循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:232

FXa阻害剤の抗炎症作用:日本のNVAF患者

 非弁膜症性心房細動(NVAF)例に対する第Xa因子(FXa)阻害剤の投与は、血液凝固マーカーだけでなく、血管炎症マーカーであるペントラキシン3(PTX3)も改善させることが、横浜栄共済病院の加藤 大雅氏らによる研究で明らかになった。これらのマーカーの変化が将来の心血管イベントリスクの低下と関連するかどうかを評価するためには、さらに大規模な前向き研究が必要である。Heart and vessels誌オンライン版2017年3月10日号の報告。

僧帽弁閉鎖不全へのMitraClip、日本できわめて良好な初期成績~日本循環器学会

 重度の僧帽弁不全症(MR)への新たな治療法として期待されている新規デバイスMitraClip(アボットバスキュラージャパン社)の有効性と安全性に関する30日結果が、3月17~19日に金沢市で開催された第81回日本循環器学会学術集会にて発表された。本試験には全国6施設における、中等度~重度(3+)もしくは重度(4+)の閉鎖不全症(DMR)、または、機能性僧房弁閉鎖不全症(FMR)で、LVEF≧30%、STSスコア≧8%の外科的手術が難しい患者が参加した。クリップでの処置が不適な病変を有する患者や予後が1年未満である患者などは除外された。被験者の平均年齢は80歳超であり、平均STSスコアが約10%の高リスクな層であった。

冠動脈疾患に、ヘテロ接合体LPL遺伝子変異が関与/JAMA

 リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子の稀有な機能障害性変異(ヘテロ接合体)は、トリグリセライド高値および冠動脈疾患(CAD)と有意に関連していることが、米国・マサチューセッツ総合病院のAmit V Khera氏らによる横断的研究の結果、明らかとなった。LPLの活性は、トリグリセライドが豊富なリポ蛋白が血中で代謝される際の律速段階に寄与する。そのためLPL遺伝子の機能障害性変異は、終生にわたり酵素活性不足をもたらし、ヒトの疾患に関与する可能性が推察されるが、両者の関連はこれまで確認されていなかった。著者は、「今後、ヘテロ接合体によるLPL欠損症がCADの原因となる機序があるかどうかをさらに検証する必要がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2017年3月7日号掲載の報告。

米国の心臓病・脳卒中・糖尿病死の5割が食事に問題/JAMA

 ナトリウムや多価不飽和脂肪酸、ナッツ類、砂糖入り飲料、赤身肉などの不適切量摂取が、心臓病や2型糖尿病といった心血管代謝疾患による死因の約45%を占めることが、米国成人を対象に行った大規模試験の国民健康・栄養調査(NHANES)の結果、明らかにされた。米国・タフツ大学のRenata Micha氏らによる検討で、JAMA誌2017年3月7日号で発表した。米国の個人レベルでの食事因子と特異的心臓病などとの関連については、これまで十分な検討は行われていなかった。

MRI対応の新型S-ICD、AFモニタリング機能も:ボストン・サイエンティフィック

 現在日本では、1年間に約7万6,000人が心臓突然死により命を落としているといわれている。その心臓突然死に対する治療方法の1つとして植込み型除細動器(ICD)治療が存在する。ICD患者の半数以上が10年以内にMRI検査と推察されているが、心血管系の埋め込みデバイス患者へのMRI施行は長年にわたり禁忌である。このMRI検査とICD装着患者の安全性については議論が繰り広げられ、本サイトでもいくつかの記事が取り上げられている。

硬膜下血腫例の約半数が抗血栓薬服用、高齢化社会では今後ますます増えることが予想される(解説:桑島 巖 氏)-652

硬膜下血腫は、しばしば認知症と誤診されたり、見逃した場合には死に至ることもある重要疾患である。本研究は、その硬膜下血腫の実に47.3%が抗血栓薬を服用していたという衝撃的な成績を示し、高齢化がいっそう進み、今後さらに急増していくことを示唆している点で重要な論文である。

2型糖尿病患者の動脈壁硬化に関わる因子

 2型糖尿病患者において、従来の心血管リスク因子や生活習慣は動脈壁硬化と関連するが、それらの因子を調整後も実際に動脈壁硬化と関連するかどうかは不明である。順天堂大学代謝内分泌学講座の研究グループが、日本人の2型糖尿病外来患者で、上腕足首間脈波伝播速度(baPWV)に関連する因子を調べたところ、従来の心血管リスク因子と生活習慣を調整後も、年齢、2型糖尿病の罹病期間、収縮期血圧、血清尿酸、尿中アルブミン排泄、睡眠の質の低下がbaPWVと関連していた。Journal of clinical medicine research誌2017年4月号に掲載。

心房細動患者のCCrとイベントの関連、日本の実臨床では?

 心房細動(AF)患者における非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の投与量調節と禁忌患者の除外のために、クレアチニンクリアランス(CCr)が広く使用されているが、AF患者のCCrと有害な臨床転帰との関連をみたリアルワールドデータはほとんどない。今回、国立病院機構京都医療センターの阿部 充氏らは、日本のAF患者の大規模前向きコホートである「伏見心房細動患者登録研究」で、CCr 30mL/分未満の患者が脳卒中/全身塞栓症および大出血などのイベントと密接に関連していたことを報告した。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年1月25日号に掲載。