オミクロン株とデルタ株の流行時期における、COVID-19に伴う症状の違いや入院リスク、症状持続時間について(解説:寺田教彦氏)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、流行株の種類により感染力や重症化率、ワクチンの効果が変化していることはニュースでも取り上げられている。これらのほかに、流行株により臨床症状が変わってきたことも医療現場では感じることがあるのではないだろうか?例えば、2020年にイタリアから報告されたCOVID-19に伴う症状では、味覚・嗅覚障害が新型コロナウイルス感染症の50%以上に認められ、特徴的な症状の1つと考えられていたが、それに比して咽頭痛や鼻汁などの上気道症状は少なかった(Carfi A, et.al. JAMA 2020;324:603-605.)。ところが、2022年4月現在の臨床現場の感覚としては、COVID-19に伴う症状は咽頭痛や声の変化を訴える患者が増えてきており、味覚・嗅覚障害を理由に検査を新型コロナウイルスのPCR検査を受ける人はほとんどいなくなったように思われる。