第1回 「外傷基本のABC」
重傷外傷患者は日常診療でそう多く遭遇するものではありません。いざ気管挿管、あるいはもっと重度の気道閉塞である場合に、輪状甲状靭帯穿刺や輪状甲状靭帯切開といった手技が必要になったとき、自信をもって行う事ができるかどうか?気道緊急は即、命に繋がる待ったなしの状況ですから普段から手技を学習し人形等で練習をしておきたいものです。
【症例1】30歳男性。自動車運転中スピードの出し過ぎでカーブを曲がり切れずガードレールに激突。シートベルトなく、頭部および顔面をフロントガラスに強打した.研修医は必死で血液の吸引を行うが気道が閉塞していて拉致があかない。気管挿管もうまくいかずSpO2は下がり続ける・・・。
基本操作(ABC)後編では、外傷性の出血性ショックに対する処置の方法を学びます。
【症例2】ロシア人男性。港に寄港している船の船員で港での作業中に高さ約6mから転落した。バイタルサインは血圧100/80mmHg,脈拍100/m,SpO2は酸素投与下で92%。エコーでは腹腔内出血(+),肺挫傷(+),不安定骨盤骨折(ー)。研修医は2Lから輸液をはじめようとするが、Dr.林は早期の濃厚赤血球と凍結血漿の使用を指示する。
第2回 「胸部外傷のABC」
第2回のお題は胸部外傷の基本操作(ABC)。覚えなければならないことがたくさんある胸部外傷。基本的なことを押さえてチェックリストを作れば怖くありません。
【症例1】30歳男性。高速道路を運転中にスリップして横転。エアバッグは開いておらずガラス破片が身体中に付着、救急隊が除去。
胸部外傷との闘い方その2。ショック状態で来院するが原因が分からない患者の症例です。
【症例2】40代男性。自動車走行中、高速道路から降りたところでカーブを曲がり切れずに電柱に衝突した。ブレーキ痕なくショック状態。血圧:70/40mmHgで救急隊員はLoad&Goを宣言。患者は不穏が強く痛がって研修医に悪態をつく。詳細なPrimary surveyでは異常所見が見つからないが患者の容態は徐々に悪化して・・・