がん患者の心血管疾患リスクに糖尿病が影響か がん治療の進歩により、生存期間が延びる患者が増える一方で、治療後に心血管疾患(CVD)を発症するリスクが新たな課題として注目されている。しかし、どのような患者がCVDを発症しやすいのかは、十分に明らかになっていない。今回、大阪府の大規模がん登録データを用いた解析で、がんの初回診断時に糖尿病を併存する患者では、CVDの新規発症および全死亡リスクが有意に高いことが示された。研究は、大阪国際がんセンターがん対策センターの桒原佳宏氏、宮代勲氏らによるもので、詳細は1月22日付で「PLOS One」に掲載された。
1型糖尿病とCKD併存、フィネレノンがUACRを改善/NEJM 1型糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)の治療では、30年以上前の研究に基づき、生活習慣、血糖値、血圧の最適化に重点が置かれ、レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬が推奨されてきたが、これらの介入はCKDの進行を抑制する効果はあるものの、完全に阻止することはできないとされる。オーストラリア・University of New South WalesのHiddo J.L. Heerspink氏らは「FINE-ONE試験」において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンはプラセボと比較して、有効性と安全性の代替指標としての尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に低下させ、高カリウム血症が多くみられるものの重篤な有害事象の頻度に大きな差はないことを示した。研究の成果は、NEJM誌2026年3月5日号で報告された。
日本人の腸内細菌叢、世界と異なる特徴は? ヒトの腸内細菌叢(マイクロバイオーム)は、宿主の免疫や代謝、健康状態と密接に関わっている。東京大学の西嶋 傑氏らの研究グループは、日本人5,000人以上の腸内メタゲノムデータを解析し、世界37ヵ国と比較した。その結果、日本人の腸内細菌叢にはビフィズス菌が豊富であり、9割が海藻の分解酵素を持つという独自の特徴や、腸内細菌叢の構成には特定の薬剤が大きく影響することなどが判明した。Proceedings of the Japan Academy, Series B誌2026年2月号に掲載。
GLP-1受容体作動薬、物質使用障害の予防や治療に有効か/BMJ GLP-1受容体作動薬の使用は、さまざまな物質使用障害(SUD)の発症リスク低下と一貫して関連し、複数の物質タイプにわたる幅広い予防効果があること、また、SUD既往患者においても有害な臨床アウトカムのリスク低下に関連していることが、米国退役軍人省セントルイス・ヘルスケアシステムのMiao Cai氏らによる観察研究の結果で示された。GLP-1受容体作動薬の使用がアルコール、タバコ、大麻使用障害の発症および再発リスクを低下させることが示されていたが、他の物質に関するエビデンスや、SUD既往患者の臨床アウトカムの改善に有効かどうかを評価する大規模研究は不足していた。著者は、「今回のデータは、GLP-1受容体作動薬がさまざまなSUDの予防と治療の両方において潜在的な役割を果たす可能性を示唆しており、さらなる評価が必要である」とまとめている。BMJ誌2026年3月4日号掲載の報告。
エクソーム解析で家族性高コレステロール血症の遺伝子変異保有者を特定可能 エクソーム解析により、家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)の遺伝子変異保有者を特定できるという研究結果が、「Circulation: Genomic and Precision Medicine」に11月12日掲載された。 米メイヨー・クリニックのN. Jewel Samadder氏らは、地理的にも人種的にも多様な米国内の3地域から参加者を募集し、エクソーム解析を用いた生殖細胞系列遺伝子検査によってFH遺伝子変異保有者を特定できるかを検討した。研究には、計8万4,413人が参加した。
