糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

医師の約3割が肥満度1以上の肥満に該当/医師1,000人アンケート

 わが国にはBMIが25以上の「肥満」と定義される人は、約2,800万人と推計され、BMIが35以上の高度肥満者の増加も報告されている。従来、肥満症の治療では、食事療法、運動療法、認知行動療法、外科的療法が行われてきたが、近年、治療薬も登場したことで「肥満」・「肥満症」にスポットライトが当たっている。一方で、診療する側の医師も、診療や論文作成やカンファレンスなどで座位の時間が多く、運動不足となり、体型も気になるところである。CareNet.comでは、2025年10月15~21日にかけて、会員医師1,000人(うち糖尿病・代謝・内分泌科の医師100人を含む)に「医師の肥満度とその実態」について聞いた。

抗胸腺細胞グロブリンは発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能低下を抑制する(解説:住谷哲氏)

膵島関連自己抗体が陽性の1型糖尿病は正常耐糖能であるステージ1、耐糖能異常はあるが糖尿病を発症していないステージ2、そして糖尿病を発症してインスリン投与が必要となるステージ3に進行する。抗CD3抗体であるteplizumabはステージ2からステージ3への進行を抑制することから、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者への投与が2022年FDAで承認された。現在わが国でも承認のための臨床試験が進行中である。さらにステージ3に相当する発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能の低下もteplizumabの投与により抑制されることが報告された。

肥満とがん死亡率、関連する血液腫瘍は

 肥満は血液腫瘍を含む各種がんによる死亡率の上昇と関連しているが、アジア人集団、とくに日本人成人におけるこの関連のエビデンスは限られている。今回、北海道大学の若狭 はな氏らが、わが国の多施設共同コホート研究(JACC Study)で肥満と血液腫瘍による死亡の関連を検討した結果、日本人成人において肥満が多発性骨髄腫および白血病(とくに骨髄性白血病)による死亡率の上昇と有意に関連していることが示された。PLoS One誌2025年10月30日号に掲載。

1型糖尿病妊婦、クローズドループ療法は有効/JAMA

 1型糖尿病の妊婦において、クローズドループ型インスリン注入システムの利用(クローズドループ療法)は標準治療と比較して、妊娠中の目標血糖値(63~140mg/dL)達成時間の割合(TIR)を有意に改善させたことが、カナダ・カルガリー大学のLois E. Donovan氏らCIRCUIT Collaborative Groupが行った非盲検無作為化試験「CIRCUIT試験」の結果で示された。高血糖に関連した妊娠合併症は、1型糖尿病妊婦では発生が半数に上る。クローズドループ療法による血糖コントロールの改善は妊娠中以外では確認されているが、妊娠中の試験は限られていた。著者は、「今回の結果は、1型糖尿病妊婦へのクローズドループ療法の実施を支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年10月24日号掲載の報告。

週末まとめて歩くvs.日々歩く、メタボ予防効果が高いのは?

 わが国では健康増進のために1日8,000歩以上歩くことが推奨されているが、1日平均歩数が同じ場合、週末にまとめて歩く人と日々歩く人で効果は同等なのだろうか。今回、愛媛大学の山本 直史氏らは、中高年の日本人において連続した7日間の歩数を調査し、メタボリックシンドロームとの関連を検討した結果、8,000歩以上の日数の割合より、7日間の総歩数がメタボリックシンドロームとの関連が強い一方、1日平均歩数が8,000~10,000歩の人では、8,000歩以上達成した日数の割合が高いほどメタボリックシンドロームのリスクが低いことが示唆された。Obesity Research & Clinical Practice誌オンライン版2025年11月2日号に掲載。

