救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:28

非重症コロナ入院患者、腹臥位介入で予後は改善するか/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した低酸素血症を伴う非重症患者において、腹臥位の姿勢を増やす多面的介入はこの介入を行わない標準治療と比較して、院内死亡や機械的人工換気の導入、呼吸不全の悪化のリスクを改善せず、72時間の酸素飽和度/吸入酸素濃度比の変化も両群に差はないことが、カナダ・Sinai HealthのMichael Fralick氏らが実施した「COVID-PRONE試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2022年3月23日号で報告された。  本研究は、腹臥位の姿勢は非重症COVID-19入院患者において死亡や呼吸不全のリスク低下に有効かの検証を目的とする実践的な無作為化臨床試験であり、2020年5月~2021年5月の期間に、カナダと米国の15施設で患者の登録が行われた(Sinai Health研究基金などの助成を受けた)。

ICU入室COVID-19重篤例、抗血小板療法は有効か/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重篤例では、抗血小板薬による治療はこれを使用しない場合と比較して、集中治療室(ICU)で呼吸器系または心血管系の臓器補助を受けない生存日数が延長される可能性は低く、生存退院例の割合も改善されないことが、英国・ブリストル大学のCharlotte A. Bradbury氏らREMAP-CAP Writing Committee for the REMAP-CAP Investigatorsが実施した「REMAP-CAP試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年3月22日号で報告された。

米国でのオミクロン、デルタ、アルファ株におけるCOVID-19の臨床的重症度とmRNAワクチンの有効性の違い(解説:寺田教彦氏)

2019年末より新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症は世界的に拡大し、2022年3月現在でも、流行は続いている。この間に、新型コロナウイルスの特徴も判明し、ワクチン開発、治療方法の整備も進んだが、新型コロナウイルスも変異を繰り返し、流行の終息はまだ見えていない。本研究は、2021年3月11日から2022年1月14日までに米国21病院が参加した前向き研究で、mRNA COVID-19ワクチンのアルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株に対するCOVID-19関連入院の予防効果、COVID-19関連入院患者における変異株ごとの重症化率、死亡率について検討され、BMJ誌2022年3月9日号で報告された。

新型コロナ、ハムスターからのヒト-ヒト感染を確認/Lancet

 ペットのハムスターはSARS-CoV-2に自然感染し、ハムスター間で伝播してヒトへの感染につながる可能性がある。中国・香港大学のHui-Ling Yen氏らは、ペットショップ店員のSARS-CoV-2感染事例について調査し、遺伝学的および疫学的な結果から、ハムスターからヒトへの感染が1回以上あったことが強く示唆され、その後のヒトへの感染につながったことを明らかにした。ヒトからペット動物を含む他の哺乳類へのSARS-CoV-2感染は報告されているが、養殖ミンクを除き、これら感染動物からヒトへの感染が持続的なヒト-ヒト感染に至るという証拠はこれまでなかった。著者は、「SARS-CoV-2デルタ変異株に感染したハムスターの輸入が局地的な流行の原因である可能性が高い。今回の調査結果は、ペット動物の取引に対する認識、監視、ならびに適切な検疫と管理政策の必要性を強調している」とまとめている。Lancet誌2022年3月12日号掲載の報告。

ソトロビマブ、新型コロナ疾患進行リスク79%低減~第III相最終解析/JAMA

 高リスクの軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)非入院患者において、ソトロビマブの単回静脈内投与はプラセボと比較し、疾患進行(29日目までのあらゆる入院または死亡の複合エンドポイント)のリスクを有意に低下させることが認められた。カナダ・William Osler Health CentreのAnil Gupta氏らが、米国、ブラジル、カナダ、ペルーおよびスペインの57施設で実施した第III相多施設共同無作為化二重盲検試験「COMET-ICE試験」の最終解析結果を報告した。著者は、「本試験終了後に出現したSARS-CoV-2変異株に対する有効性は不明であるが、今回の結果は、入院していない高リスクの軽症~中等症COVID-19患者に対する治療選択肢としてソトロビマブを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2022年3月14日号掲載の報告。

オミクロンvs.デルタ、ワクチン接種・感染歴・年齢別の入院・死亡リスク/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の重症アウトカムのリスクについて、デルタ変異株(B.1.617.2)よりもオミクロン変異株(B.1.1.529)で大幅に低く、オミクロン変異株ではより重症度の高いエンドポイント発生が大きく低下しており、年齢間のばらつきは顕著であることなどが、英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らによる検討で示された。オミクロン変異株は部分的なワクチンエスケープと、高い感染性が示されているが、早期の試験でデルタ変異株よりも重症化リスクは低いことが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月16日号掲載の報告。

