循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:348

治療抵抗性高血圧の血圧コントロールのために有用なのは、アドヒアランスの改善か、薬物治療の強化か?

 治療抵抗性高血圧の要因には、血圧測定上の問題、白衣現象、アドヒアランス不良のような偽治療抵抗性、生活習慣の問題、薬物治療の問題、二次性高血圧があるが、これらの要因の解消が血圧コントロールにつながるかは明らかにされていなかった。Daugherty氏らは治療抵抗性高血圧患者のデータをレトロスペクティブに解析した結果、血圧コントロールの改善と薬物治療の強化は有意な相関を示したが、血圧コントロールの改善とアドヒアランスの改善とは有意な相関を認めなかったことをHypertension誌に発表した。Daugherty氏らは、なぜ血圧コントロール不良例が薬物治療の強化を受け入れないのかを調査する必要性があることを強調している。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(4)〕 シチコリン、急性虚血性脳卒中に対する有効性示せず:ICTUS試験

 シチコリンは神経血管の保護と修復作用を併せ持つ新規薬剤で、動物モデルでは虚血発作から数時間後でも急性の脳損傷の抑制や機能の回復効果を示すことが報告され、統合解析で有効性のエビデンスが示されていた。ICTUS(international citicoline trial on acute stroke)試験は、急性虚血性脳卒中に対するシチコリンの有効性を検証する国際的な多施設共同プラセボ対照無作為化試験として実施され、対象は中等度~重度の急性虚血性脳卒中による入院患者とされた。

3剤の降圧薬を処方しても降圧できないときの4剤目、5剤目

 利尿薬を含めた3剤併用によっても降圧目標に至らないケースは、わが国の実地医科における報告でも13%、ハイリスク例を数多く含み、プロトコルが順守される大規模臨床試験においてはその割合は30〜50%にまで上る。わが国で最も多く処方されている3剤併用療法は、ARB、Ca拮抗薬、利尿薬であるが、これら3剤を併用しても目標血圧に到達しない場合の次の処方を選択するエビデンスはほとんど見当たらない。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(3)〕 急性虚血性脳卒中院内30日死亡リスクモデルの予測能がNIHSSスコアで改善

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のGregg C. Fonarow氏らは、全米782ヵ所の病院で治療を受けた12万7,950人について追跡した結果、急性虚血性脳卒中30日院内死亡リスクモデルの予測能が、脳卒中の重症度を示す米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアを盛り込むことで、有意に改善することを明らかにした。

世界で初めて家庭血圧計の測定値に基づいた降圧目標値を東北大学が検証 ーHOMED-BP研究の最終結果ー

 東北大学を中心に全国より457名の医師が参加して家庭血圧の適正な降圧目標値を検証した大規模無作為化比較試験HOMD-BP研究の最終結果が浅山 敬 氏によってまとめられ、Hypertension Research誌に発表された。この結果は8月16日に同誌のwebサイトにて「ADVANCE ONLINE PUBLICATION」として出版前に公開された。本研究では家庭血圧に基づき、125-134/80-84mmHgを降圧目標に薬物治療を強化していく通常コントロール群と、125/80mmHg未満を降圧目標とする厳格コントロール群のいずれかに無作為に分けられ、心血管イベントの発生を一次評価項目として実施されたが、厳格コントロール群で降圧目標に達した割合が有意に低く、両群間に一次評価項目で有意な差が認められなかった。

ACE阻害薬は肺炎リスクを減少、特に脳卒中、アジア人で大きい可能性

 ACE阻害薬とARBの肺炎リスクについて、ポルトガル・リスボン大学のDaniel Caldeira氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、これまで考えられていたようにACE阻害薬には肺炎に対する保護作用があることがエビデンスとして示された。また、「脳卒中既往」「アジア人」が最も大きな恩恵を享受できる可能性があることも示唆された。強力な支持データは不足していたが、肺炎関連死を抑制することも認められたという。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月11日号)掲載報告より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(1)〕 久しぶり・・・電気的除細動と抗不整脈薬をテーマとした無作為化比較試験

 2000年代前半にN Engl J Medに発表され、衝撃を与えたAFFIRM、RACE試験以来、電気的除細動や抗不整脈薬に関する研究は息をひそめていたので、久しぶりという感のする論文である。「一定期間の洞調律時によって電気的リモデリングが回復するならば、長期的な抗不整脈薬投与は不要となる」という仮説を検証したものである。結果的に、本無作為化比較試験は、この仮説の正当性を実証することができなかったといえる。