感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

インフル・コロナワクチン接種、同時vs.順次で副反応に差はあるか

 インフルエンザワクチンと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンを同時に接種した場合、1~2週間空けて両ワクチンを順次接種した場合と比較して、中等度以上の発熱、悪寒、筋肉痛などの発生状況に差はみられないことが、無作為化プラセボ対照臨床試験の結果示された。米国・Duke University School of MedicineのEmmanuel B. Walter氏らがJAMA Network Open誌2024年11月6日号に報告した。これまで、両ワクチンの同時接種の安全性に関する無作為化臨床試験データは限定的であった。  本試験は、2021年10月8日~2023年6月14日に米国の3施設で実施された。参加者は5歳以上で妊娠しておらず、4価インフルエンザ不活化ワクチン(IIV4)とCOVID-19のmRNAワクチンの両方を接種する意思のある者であった。1回目には、mRNA COVID-19ワクチンと同時にIIV4または生理食塩水を、反対側の腕に筋肉内投与した。1~2週間後、2回目として1回目に生理食塩水を投与された参加者にはIIV4を、1回目にIIV4を投与された参加者には生理食塩水を投与した。

日本の新型コロナワクチン接種意向、アジア5地域で最低/モデルナ

 モデルナ・ジャパンは11月13日付のプレスリリースで、同社が日本およびアジア太平洋地域のシンガポール、台湾、香港、韓国(アジア5市場)において実施した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と新型コロナワクチンに対する意識調査の結果を発表した。その結果、日本は、新型コロナワクチンの接種意向、新型コロナとインフルエンザのワクチンの同時接種意向共に、アジア5地域で最低となった。

「電気絆創膏」で皮膚感染を予防する可能性

 実験段階にある「電気絆創膏」によって、いつの日か医師は薬を全く使わずに細菌感染を防げるようになる可能性のあることが、新たな研究で示された。皮膚パッチを通じて知覚できないほど弱い電気的刺激を与えることで、人間の皮膚の常在菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が10倍近く減少したことが確認されたという。米シカゴ大学化学科教授のBozhi Tian氏らによるこの研究の詳細は、「Device」に10月24日掲載された。Tian氏は、「この研究により、薬剤を使わない治療、特に薬剤耐性が深刻な問題となっている皮膚感染症や創傷の治療において素晴らしい可能性が広がった」と話している。

市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性

 市中肺炎の入院患者のほとんどで、静注抗菌薬から経口抗菌薬への早期切り替えが安全であることが無作為化比較試験で示されているが、最初から経口抗菌薬のみ投与した場合のデータは限られている。今回、入院中の市中肺炎患者を対象にβラクタム系薬の投与期間を検討したPneumonia Short Treatment(PST)試験の事後解析として、投与開始後3日間の抗菌薬投与経路を静脈内投与と経口投与に分けて有効性を比較したところ、有意差が認められなかったことをPST研究グループのAurelien Dinh氏らが報告した。Clinical Microbiology and Infection誌2024年8月号に掲載。

乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?

 生物学的製剤の投与を受けている乾癬患者における真菌感染症リスクはどれくらいあるのか。南 圭人氏(東京医科大学皮膚科)らの研究グループは、臨床現場において十分に理解されていないその現状を調べることを目的として、単施設後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、インターロイキン(IL)-17阻害薬で治療を受けた乾癬患者は、他の生物学的製剤による治療を受けた患者よりも真菌感染症、とくにカンジダ症を引き起こす可能性が高いことが示された。さらに、生物学的製剤による治療を開始した年齢、糖尿病も真菌感染症の独立したリスク因子であることが示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2024年9月30日号掲載の報告。

