アレルギー科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

46ヵ国の喘息死亡動向、2006年以降変化なし/Lancet

 WHO死亡データベースから、46ヵ国における1993~2012年の喘息死亡の動向について、ニュージーランド・Medical Research InstituteのStefan Ebmeier氏らが分析し、結果を発表した。同死亡率は1980年代後半から減少傾向がみられるが、2006年以降5~34歳の同死亡率の明らかな変化はみられないという。結果を踏まえて著者は、「推奨ガイドライン適用で喘息死亡の約半数は回避可能だが、それには確立されたマネジメント戦略のより良好な実施が必要である。一方で、喘息死亡のさらなる実質的な減少には、新たな戦略も必要かもしれない」と述べている。Lancet誌オンライン版2017年8月7日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎とHBV感染は逆相関する

 韓国・カトリック大学のHee Yeon Kim氏らは、韓国国民健康栄養調査のデータを解析し、B型肝炎抗原(HBs抗原)陽性とアトピー性皮膚炎との間に有意な逆相関があることを報告した。これまで、アトピー性皮膚炎とB型肝炎ウイルス(HBV)感染との関連は明らかになっていない。ある研究ではHBV保有者でアトピー性皮膚炎のリスク増加が報告され、他の研究ではHBV血清陽性はアレルギー疾患と逆の関連があることが示されている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2017年6月24日号掲載の報告。

コントロール不良の喘息にあの抗菌薬が有用?/Lancet

 中~高用量の吸入ステロイド+長時間作用型気管支拡張薬服用ではコントロール不良の喘息成人患者に対し、マクロライド系抗菌薬の経口アジスロマイシンの追加投与は、喘息増悪リスクを約4割減少し、喘息関連QOLも改善することが示された。オーストラリア・Hunter Medical Research InstituteのPeter G. Gibson氏らが、420例を対象に行った48週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、著者は「アジスロマイシンは喘息コントロールの追加療法として有用と思われる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月4日号掲載の報告。

重症喘息へのbenralizumab、経口ステロイドを減量/NEJM

 重症喘息患者において、抗インターロイキン-5受容体αサブユニット・モノクローナル抗体benralizumabの8週ごとの皮下投与は、年間喘息増悪率も大幅に低下し喘息コントロールを維持しながら、経口ステロイドの服用量を減少可能であることが、無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。なお、示された効果には、1秒量(FEV1)への持続的効果は伴わなかった。カナダ・マックマスター大学のParameswaran Nair氏らによる検討で、NEJM誌2017年6月22日号(オンライン版2017年5月22日号)で発表した。

アトピー性皮膚炎、重症度に応じ眼合併症リスク増

 アトピー性皮膚炎において、疾患そのものに伴って、または薬物療法の結果として眼疾患がみられることが知られている。これまで成人アトピー性皮膚炎における眼合併症の有病率に関する大規模な疫学データはなかったが、デンマーク・国立アレルギー研究センターのJacob P. Thyssen氏らは、国内の登録データを用いて調査を行い、成人アトピー性皮膚炎は有意に、かつ重症度に依存して、結膜炎、角膜炎および円錐角膜の発症リスク増加と関連していることを明らかにした。なお、著者は「観察研究であり、因果関係を明らかにすることはできない」と研究の限界を述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。

鶏卵アレルギー予防、生後6ヵ月から微量鶏卵摂取を推奨 日本小児アレルギー学会提言

 6月16日、日本小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が公表された。提言では、鶏卵アレルギー発症予防の方策として、アトピー性皮膚炎の乳児において、医師の管理のもと生後6ヵ月から微量の鶏卵摂取を推奨。鶏卵摂取はアトピー性皮膚炎が寛解した上で進めることが望ましいとしている。この提言は2016年に発刊された「食物アレルギー診療ガイドライン2016」および国立成育医療センターが報告したPETITスタディに基づく。

だからといって在宅NIVが進むだろうか(解説:倉原 優 氏)-684

本研究は、急性呼吸性アシドーシスから回復したもののPaCO2が53mmHgを超えるII型呼吸不全の状態で在宅療養を余儀なくされたCOPD患者さんに、在宅酸素療法だけでなく非侵襲的換気(NIV)を併用することでその後のCOPD増悪による入院や死亡を減らせるかどうか検証したものである。日本ではNIVと表記するのはまだ一般的でなく、非侵襲的陽圧換気(NPPV)と表記されることが多いが、文献に合わせて以下NIVと表記させていただく。

イマチニブが重症喘息の気道過敏性を抑制?/NEJM

 KIT阻害薬イマチニブは、重症喘息患者の気道過敏性を抑制し、マスト細胞数とトリプターゼ放出を減少させることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKatherine N. Cahill氏らの検討で明らかとなった。これらの知見は、重症喘息の病態生物学的な基盤には、KIT依存性の過程とマスト細胞の寄与があることを示唆するという。研究の成果は、NEJM誌2017年5月18日号に掲載された。マスト細胞は、ステロイド治療を行っても重症喘息患者の気道に残存し、不良なQOLや不十分な喘息コントロールなどの疾患特性に関連する。幹細胞因子とその受容体KITは、組織での正常なマスト細胞の発育や生存に不可欠であり、イマチニブはKITのチロシンキナーゼ活性を阻害することで、慢性骨髄性白血病患者の骨髄中のマスト細胞数を著明に減少させ、血清トリプターゼ値を低下させることが知られている。

難治性EGPAにメポリズマブは有用か?/NEJM

 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者において、標準治療へのメポリズマブ併用はプラセボ併用と比較し、寛解維持期間が有意に長く、持続的寛解を達成した患者の割合も高く、ステロイドの使用量も減少した。ただし、メポリズマブ群においてプロトコルで定義した寛解が得られた患者は、約半数のみであった。米国・National Jewish HealthのMichael E. Wechsler氏らが、EGPA患者を対象としたメポリズマブの第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果を報告した。EGPAはチャーグ・ストラウス症候群として知られていた多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症で、患者の多くがステロイド治療に依存しており、再発することが多い。これまでの研究で、抗IL-5モノクローナル抗体薬であるメポリズマブは、好酸球数を減少させ、EGPA治療の効果が期待できると示唆されていた。NEJM誌2017年5月18日号掲載の報告。

歯科治療で突然のむくみ!? 「遺伝性血管性浮腫」の危険性と予防

 2017年5月10日、都内にて「遺伝性血管性浮腫」をテーマにプレスセミナーが開催された(主催:CSLベーリング株式会社)。本セミナーは、今年3月に同社のベリナートP静注用500(一般名:乾燥濃縮人C1-インアクチベーター、以下ベリナート)が、「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」に対する、適応追加承認を取得したことを受けて行われたものである。