日本の出生年別のピロリ菌感染率~17万人のメタ解析 一般集団におけるH. pylori感染率(有病率)のトレンドの変化が、日本での胃がん死亡率の低下をもたらした主な要因と考えられている。そこで、愛知医科大学のChaochen Wang氏らは、H. pylori感染率それ自体が出生コホートパターンを示すかどうかを確認するために、日本人のH. pylori感染率を報告した研究の系統的レビューを行い、17万752人のメタ回帰分析を実施した。Scientific reports誌2017年11月14日号に掲載。
最短8週間治療が可能なC型肝炎治療薬が登場 アッヴィ合同会社は、すべての主要なジェノタイプ(GT1~6型)のC型肝炎ウイルス(HCV)に感染した成人患者に対して1日1回投与、リバビリンフリーの治療薬であるマヴィレット配合錠(一般名:グレカプレビル/ピブレンタスビル、以下マヴィレット)を11月27日に発売した。マヴィレットは肝硬変を有さない、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)未治療のジェノタイプ1型(GT1)および2型(GT2)のC型慢性肝炎(HCV)感染患者にとって、最初で唯一の最短8週間治療となる。薬価は1錠24,210.40円。
化学療法制吐薬としてのオランザピンの本邦第II相試験/IJCO 近年、がん化学療法に対する制吐薬としてのオランザピンの研究結果が報告されている。本邦においても、高度催吐性化学療法に対する、オランザピンの多施設無作為化二重盲検第II相用量設定試験が行われ、国立がん研究センター中央病院の矢内 貴子氏らがInternational Journal of Clinical Oncology誌に結果を報告した。
本邦初のIFNフリー・リバビリンフリー・パンジェノタイプのDAA療法の登場(解説:中村 郁夫 氏)-765 本論文は、重度の腎機能低下HCV症例に対するグレカプレビル・ピブレンタスビル併用療法の治療効果および安全性に関する多施設・オープンラベルで行われた研究結果の報告である。ステージ4および5の腎機能障害例(遺伝子型 1、2、3、4、5、6型)に対し12週間の治療を行った結果、SVR率98%と高い効果を示した。
ビタミンDはがんを予防するのか?/BMJ ビタミンDの血中濃度とがんリスクに因果関係は存在するのか。ギリシャ・University of IoanninaのVasiliki I Dimitrakopoulou氏らは、同関連を明らかにするため、大規模遺伝子疫学ネットワークのデータを用いたメンデルランダム化試験にて検討を行った。その結果、評価を行った7種のがんいずれについても、線形の因果関係を示すエビデンスはほとんどなかったという。ただし、臨床的に意味のある効果の関連を、完全に否定はできなかった。BMJ誌2017年10月31日号掲載の報告。
クローン病のタイトコントロールは有益/Lancet 中等症~重症の早期クローン病患者において、臨床症状とバイオマーカーの組み合わせに基づく抗腫瘍壊死因子療法の適時escalation戦略は、症状のみで治療方針を決定するよりも、臨床的および内視鏡的アウトカムを改善することが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のJean-Frederic Colombel氏らが、22ヵ国74施設で実施した無作為化第III相試験「CALM試験」の結果を報告した。便中カルプロテクチン(FC)やC反応性蛋白(CRP)など腸炎症のバイオマーカーは、クローン病患者のモニタリングに推奨されてきたが、これらを用いた治療方針の決定がクローン病患者の予後を改善するかどうかは不明であった。Lancet誌オンライン版2017年10月31日号掲載の報告。
日本初の抗PD-L1抗体アベルマブ、他の抗体との違いも 抗PD-L1抗体として日本で初めて、アベルマブ(商品名:バベンチオ)が9月27日に承認された。アベルマブは、今回承認されたメルケル細胞がん(MCC)以外に、胃がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、リンパ腫、固形がんに対して、国内で臨床試験を実施している。11月6日、共同開発を進めるメルクセローノ株式会社とファイザー株式会社によるプレスセミナーが開催され、西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野/先端医療開発センター免疫トランスレーショナルリサーチ分野 分野長)と山﨑 直也氏(国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科 科長)が講演した。
O型女性は胃十二指腸潰瘍リスクが高い~日本ナースヘルス研究 ABO式血液型でO型の日本人女性は、他の血液型の女性よりも胃十二指腸潰瘍の発症リスクが有意に高いことが、群馬大学のLobna Alkebsi氏らの研究により明らかになった。また、1955年以前に出生した群は、それ以降に出生した群よりも高リスクであった。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年10月28日号の報告。
腸チフスにおける蛋白結合型ワクチンの有効性-細菌摂取による感染モデルでの検討(解説:板倉泰朋氏)-761 腸チフスは南アジアやサハラ以南アフリカなど、上下水道の設備が不十分な途上国を中心に流行を認めている疾患である。世界では小児を中心に年間2,000万人以上が罹患し、死亡者は20万人に及んでいる。日本においてここ数年は年間40~60例ほどの届け出がなされ、輸入例が多くを占めている。
がん治療の末梢神経障害、皮膚障害に指針/日本がんサポーティブケア学会 Supportive care。日本では支持療法と訳されることが多い。しかし、本来のSupportive careは、心身の異常、症状の把握、がん治療に伴う副作用の予防、診断治療、それらのシステムの確立といった広い意味であり、支持療法より、むしろ支持医療が日本語における適切な表現である。2017年10月に行われた「第2回日本がんサポーティブケア学会学術集会」のプレスカンファレンスにおいて、日本がんサポーティブケア学会(JASCC)理事長 田村和夫氏はそう述べた。