジンを追加しても臨床アウトカムは改善しなかった。一方で、信頼区間(CI)値の範囲が広く、ダパグリフロジンに関連する有益性または有害性を排除できなかったという。ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのCaio A. M. Tavares氏らDEFENDER Investigatorsが多施設共同無作為化非盲検試験「DEFENDER試験」の結果を報告した。SGLT-2阻害薬は、糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)を有する患者のアウトカムを改善するが、臓器不全を呈した重篤患者のアウトカムへの効果は不明であった。JAMA誌2024年8月6日号掲載の報告。

バスケットボールでよくある傷害は足首の捻挫

 バスケットボールは、わが国でも漫画の影響やBリーグの活躍で非常に人気の高い球技であり、パリ・オリンピック2024でも注目されている競技である。そんなバスケットボールは、身体接触も多く、選手の怪我も多いスポーツである。  では、バスケットボールの選手は、どのような傷害をよくするのか。セルビアのPristina-Kosovska Mitrovica大学体育・スポーツ学部のNikola Aksovic氏らの研究グループは、さまざまな文献を基にシステマティックレビューを行った。その結果、選手は膝と足首を傷害する頻度が高いことが判明した。Life誌2024年7月19日号の報告。

経口コロナ治療薬シェア7割のゾコーバ、入院を37%抑制/塩野義

 塩野義製薬は7月29日の第1四半期決算説明会にて、新型コロナウイルス感染症治療薬のゾコーバ(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、現在流通する3剤の経口コロナ治療薬の中でシェアを拡大し、とくに2024年4月以降は重症化リスク因子を有する患者への処方が多く、7月第3週時点でシェア67.6%に達したことを明らかにした。ゾコーバの重症化リスクのある患者の入院抑制効果など、リアルワールドエビデンスが蓄積されていることについて、以下のとおり説明された。

忽那氏が振り返る新型コロナ、今後の対策は?/感染症学会・化学療法学会

 2024年8月2日の政府の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定点当たりの報告数は14.6人で、昨夏ピーク時(第9波)の20.5人に迫る勢いで12週連続増加し、とくに10歳未満の感染者数が最も多く、1医療機関当たり2.16人だった。週当たりの新規入院患者数は4,579人で、すでに第9波および第10波のピークを超えている。  大阪大学医学部感染制御学の忽那 賢志氏は、これまでのコロナ禍を振り返り、パンデミック時に対応できる医師が不足しているという課題や、患者数増加に伴う医師や看護師のバーンアウトのリスク増加など、今後のパンデミックへの対策について、6月27~29日に開催の第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会にて発表した。