糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

1日5分の中高強度身体活動増加で、総死亡の10%を予防/Lancet

 世界保健機関(WHO)は、週に150分の中高強度身体活動(moderate-to-vigorous intensity physical activity:MVPA)を推奨しているが、これを達成できるのは少数とされる。また、従来の研究の多くは身体活動データを参加者の自己申告に基づき収集しているが、これは計測機器で測定した場合に比べバイアスが生じやすいことが知られている。ノルウェー・Norwegian School of Sport SciencesのUlf Ekelund氏らは、計測機器を用いた研究のデータを収集・解析し、最も活動量の多い上位20%を除いた集団では、1日5分という、ごくわずかで現実的なMVPAの増加が、総死亡の10%を予防する可能性があり、さらに1日30分の座位時間の削減が、総死亡の7.3%を防ぐ可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年1月24日号で報告された。

ウォーキングや家事がメタボの人の命を救う

 家事や散歩などの軽強度運動が、メタボリックシンドロームなどに該当する人の死亡リスク低下につながっている可能性が報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJoseph Sartini氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に1月7日掲載された。  この研究から、心血管・腎・代謝(CKM)症候群に該当する人では軽強度運動に充てる時間が毎日1時間多いことが、14年間での死亡リスクが14~20%低いことと関連していることが明らかになった。CKM症候群とは、過体重、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下などがあって、心筋梗塞や脳卒中、心不全などのリスクが高くなっている状態のこと。米国成人の約9割が、CKM症候群の構成因子を一つ以上持っている。

肥満症治療薬、投与中止後は体重が急増/BMJ

 英国・オックスフォード大学のSam West氏らは、過体重または肥満の成人における体重管理薬(weight management medication:WMM)中止後の体重増加を定量化し比較する目的でシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、WMM中止後は体重が急激に増加し、心代謝マーカーに対する有益な効果が逆転することを明らかにした。また、WMM中止後の体重増加は、行動的体重管理プログラム(BWMP:低エネルギー食と身体活動の増加を支援する肥満管理の基礎)後と比べて速かった。著者は、「より包括的な体重管理アプローチを伴わない短期の薬剤使用には、注意が必要であることを示唆している」とまとめている。

Orforglipronは抗肥満薬として2型糖尿病を合併した肥満症に対して有効である(解説:住谷哲氏)

GLP-1はG蛋白質共役受容体(G-protein coupled receptor:GPCR)の1つであるGLP-1受容体に結合して細胞内にシグナルを伝達するが、そのシグナルにはGタンパク質依存的シグナルとβアレスチン(arrestin)依存的シグナルとがある。前者はcAMPなどのセカンドメッセンジャーを介して細胞内Ca濃度を上昇させることでGLP-1作用を発揮する。後者は従来GLP-1受容体の脱感作を誘導すると考えられてきたが、近年その他の多様な細胞内シグナル伝達を担っていることが明らかになりつつある。本試験で用いられたorforglipronは、もともと中外製薬で中分子医薬品として創薬されたOWL833が2018年にEli Lillyに導出されて臨床開発が継続されてきた薬剤であり、GLP-1受容体に結合してGタンパク質依存的シグナルのみを活性化しβアレスチン依存的シグナルを活性化しないことが知られている。

食事の飽和脂肪酸を減らすことは心疾患の高リスク者に有益

 心疾患のリスクが高い人は、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことで健康にプラスの効果を得られる可能性のあることが、新たなシステマティックレビューで示された。心疾患リスクの高い人が食事中の飽和脂肪酸の量を減らした場合、心筋梗塞や脳卒中の発症数が減少することが明らかになったという。一方、心疾患のリスクが低い人では、5年間の追跡期間で同様の効果は明確には確認されなかった。詳細は、「Annals of Internal Medicine」に12月16日掲載された。  このシステマティックレビューでは、合計6万6,337人が参加した17件の臨床試験のデータを分析し、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが心臓の健康やコレステロール値、全死因死亡にどのような影響を与えるのかを調べた。

前糖尿病状態が寛解すれば心臓の健康が守られる

 2型糖尿病の合併症の中で心血管疾患などについては、糖尿病の診断基準に至らない軽度の高血糖状態である「前糖尿病」の段階でも増加することが知られている。しかし前糖尿病が寛解(血糖値が正常化)すると、そのリスクが有意に低下することを示すデータが報告された。心血管死や心不全入院などが半減するという。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のAndreas Birkenfeld氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Diabetes & Endocrinology」に12月12日掲載された。  前糖尿病では心血管疾患や心不全のリスクが高いため、主として減量を目指した食事療法や運動療法などの生活習慣改善が推奨されている。

妊娠糖尿病予防、とくに有効な介入手段は?/BMJ

 英国・リバプール大学のJohn Allotey氏らi-WIP Collaborative Groupは、被験者個人データ(IPD)に基づくメタ解析を行い、妊娠中のライフスタイル介入は、診断基準によるばらつきはあったが妊娠糖尿病を予防しうることを示した。妊娠中の身体活動と食事に基づく介入は、妊娠中の体重増加の抑制に効果的であることは示されているが、妊娠糖尿病への影響や、どのような介入が最も効果的かについてはエビデンスにばらつきがあった。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。

2型糖尿病/肥満者の体重減少、GLP-1RA vs.SGLT2i vs.頭蓋磁気刺激

 2型糖尿病患者および肥満者の体重減少に寄与する薬剤以外の有効な治療方法にはどのようなものがあるであろう。イタリア・ミラノのIRCCSマルチメディカ内分泌・栄養・代謝疾患科のAnna Ferrulli氏らの研究グループは、肥満および2型糖尿病患者を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチド(0.5mg/週)、SGLT2阻害薬、および肥満に対する新たな治療法として登場した反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性を比較した。その結果、rTMS治療は、セマグルチドと同等の体重減少効果を示すことがわかった。この結果はObesity誌オンライン版2025年12月26日号に公開された。

アスピリンに「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」の重大な副作用追加/厚労省

 2026年1月13日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アスピリンやアスピリン含有製剤の「重大な副作用」の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」が追加された。  アスピリンならびにアスピリン含有製剤について、アレルギー反応に伴う急性冠症候群関連症例を評価した結果、因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。なお、一般用医薬品として販売されているものについても「相談すること」の項に同様の改訂がなされた。

“血小板の大きさ”が知らせる腎臓の危険信号、糖尿病患者の追跡調査で判明

 病院で行う通常の血液検査では、白血球数や赤血球数、血小板数などとともに「平均血小板容積(MPV)」という指標も測定されることが多い。今回、日本の2型糖尿病患者を対象とした追跡研究で、このMPVが腎機能悪化のリスク把握に役立つ可能性が示された。MPVが高い人ほど腎臓の状態が悪化しやすい傾向が確認されたもので、身近な指標から早期のリスク評価につながる可能性が注目される。研究は、福島県立医科大学腎臓高血圧内科の渡辺秀平氏、田中健一氏、風間順一郎氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Journal of Diabetes Investigation」に掲載された。