レトロウイルス感染症-基礎研究・治療ストラテジーの最前線-/日本血液学会

 2024年10月11~13日に第86回日本血液学会学術集会が京都市で開催され、12日のPresidential Symposiumでは、Retrovirus infection and hematological diseasesに関し5つの講演が行われた。本プログラムでは、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)の発がんメカニズムや、ATLの大規模全ゲノム解析の結果など、ATLの新たな治療ストラテジーにつながる研究や、ATLの病態解明に関して世界に先行し治療開発にも大きく貢献してきた日本における、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連疾患の撲滅といった今後の課題、AIDS関連リンパ腫に対する細胞治療や抗体療法の検討、HIVリザーバー細胞を標的としたHIV根治療法など、最新の話題が安永 純一朗氏(熊本大学大学院生命科学研究部 血液・膠原病・感染症内科学)、片岡 圭亮氏(慶應義塾大学医学部 血液内科)、石塚 賢治氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 人間環境学講座 血液・膠原病内科学分野)、岡田 誠治氏(熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 造血・腫瘍制御学分野)、白川 康太郎氏(京都大学医学部附属病院 血液内科)より報告された。

敗血症患者の半数は2年以内に死亡する

 救急外来を受診して入院した敗血症患者の50%強が2年以内に死亡していることが、オーフス大学病院(デンマーク)臨床疫学分野のFinn Nielsen氏らによる新たな研究で明らかになった。Nielsen氏は、「敗血症後の死亡リスクを上昇させるいくつかの因子が判明した。当然のことながら、高齢はその1つであり、認知症、心臓病、がん、過去6カ月以内の敗血症による入院歴などもリスク上昇と関連していた」と述べている。この研究結果は、ヨーロッパ救急医学会年次総会(EUSEM 2024、10月13〜16日、デンマーク・コペンハーゲン)で発表された。

60歳以上へのRSVワクチン、承認後初のシーズンの有効性/Lancet

 RSウイルス(RSV)ワクチン承認後最初のシーズンである2023~24年の米国において、同ワクチンの接種は、60歳以上のRSV関連入院および救急外来受診の予防に有効であったことが示された。米国疾病予防管理センターのAmanda B. Payne氏らが報告した。2023年に初めて使用が推奨されたRSVワクチンは、臨床試験で下気道疾患に有効であることが確認されているが、実臨床での有効性に関するデータは限られていた。Lancet誌2024年10月19日号掲載の報告。  研究グループは、米国8州の電子カルテに基づくネットワーク(Virtual SARS-CoV-2, Influenza, and Other respiratory viruses Network:VISION)において、2023年10月1日~2024年3月31日にRSV検査を受けた60歳以上の成人におけるRSV様疾患による入院および救急外来受診に関して、検査陰性デザインを用いた解析を実施した。

重症の新型コロナ感染者の心臓リスクは心疾患既往者のリスクと同程度

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、心筋梗塞や脳卒中、全死亡などの主要心血管イベント(MACE)リスクを高め、その程度はCOVID-19に罹患していないが心疾患の既往歴がある人のリスクとほぼ同程度であることが、米クリーブランドクリニック・ラーナー研究所心血管代謝学部長のStanley Hazen氏らによる新たな研究から明らかになった。この研究ではまた、重症度にかかわらず、COVID-19罹患は、その後3年間のMACEリスクを2倍に高めることも示されたという。この研究結果は、「Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology」に10月9日掲載された。  Hazen氏は、「この研究結果から、COVID-19は上気道感染症である一方で、さまざまな健康リスクを伴う疾患であり、心血管疾患の予防に関する計画や目標を策定する際には、COVID-19の既往歴を考慮すべきことを強く示したものだ」と述べている。

“風邪”への抗菌薬処方、医師の年齢で明確な差/東大

 日本における非細菌性の急性呼吸器感染症に対する抗菌薬の処方実態を調査した結果、高齢院長の診療所、患者数が多い診療所、単独診療の診療所では抗菌薬を処方する割合が高く、とくに広域スペクトラム抗菌薬を処方する可能性が高かったことを、東京大学大学院医学系研究科の青山 龍平氏らがJAMA Network Open誌2024年10月21日号のリサーチレターで報告した。  日本では2016年より薬剤耐性(AMR)対策アクションプランなど、適切な抗菌薬処方を推し進める取り組みが行われているが、十分な成果は出ていない。そこで研究グループは、急性呼吸器感染症が不適切な抗菌薬処方を受けることが多い疾患の1つであることに注目し、非細菌性の急性呼吸器感染症に対する抗菌薬処方とそれに関連する診療所の特性を調査した。