感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:143

未就学児へのアジスロマイシン集団配布で耐性因子が増加/NEJM

 アジスロマイシンの年2回、4年間の集団配布により、マクロライド系抗菌薬のみならず、マクロライド系以外の抗菌薬の耐性遺伝子が増大する可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のThuy Doan氏らが実施したMORDOR試験の補助的調査で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年11月12日号に掲載された。サハラ以南のアフリカでは、就学前の子供へのアジスロマイシンの年2回、2年間の配布により、小児死亡率は低下するものの、マクロライド耐性の増大という代償を要することが報告されている。また、より長期の年2回アジスロマイシン投与が、体内の抗菌薬耐性遺伝子の集積場所である腸レジストーム(gut resistome)に影響を及ぼすかは明らかにされていないという。

日本人のマスク率が高いワケ

 マスクを着用することで不安は解消されるが、リスク軽減の期待には影響しないことが、同志社大学の中谷内 一也氏らが行った日本人対象の研究によって明らかとなった。Frontiers in Psychology誌2020年8月4日号の報告。  COVID-19に対するマスクの着用は、着用者の感染を防ぐことではなく、ほかの人への感染を防ぐことでパンデミックの蔓延を抑える。日本ではパンデミックの初期段階からマスクを着用する習慣が広まり、マスクの供給不足を引き起こした。

COVID-19の予防に対する意識が低い人とは?

 COVID-19に対する予防措置を講じても、約20%の人が適切な実施に対して消極的であることが、東京大学医科学研究所の武藤 香織氏らの研究によって明らかとなった。消極的な人の特徴として、男性、若年(30歳未満)、未婚、低所得世帯、飲酒または喫煙の習慣、外向性の高さが挙げられた。PLOS ONE誌2020年6月11日号の報告。  COVID-19に対して予防措置や自制の呼び掛けといった対策を講じ、協力を要請した状況下で、予防的行動がいつ、どのように変化したか調査した。クォータサンプリングに基づき、オンラインプラットフォームで実施された横断調査のミクロデータ(20~64歳、回答者数合計1万1,342人)を使用した。

米空母内の新型コロナ感染リスク、甲板上より船内で高い/NEJM

 米原子力空母セオドア・ルーズベルト(乗組員4,779人)において、2020年3月23日~5月18日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクが発生、U.S. Navy Bureau of Medicine and SurgeryのMatthew R. Kasper氏らがその調査結果をまとめた。SARS-CoV-2の感染は、狭苦しい閉鎖的な空間で無症状および症状発現前の感染者によって促進され、空母内で急速に拡大したという。SARS-CoV-2陽性と判定された乗組員の約半数は、無症状であった。NEJM誌オンライン版2020年11月11日号掲載の報告。

Pfizer社の新型コロナワクチン有効率、最終解析で95%/第III相試験

 Pfizer社とBioNTech社は2020年11月18日、COVID-19に対するmRNAベースのワクチン候補であるBNT162b2の第III相試験の有効性の最終解析で、主要有効性評価項目をすべて達成したと発表した。本ワクチンの1回目の接種から28日以降のCOVID-19発症について、SARS-CoV-2感染歴のない参加者でワクチン有効率が95%(p<0.0001)を示し、さらにSARS-CoV-2感染歴を問わない場合でも同様であった。有効率は年齢、性別、人種、民族で一貫しており、65歳以上での有効率は94%を超えていた。COVID-19重症例は10例で、9例がプラセボ群、1例がBNT162b2群だった。両社は20日、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)を申請した。

監視下隔離中に新型コロナクラスター発生、その原因は/NEJM

 米国海軍入隊者1,848人について調べたところ、入隊時の定量PCR検査でSARS-CoV-2陰性だった入隊者のうち約2%が、入隊2週間後の検査で陽性に転じていた。また、入隊時の検査を拒否した入隊者のうち、同2週間後の検査で陽性だったのは2%未満であり、さらに、入隊2週間後の検査で陽性と判定された入隊者のうち、検査前から症状が認められたのは10%に満たず大半が無症状で、毎日の検温や体調モニタリングによるスクリーニングでは、SARS-CoV-2感染者は検出されなかったという。ゲノム解析では、6つの感染クラスターが確認された。米国・Naval Medical Research CenterのAndrew G. Letizia氏らが、若年成人におけるSARS-CoV-2感染制御のための有効な公衆衛生対策の研究が不十分であることから本検討を行い明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年11月11日号掲載の報告。

新型コロナ、どの国のワクチンを希望する?医師1,000人アンケート

 新型コロナワクチン接種の優先対象について、厚生労働省は11月9日の厚生科学審議会において、高齢者や基礎疾患がある人を優先的に接種する方針を固めた。今後はどのような基礎疾患を有する人を対象にするのかが話し合われる予定だ。今回の話し合いでは医療者への優先接種が見送りとなったが、医療者では接種を求める者と接種に抵抗を示す者はどの程度いるのだろうかー。そこで、ケアネットでは10月15日(木)~21日(水)の期間、会員医師1,000人に対し「医師のワクチン接種に対する心境について」に関するアンケートを実施。その結果、全回答者のうち接種を希望するのは61.2%だった。

COVID-19への初期診療の手引きVer.3.0公開、改訂点は?/日本プライマリ・ケア連合学会

 日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)は、11月12日の同連合学会のホームページ上で冬季の診療に対応するために改訂した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き Ver.3.0」(ダウンロード可能)を公開した。  今回の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き」の改訂では、最新の疫学データのほか、PCR検査を希望する患者への説明、各種検査法、医療従事者が暴露した場合の対応、参照資料の充実など変更されたほか、各章の図表などもアップデートされている。

Moderna社の新型コロナワクチン、有効率94.5%を示す/第III相試験中間解析

 Moderna社は、COVID-19に対するワクチン候補であるmRNA-1273の第III相試験(COVE試験)の最初の中間分析において、ワクチンの有効率が94.5%と統計学的な有意差を示したことを11月16日に発表した。今後数週間以内に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。  第III相COVE試験は、米国で18歳以上の参加者を対象に、用量100μgで28日間隔・2回投与でmRNA-1273の有効性を評価する無作為化1:1プラセボ対照試験。10月22日に3万人の登録を完了した。参加者には7千人以上の高齢者(65歳以上)、5千人以上の慢性疾患(糖尿病、重度の肥満、心臓病など)を有する患者が含まれる。

HPVワクチン、国は積極的勧奨を早急に再開すべき/日本癌治療学会

 7月に9価HPVワクチンが国内承認され、10月に4価HPVワクチンの有効性を確認した論文がNEJM誌に掲載されるなど、今年に入ってHPVワクチンに関連する動きが出ている。10月に開催された第58回日本癌治療学会学術集会では、こうした動向を踏まえ、会長企画シンポジウム「HPV関連癌の疫学からみる予防戦略」が開催された。  この中で、大阪労災病院の田中 佑典氏は「HPV感染から見る子宮頸癌の現在の問題点と予防対策」と題し、国内のHPVワクチン接種に関するこれまでの経緯を振り返り、今後の予防戦略をどう行っていくべきかをテーマに講演を行った。