最近の研究から、生体吸収性スキャフォールド(BVS)による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、エベロリムス溶出性金属製ステント(EES)と比べ、血栓症の合併症が多いことが示唆されている。米国マウントサイナイ・アイカーン医科大学のSorrentino氏らは、FDAが承認したBVSと金属製EESの効果を、長期フォローアップで比較した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年4月12日号に掲載。
7つのランダム化試験を解析
本研究では、MEDLINE、Scopus、およびウェブ上で検索し、BVSとEESを比較したランダム化試験を解析した。有効性および安全性の主要エンドポイントは、標的病変不全と、確定的もしくは疑いの高いステント血栓症だった。検索の結果、7つの試験において、計5,583例の患者がBVS(3,261例)もしくはEES(2,322例)の植込みを受けていた。フォローアップの平均中央値は2年(2~3年の範囲)であった。
標的病変不全、ステント血栓症がBVS群で有意に多かった
金属製EES群と比べて、標的病変不全(9.6% vs.7.2%、絶対リスク差:2.4%、リスク比:1.32、95%信頼区間[CI]:1.10~1.59、有害必要数[NNH]:41、p=0.003、I
2:0%)、ステント血栓症の発生(2.4% vs.0.7%、絶対リスク差:1.7%、リスク比:3.15、95%CI:1.87 ~5.30、NNH:60、p<0.0001、I
2:0%)は、共にBVS群で有意に高かった。全死亡率や心血管関連死亡率は、有意差は2群間で認められなかった。BVS群におけるステント血栓症の増加は、初期(~30日)、中期(30日~1年)、後期(1年~)と、全期間を通して認められた。
BVSが植込まれる患者は抗血小板剤2剤併用の期間の延長が望ましい
時間が経つにつれ、金属製EES群と比較して、BVS群は有効性がより低く、血栓症リスクがより高くなっていた。
フォローアップ期間中、BVS群においてスキャフォールド血栓症は持続的に高い頻度で起こっていた。このことは最近出されたFDAの安全性に関するアラートの推奨とも一致しており、筆者らは、BVSが植込まれる患者に対しては抗血小板剤2剤併用の期間延長が望ましいと考えられると述べている。
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(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)