小児ICUスタッフへの複合的心肺蘇生トレーニング、生存退院に寄与せず/JAMA

 小児集中治療室(ICU)のスタッフに対する、診療現場における心肺蘇生法(CPR)訓練と心停止に関する生理学的デブリーフィングの複合的トレーニングの実施は、通常の心停止マネジメントと比べ、小児ICUにおける心停止患児の良好な神経学的アウトカムでの退院生存を、有意に改善しなかった。米国・ペンシルベニア大学のRobert M. Sutton氏らICU-RESUS and Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Healthなどの研究グループが、無作為化試験の結果を報告した。院内心停止患児の生存退院率は約40%で、CPR中の拡張期血圧の閾値達成と心肺再開後の収縮期血圧の目標達成が、アウトカムを改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌2022年3月8日号掲載の報告。  研究グループは、米国の医療機関10施設にある18ヵ所の小児ICUを通じて、並行ハイブリッド・ステップウェッジ・クラスター無作為化試験「ICU-RESUS試験」を行った。  同試験では、無作為に2ヵ所の試験期間を継続的介入、2ヵ所を継続的コントロールに割り付け、6ヵ所はコントロールから介入へとステップウェッジに移行した。  介入期間には、ICU蘇生の質向上を目的に、(1)マネキンを使った診療現場におけるCPR訓練(各ユニット48回/月)、(2)心停止イベントに関する生理学的デブリーフィング(各ユニット1回/月)の2つのプログラムを行った(患児数526例)。コントロール期間には、通常の小児ICU心停止マネジメントを行った(患児数548例)。  主要アウトカムは退院時の良好な神経学的アウトカムで、小児脳機能カテゴリーのスコア(範囲:1[正常]~6[脳死または死亡])が1~3、またはベースラインからの変化なしと定義した。副次アウトカムは、生存退院率だった。

ゼロ・リスクか?ウィズ・リスクか?それが問題だ(解説:甲斐久史氏)

早いもので20年ほど前、外勤先の内科クリニックでの昼下がり。「今朝から、とくにどこというわけではないが、何となく全身がきつい」と20歳代後半の女性が来院した。熱も貧血もないのに脈拍が120前後。血圧はもともと低いそうだが収縮期血圧は80mmHg弱。心音・呼吸音に明らかな異常はないが、皮膚が何となくジトーッと冷たい気がする。聞いてみると先週、2〜3日間、風邪にかかったとのこと。心電図をとってみた。洞性頻脈。PQ延長(0.30秒くらいだったか?)。ドヨヨーンとした嫌な波形のwide QRS。どのように患者さんに説明し納得してもらったかは覚えていないが、ドクターヘリでK大学病院に搬送した。

広範囲梗塞の患者にも経皮的脳血栓回収術の有効性が示された(解説:高梨成彦氏)

ASPECTS 5点以下の大きな虚血コアを有する症例に対する、経皮的脳血栓回収術の有効性を示唆する後方視的研究はこれまでいくつか報告されている。本研究はランダム化比較試験で、主要評価項目である90日後のmRSが0~3であった患者の割合は内科治療群が13%であったのに対して、血管内治療群が31%と有意な予後改善効果が示された。虚血コアが大きいことで再開通後の出血が危惧されるところであるが、すべての頭蓋内出血こそ血管内治療群で58%と多かったものの症候性出血は内科治療群が5%で血管内治療群が9%と有意差はなかった。

オミクロン株BA.2、コロナ治療薬の有効性は?/NEJM

 現在、オミクロン株亜種BA.2は、デンマーク、インド、フィリピンなどの地域において、オミクロン株BA.1系統から置き換わり、主流になっている。近いうちに日本国内でもBA.1からBA.2に置き換わることが予想されている。国立感染症研究所の高下 恵美氏らの研究グループは、オミクロン株BA.2に対し、7種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬について、in vitroでの有効性を検証した。本研究の結果は、NEJM誌オンライン版2022年3月9日号のCORRESPONDENCEに掲載。  研究対象となった薬剤は、FDA(米国食品医薬品局)で承認済み、日本で承認済みのものが含まれる。日本で承認済みの抗体薬は、イムデビマブとカシリビマブの併用(商品名:ロナプリーブ)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)、抗ウイルス薬は、レムデシビル(商品名:ベクルリー)、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル(商品名:パキロビッドパック[リトナビルと併用])となる。