糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:78

HFrEFへのエンパグリフロジン、心血管・腎への効果は/NEJM

 2型糖尿病の有無を問わず慢性心不全の推奨治療を受けている患者において、エンパグリフロジンの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全増悪による入院のリスクを低下することが、米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らによる3,730例を対象とした二重盲検無作為化試験の結果、示された。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の有無を問わず、心不全患者の入院リスクを抑制することが示されている。同薬について、駆出率が著しく低下した例を含む幅広い心不全患者への効果に関するエビデンスが希求されていたことから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。

小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。

カナグリフロジンの下肢切断リスク、65歳以上CVD患者で増大/BMJ

 SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢切断リスクについて、心血管疾患のある65歳以上において最も明白な増大が認められること、追加有害アウトカムの発生に関する必要治療数(NNT)は6ヵ月で556例(切断例はカナグリフロジン投与1万例当たり18例超)であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のMichael Fralick氏らによる検討で明らかにされた。GLP-1受容体作動薬投与群と比較した下肢切断リスクは1.73倍で、発生率の差は1,000人年当たり3.66であったという。先行研究のカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討した試験「CANVAS試験」では、カナグリフロジン群がプラセボ群よりも下肢切断リスクが2倍近く高いことが確認されており、同試験対象者が従前試験よりも10歳以上高齢であったこと、またベースラインの心血管リスクが高かったことから、切断リスクの上昇は限定される可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、日常的ケアにおけるカナグリフロジン投与の、切断リスクを明らかにするものである」と述べている。BMJ誌2020年8月25日号掲載の報告。

2型糖尿病肥満患者、胃バイパス術で代謝機能は改善するか/NEJM

 2型糖尿病を有する肥満患者において、胃バイパス術と食事療法の代謝に及ぼす有益性はほぼ同じで、この有益性は体重減少それ自体に関連している可能性があり、胃バイパス術には体重減少と独立した臨床的に重要で明確な効果はないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学医科大学院のMihoko Yoshino氏らの検討で示された。2型糖尿病の治療では、薬物療法よりも肥満手術のほうが有効であると無作為化臨床試験で示されている。また、Roux-en-Y法による胃バイパス術は、2型糖尿病患者の代謝機能に対し体重減少とは独立の治療効果をもたらすと示唆されている。一方、これらの研究の結果には、手術を受ける患者間の体重減少の差による交絡の影響が認められるという。NEJM誌2020年8月20日号掲載の報告。

FHホモ接合体のevinacumab併用、LDL-Cを40%低下/NEJM

 最大用量の脂質低下療法を受けているホモ接合型家族性高コレステロール血症(FH)の患者において、evinacumabを併用することでLDLコレステロール(LDL-C)値がベースラインよりも大幅に低下したのに対し、プラセボではLDL-C値がわずかに上昇し、24週の時点で群間差が49.0ポイントに達したとの研究結果が、南アフリカ共和国・ウィットウォータースランド大学のFrederick J. Raal氏らによって報告された。「ELIPSE HoFH試験」と呼ばれるこの研究の成果は、NEJM誌2020年8月20日号に掲載された。ホモ接合型FHは、LDL-C値の異常な上昇によって引き起こされる早発性の心血管疾患を特徴とする。この疾患は、LDL受容体活性が実質的に消失する遺伝子変異(null-null型)または障害される遺伝子変異(non-null型)と関連している。また、アンジオポエチン様3(ANGPTL3)をコードする遺伝子の機能喪失型変異は、低脂血症や、アテローム性動脈硬化性心血管疾患への防御と関連している。ANGPTL3に対するモノクローナル抗体であるevinacumabは、ホモ接合型FH患者にとって有益である可能性が示されていた。

うつ病を伴う糖尿病患者、医療従事者のケアで代謝指標が改善/JAMA

 うつ病を合併した糖尿病患者に対する共同ケア(collaborative care)は、通常ケアと比較して24ヵ月時点のうつ症状および循環代謝指標の複合評価を、統計学的に有意に改善することが認められた。米国・エモリー大学のMohammed K. Ali氏らが、インドにおけるうつ病を合併した糖尿病患者を対象とする実用的な無作為化非盲検臨床試験「INDEPENDENT試験」の結果を報告した。メンタルヘルス疾患を合併している患者は増加しており、糖尿病ではとくにケアが断片化しているとアウトカムが悪化する。低中所得国では、財政や医療従事者の不足などが障壁となって効果的なケアが阻まれ、ますます複数の慢性疾患を有する患者が増加し、回避可能にもかかわらず不良なアウトカムにつながっている。そのため、メンタルヘルスケアの導入を増加させアウトカムを改善するために有効で実現可能な統合ケアが求められていた。JAMA誌2020年8月18日号掲載の報告。

体重減少伴う発症初期の糖尿病で膵がんリスク増/JAMA Oncol

 糖尿病と膵臓がんの関連は知られているが、体重減少を伴う発症して間もない糖尿病では、膵臓がんのリスクが大幅に高いことが明らかにされた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChen Yuan氏らによるコホート研究の結果で、「高齢」「以前は健康体重」「意図的な減量ではない」場合は、さらに膵臓がんの発症リスクが高まることも示された。米国において膵臓がんは、がん死要因で3番目に多いという。しかしこれまで、膵臓がんの早期診断戦略を促進する高リスク群は、ほとんど特定されていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、30年以上にわたり繰り返し評価が行われてきた米国の2つのコホート研究(Nurses’Health StudyおよびHealth Professionals Follow-Up Study)のデータを用いて、糖尿病罹病期間および最近の体重変化とその後の膵臓がんリスクとの関連を解析した。

“GLP-1ダイエット”は速やかに規制当局へ連絡、製造販売元4社が警告

 2型糖尿病治療薬・GLP-1受容体作動薬の適応外使用について、「GLP-1ダイエット」などと称され、美容・痩身をうたうインターネット上の広告が問題となっている。20日、GLP-1受容体作動薬の製造販売元4社(ノボ ノルディスク ファーマ、アストラゼネカ、サノフィ、日本イーライリリー)が、文書で適正使用を呼び掛けた。この問題に関しては、日本糖尿病学会からも7月9日に見解・警告が出されている。  文書では、GLP-1受容体作動薬について、現時点でわが国においては2型糖尿病のみを効能・効果として製造販売承認を取得しており、それ以外の目的で使用された場合の安全性および有効性については確認されていない、と改めて強調。また、GLP-1受容体作動薬が適応外使用された場合、本来の効果が見込めないだけでなく、思わぬ健康被害が発現する可能性も想定されると注意喚起している。

第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定し、同学会のホームぺージで公開した。  本計画は、増加を続ける糖尿病患者の歯止めと診療の進歩への寄与などを盛り込んで、2004年より策定されているもの。第3次計画では、糖尿病予備群の数の減少、健康寿命の延伸、わが国独自の糖尿病の疫学・臨床データの蓄積、専門知識を持つさまざまな職種の人材の育成などが予測される成果として標榜され、検証されている。

日本人COVID-19死亡例、80代と2型糖尿病併存で最多

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、自社診療データベースから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡事例を調査。その結果、2020年2月~5月までの期間の死亡者は110例(男性:77例 、女性:33例)で、年代別では80代が4割超を占めていることが明らかになった。また、併存疾患では2型糖尿病が最も多かった。  主な結果は以下のとおり。 ・年代別では、90代が17例(15.5%)、80代が48例(43.6%)、70代が33例(30%)、60代が7例(6.4%)、50代が5例(4.5%)だった。100歳以上と40代から下の年齢層はいなかった。