筋力が強ければ肥満による健康への悪影響を抑制できる可能性

 肥満による健康への悪影響を、筋力を鍛えることで抑制できる可能性を示唆するデータが報告された。米ペニントン・バイオメディカル研究センターのYun Shen氏らの研究の結果であり、詳細は「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月15日掲載された。  この研究からは、肥満関連の健康障害の発生リスクだけでなく早期死亡リスクも、握力が高いほど低いことが示された。Shen氏は、「握力は測定が容易であり、リスクのある介入すべき対象者を早期に低コストで見いだすことができる。そしてわれわれの研究の結果は、握力に基づき評価した筋力の低下が、肥満関連健康障害の鋭敏な指標であることを示している」と語っている。

2型糖尿病の低血糖入院が減少傾向、その背景を紐解く

 近年、2型糖尿病患者の低血糖入院が漸減傾向であることが明らかになった―。2017年に日本糖尿病学会の糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会が調査報告を行ってから8年、この間に低血糖による入院が減少したのには、いったいどんな対策や社会変化が功を奏したのだろうか。今回、この研究結果を報告し、日本糖尿病学会第9回医療スタッフ優秀演題賞を受賞した社会人大学院生の影山 美穂氏(東京薬科大学薬学部 医療薬物薬学科)と指導教官の堀井 剛史氏(武蔵野大学薬学部臨床薬学センター)から研究に至った経緯や考察などを聞いた。

野菜くずを捨ててはいけない――捨てる部分は思っている以上に役立つ可能性

 これまで食卓に上ることなく捨てられてきた、野菜の皮や芯などの「野菜くず」が、近い将来、食糧生産の助けになったり、人々の健康のサポートに使われたりする可能性のあることが、新たな研究で示された。米化学会(ACS)が発行する3種類の学術誌に掲載された4報の研究論文で科学者らは、テンサイのパルプからココナッツの繊維に至るまで、幅広い食品廃棄物を農業および栄養源の貴重な素材として利用する方法を提案している。  「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に9月15日に掲載された研究によると、テンサイ(サトウダイコン)のパルプ(砂糖を抽出した後に残る副産物)が、化学合成農薬の代替品として使える天然素材である可能性が示された。研究者らは、パルプに豊富に含まれているペクチンという繊維を、小麦の一般的な病気である「うどんこ病」に対する抵抗力を高める働きを持つ炭水化物に変えることに成功した。この方法を用いることで、合成農薬の散布量を減らすことができるという。

朝食とメタボ各要素の関連~メタ解析

 朝食を食べない人では、食べる人と比べてメタボリックシンドローム(MetS)、腹部肥満、高血圧症、高脂血症、高血糖のリスクが有意に高いことが、中国・Ningxia Medical UniversityのBowen Yang氏らによって報告された。Nutrients誌2025年10月3日号掲載の報告。  これまで多くの研究で特定の食品や食習慣とMetSとの関連が検討されてきたが、朝食など食事頻度に関するエビデンスは一貫していなかった。そこで研究グループは、一般集団を対象に、朝食を食べない人と食べる人との間でMetSおよびその構成要素(腹部肥満、高血圧症、高脂血症、高血糖など)の発生・有病リスクを比較するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。

隠れ肥満は心筋梗塞や脳卒中リスクを高める

 たとえ健康的な体重であっても、腹部や肝臓の奥深くに脂肪が蓄積すると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが静かに高まる可能性があるようだ。内臓脂肪(visceral adipose tissue;VAT)と、VATほどではないが肝脂肪(hepatic fat;HF)は、頸動脈のアテローム性硬化リスクを高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。マクマスター大学(カナダ)保健科学部のSonia Anand氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に10月17日掲載された。  BMIが正常範囲内の人でも、このような隠れ肥満である可能性はある。Anand氏は、「見た目だけで必ずしもVATまたはHFの有無を判断できるわけではない」とマクマスター大学のニュースリリースの中で述べている。同氏は、「VATやHFは代謝的に活発で危険だ。太り気味でないことが明らかな人でも、この種の脂肪は炎症や動脈損傷と関連している。だからこそ、肥満と心血管リスクの評価方法を見直すことが非常に重要なのだ」と付け加えている。