内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

高K血症治療薬patiromerが心不全治療を最適化-DIAMOND試験サブ解析

 ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を含むレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬は高カリウム血症(以下、高K血症)を引き起こす可能性があるため、処方がためらわれる場合がある。今回、オーストラリア・Heart Research InstituteのAndrew J. S. Coats氏らは、高K血症治療薬patiromerがHFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者におけるRAAS阻害薬の目標用量の達成を容易にすることを明らかにした。さらに、RAAS阻害薬による治療以前に高K血症を認めた患者の場合でも、patiromerが血清K値を維持し、MRAの目標用量を達成するうえでより有益である可能性も示唆した。JACC:Heart Failure誌2024年12月号掲載の報告。

コロナ罹患後症状、研究指標をアップデート/JAMA

 米国・スタンフォード大学のLinda N. Geng氏らは、米国国立衛生研究所(NIH)によるRECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)Initiativeの一環であるRECOVER-Adult studyにおいて、追加の参加者のデータを含めた最新解析を行い、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状であるLong COVID(LC)の研究指標を報告した。著者は、「LCの理解が進むに従って指標の継続的な改善が必要で、LC研究指標2023年版を更新した2024年版は、研究者がLCとその症状サブタイプを分類するのに役立つ」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年12月18日号掲載の報告。

外科医は器用?バズワイヤーゲームで評価/BMJ

 バズワイヤーゲーム(イライラ棒ゲーム)を用いた評価の結果、外科医は他の病院スタッフと比較して、手先が器用であったが不快な言葉を発する割合も高かった。一方、看護師および非臨床スタッフは、いら立ちの声を発する割合が高かった。英国・リーズ大学のTobin Joseph氏らが、前向き観察研究「Tremor研究」の結果を報告した。著者は、「病院スタッフの職種によって多様なスキルセットがあることが浮き彫りとなった。今後のトレーニングでは、器用さとストレス管理の両方を強化するためファミリーゲームを取り入れることが有用かもしれない。また、今後の募金活動では、外科医のswear jar(不快な言葉への罰金箱)の実施を検討すべきある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2024年12月20日号掲載の報告。

高血圧患者の家庭脈拍数、66bpm以上で死亡リスク2倍超/帝京大

 診察室脈拍数は、心血管疾患の発症リスクや全死亡リスクと関連することが知られている。しかし、家庭脈拍数との関連は明らかになっていない。そこで、大久保 孝義氏(帝京大学医学部公衆衛生学講座 主任教授)、木村 隆大氏(帝京大学医学部附属溝口病院)らの研究グループは、高血圧を有する患者の家庭脈拍数と死亡、心血管イベントとの関連を検討した。その結果、家庭脈拍数が高いと全死亡リスクも高いことが示された。本研究結果は、Journal of the American Heart Association誌2024年12月17日号で報告された。

うつ病や不安症の予防に有効な飲み物を年齢別に分析

 メンタルヘルスには食習慣が関連しており、独立したリスク因子であることが示唆されている。しかし、飲料摂取とメンタルヘルスとの関連を年齢別に評価したエビデンスは限られている。中国・温州医科大学のJiali Xie氏らは、6種類の飲料とうつ病および不安症との関連を推定するため、UKバイオバンクのデータを用いて検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年11月23日号の報告。  食事に関するアンケートを1回以上回答したベースライン時にうつ病および不安症でなかった参加者18万8,355人をUKバイオバンクデータより抽出した。分析には、Cox比例ハザードモデルおよび置換分析を用いた。

肥満は服薬遵守と独立した負の関連因子―国内CVD患者対象研究

 心血管疾患(CVD)患者を対象に、服薬遵守状況(アドヒアランス)を主観的指標と客観的指標で評価した研究結果が報告された。客観的指標に基づきアドヒアランス良好/不良に分けた2群間で主観的指標には有意差がないこと、および、肥満がアドヒアランス不良に独立した関連のあることなどが明らかにされている。福岡大学筑紫病院薬剤部の宮崎元康氏らの研究によるもので、詳細が「Pharmacy」に10月6日掲載された。  慢性疾患では服薬アドヒアランスが低下しやすく、そのことが予後不良リスクを高めると考えられる。しかし服薬アドヒアランスを評価する標準的な手法は確立されておらず、主観的な手法と客観的な手法がそれぞれ複数提案されている。例えば主観的評価法の一つとして国内では、12項目の質問から成るスケールが提案されている。ただし、そのスケールでの評価結果と、残薬数から客観的に評価した結果との関連性は十分検討されておらず、今回の宮崎氏らの研究は、この点の検証、およびCVD患者の服薬アドヒアランス低下に関連のある因子を明らかにするために実施された。