2型糖尿病、1日1回経口のorforglipron vs.セマグルチド/Lancet メトホルミンでコントロール不十分な2型糖尿病患者において、経口orforglipron 12mgおよび36mgは、経口セマグルチド7mgおよび14mgに対して、ベースラインから52週時のHbA1c値の平均変化量に関して非劣性および優越性を示した。米国・テキサス大学のJulio Rosenstock氏らACHIEVE-3 Investigatorsが行った国際共同第III相多施設非劣性非盲検無作為化試験「ACHIEVE-3試験」の結果で示された。安全性プロファイルは、両薬ともにGLP-1受容体作動薬の既知のプロファイルと一致していたが、消化器系イベント、有害事象による試験中止の頻度、平均脈拍数上昇が、経口orforglipron群のほうが経口セマグルチド群よりも高かったことも示された。orforglipronは、食品および飲水の制限を必要とせず1日1回の服用で済むようデザインされた新規の経口GLP-1受容体作動薬である。Lancet誌オンライン版2026年2月26日号掲載の報告。
HFpEF診療で期待のフィネレノン、適格患者と注意点とは/バイエル 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)フィネレノン(商品名:ケレンディア)は、これまで2型糖尿病かつ慢性腎臓病患者の心不全発生予防に対し有効性が示されていたが、2025年12月22日、新たに「慢性心不全」の適応を取得した。 これを受け、バイエル薬品は2月19日にプレセミナーを開催。昨年の第89回日本循環器学会学術集会で本剤の研究結果や日本人サブ解析データを発表した絹川 弘一郎氏(富山大学第二内科 教授/日本心不全学会理事長)と佐藤 直樹氏(かわぐち心臓呼吸器病院 副院長/循環器内科)が登壇し、心不全治療の課題やフィネレノン処方時の注意点などについて解説した。
地中海食が女性の脳卒中予防に有効か 地中海食の実践は、脳卒中リスクの低下と関係している可能性があるようだ。新たな研究で、食生活が地中海食に最も近い女性では、あらゆる種類の脳卒中のリスクが18%低いことが示された。米City of Hope総合がんセンターのSophia Wang氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology Open Access」に2月4日掲載された。Wang氏は、「今回の結果は、健康的な食生活が脳卒中予防に極めて重要であるという、増え続けているエビデンスを支持するものだ」と話している。
膵臓内脂肪沈着に予防効果があるのは食事かリラグルチドか 肥満症について、カロリー制限食(CRD)の食事療法とリラグルチドによる薬物療法では、脂肪関連指標の変化に違いはあるのだろうか。このテーマに対し中国の南京医科大学附属無錫人民病院内分泌科のHaiyan Cheng氏らの研究グループは、肥満者におけるCRDとリラグルチドの膵内脂肪沈着への影響を比較し、脂肪関連指標と血糖関連パラメータの変化との関連性を探った。その結果、両療法ともに膵脂肪率(PFF)を改善することが判明した。この結果はObesity誌2026年オンライン版2月24日号で公開された。
身体活動や座位時間の小さな変化による死亡に対する効果を検討(解説:名郷 直樹 氏)-2088 中等度から激しい強度の運動を5分、10分増やし、座位での活動を30分、60分減らしたときの死亡に対する効果を、活動度の低い下位20%の集団(ハイリスクアプローチ)と、活動度の高い上位20%を除いた80%の集団(ポピュレーションアプローチ)で、米国、スウェーデン、ノルウェー、英国のコホート研究のメタ分析により検討した論文である。またこのメタ分析は、各研究の結果を統合するのではなく、個々のデータを統合し解析している点で、メタ分析というより1つの巨大なコホート研究という側面がある。結果は、追加された英国のコホートとそれを除く7つのコホートで別々に解析されている。後者では、中等度から強度の強い活動を1日5分増やすと、死亡リスクがハイリスクアプローチで6%(95%信頼区間:4.3~7.4)、ポピュレーションアプローチで10%(6.3~13.4)低下し、10分の増加ではそれぞれ8.8%、14.9%低下している。また座位での活動を1日30分減らすと、死亡リスクがハイリスクアプローチで3%(2.0~4.1)、ポピュレーションアプローチで7.3%(4.8~9.6)低下、60分の減少ではそれぞれ5.5%、12.6%低下と報告されている。追加された英国のコホートでも、効果量は小さいものの同様な結果である。