医師の学会発表と急性心筋梗塞の院内死亡率が関連~日本の後ろ向き研究

 臨床医が日本循環器病学会で発表している病院で治療された心筋梗塞患者は、発表していない病院で治療された患者より院内死亡率が低く、また、エビデンスに基づく薬剤処方が多かったことが京都大学の高田 大輔氏らによる後ろ向き研究でわかった。PLoS One誌2024年12月9日号に掲載。  本研究では、QIP(Quality Indicator/Improvement Project)に参加している日本の急性期病院の管理データベースを解析した。2014年4月1日~2018年12月31日に急性心筋梗塞で入院した患者を、入院した病院の医師がその年の日本循環器学会年次学術集会で発表があった患者(学会発表群)と、学会発表のなかった病院に入院した患者(対照群)に分け比較した。5つのモデル(未調整モデル、モデル1:性別・年齢・Killip分類・喫煙・救急車の使用・高血圧・心房細動・陳旧性心筋梗塞・糖尿病・腎臓病・慢性閉塞性肺疾患で調整、モデル2:モデル1に加え、入院年と各病院の年間入院数で調整、モデル3:病院コードでクラスター化し、モデル1と同じ変数で調整したマルチレベル分析、モデル4:モデル1に加え、因果媒介分析によりEvidence-based Practiceで調整)における院内全死亡リスクを、多変量ロジスティック回帰分析を用いて推定した。

炭水化物制限で糖尿病患者のβ細胞機能が改善

 2型糖尿病患者を対象に、炭水化物制限食と高炭水化物食で介入した結果、前者において膵β細胞機能が改善したとする論文が、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月22日掲載された。米アラバマ大学バーミンガム校のBarbara A. Gower氏らが行った、12週間にわたるランダム化比較試験の結果として報告された。  この研究は、エネルギー量が等しい炭水化物制限(carbohydrate-restricted;CR〔炭水化物由来のエネルギーが約9%、脂質由来が約65%〕)食と、高炭水化物(higher carbohydrate;HC〔炭水化物由来が約55%、脂質由来が約20%〕)食が、2型糖尿病患者のβ細胞機能に与える影響を比較するために実施された。対象は、糖尿病診断からの経過が10年以内でHbA1cが8%以下のインスリン療法を行っていない、アフリカ系米国人(African American;AA)および欧州系米国人(European American;EA)の成人2型糖尿病患者57人。なお、AAは人種的にβ細胞の脆弱性がEAより高いと考えられている。

2型糖尿病発症予防のためにダークチョコレートを毎日食べますか?(解説:住谷哲氏)

チョコレートの主成分であるカカオには抗酸化物質の一種であるフラバノール(flavan-3-ol)が豊富に含まれている。抗酸化物質を含む食品を摂取することの健康ベネフィットはこれまでに多く報告されているが、本論文はダークチョコレートの摂取が2型糖尿病発症予防に関連することを大規模前向きコホート研究の結果を用いて明らかにした。解析に用いたのは米国の医療従事者を対象としたNHS、NHSII、HPFSの3つの大規模前向きコホートであり、これまでにも多くの食品と健康ベネフィットとの関連を研究する目的で使用されてきている。解釈する際の注意点としては、対象がすべて医療従事者であり、さらにNHS、NHSIIは対象が看護師なので、全体として健康意識の高い女性を中心とした対象から得られた結果であることである。

Ca拮抗薬・NSAID・テオフィリンと逆流性食道炎リスク/国立国際医療研究センター

 逆流性食道炎の有病率と薬剤などの危険因子について調査した結果、カルシウム拮抗薬、テオフィリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用が逆流性食道炎の独立した予測因子であることが示唆された。国立国際医療研究センターの植田 錬氏らが、BMJ Open Gastroenterology誌2024年12月16日号で報告した。  この後ろ向き横断研究は、2015年10月~2021年12月に国立国際医療研究センターで食道・胃・十二指腸内視鏡検査を受けた患者を対象とし、質問票を用いて患者の特徴、病歴、喫煙・飲酒歴、内視鏡検査時に服用していた薬剤に関するデータを収集した。