内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:65

処方薬の片頭痛治療効果は市販のイブプロフェンより高い?

 片頭痛に苦しんでいるなら、イブプロフェンを買いに行くのではなく、処方薬の使用についてかかりつけの医師に相談する方が良いかもしれない。米メイヨー・クリニックの神経専門医Chia-Chun Chiang氏らは、トリプタン製剤やエルゴタミン製剤、制吐薬などの処方薬は、イブプロフェンと比べて急性期の片頭痛に対する効果が高いことが示されたとする研究結果を、「Neurology」に11月29日発表した。Chiang氏は、「片頭痛の治療では、トリプタン製剤を重度の頭痛発作に対する使用にとどめておくよりも早期の段階から使用を考慮すべきことが確認された」と説明している。

テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。  主な結果は以下のとおり。

日本の片頭痛治療におけるフレマネズマブのリアルワールドエビデンス

 抗CGRP抗体であるフレマネズマブのみに焦点を当てたアジアにおけるリアルワールド研究は、これまでほとんど行われていなかった。慶応義塾大学の大谷 星也氏らは、日本のリアルワールドにおけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果から、日本人の片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性および安全性が確認され、フレマネズマブ治療により約半数の患者において片頭痛関連症状の改善が認められたことを報告した。BMC Neurology誌2023年11月14日号の報告。

赤ワインで頭痛が生じる人がいるのはなぜ?

 ホリデーシーズンには数え切れないほどのコルク栓が開けられ、たくさんのワインが飲まれることになるが、ほんの少しの飲酒でもひどい目にあう人がいる。それは、たとえ小さなグラス1杯でも赤ワインを飲んだときにだけ頭痛が起きる人だ。こうした中、米カリフォルニア大学デービス校ブドウ栽培・醸造学部のApramita Devi氏らが、このような「赤ワイン頭痛」が引き起こされる原因の解明につながり得る研究結果を、「Scientific Reports」に11月20日発表した。それによると、果物や野菜に含まれているフラボノールの一種であるケルセチンが、赤ワイン頭痛を引き起こしている可能性があるという。

食後に椅子に座らなければエネルギー消費が1割増える

 食後に立っているだけで、座って過ごすよりもエネルギー消費が1割増えるというデータが報告された。ただし、糖尿病でない人を対象に行われたこの研究では、食後の血糖値には有意差が認められなかったことから、代謝性疾患の予防という点では単に立っているだけでなく、軽い運動を加えた方が良い可能性があるという。岐阜大学教育学部保健体育講座の河野寛也氏、上田真也氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に10月17日掲載された。

精度の低いAIは臨床医の誤診を増やす?/JAMA

 臨床医の診断精度は、標準的な人口知能(AI)モデルと一般的に用いられている画像ベースのAIモデルを提供された場合は向上するが、系統的に偏ったAIモデルを提供された場合は低下し、その影響は画像ベースのAIモデルで補うことはできなかったことが、米国・ミシガン大学のSarah Jabbour氏らによる検討で示された。AIは入院患者を診断する際に臨床医の助けになる可能性があるが、AIモデルの系統的な偏りは臨床医の診断精度を悪化させる可能性が示唆されており、最近の規制ガイドラインでは、AIモデルに、モデルによる誤りを軽減するための判断根拠の説明(AI explanations)を組み込むことを求めている。しかし、この戦略の有効性は確立されていなかった。JAMA誌2023年12月19日号掲載の報告。

肥満症へのチルゼパチドの効果、36週で中止vs.投与継続/JAMA

 過体重または肥満の集団において、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)/グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)共受容体作動薬であるチルゼパチドは、36週間の投与で20%以上の体重減少をもたらし、投与を中止すると体重が大幅に増加したが、投与継続により初期の体重減少を維持あるいはさらに増強することが、米国・Weill Cornell MedicineのLouis J. Aronne氏らが実施した「SURMOUNT-4試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年12月11日号に掲載された。

軽度の肥満は健康の印、GLP-1作動薬の効果は高度肥満者で示されているにすぎない(解説:名郷 直樹 氏)-1766

世の中は肥満に厳しくやせに寛容だ。なぜそんなことになっているのか。肥満と死亡の関係について言えば、日本人のコホート研究のメタ分析の結果で、BMIで23から25のあたりで死亡率が最も低くなっていると報告されている。ちょっと太めのほうが健康なのである。それにもかかわらず、ちょっと腹が出ている程度の肥満をメタボと呼び、軽度の肥満をもむしろ不健康と捉えている情報が大部分だ。やせの人を太らせる薬の臨床試験はないが、肥満のリスクばかりを強調する中、やせ薬として話題の薬、GLP-1作動薬の臨床試験が立て続けに報告されている。

痩身目的のオンライン診療でのトラブルが急増/国民生活センター

 痩身目的での糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)の不適切処方が問題視され、厚生労働省などから適正使用への注意喚起がなされている。さらに最近では、痩身をうたうオンライン診療でトラブルが急増し、国民生活センターが警鐘を鳴らしている。  同センターへ寄せられた年度別相談件数では、2021年度は49件、2022年度は205件、2023年度は10月31日までで169件と多く、21年から22年では約4.2倍も急増していた。  痩身目的などのオンライン診療に関する相談では、処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が十分でないまま、初診時に数ヵ月分の処方薬が処方されるなど、不適切なケースがあると同センターは報告している。

食塩摂取量はどこまで減らせばいいのだろうか?(解説:石川讓治氏)

食塩摂取量がきわめて少ない民族においては高血圧の有病率が低いことが報告されてから、食塩摂取量の減少を試みる介入研究が幾つかされてきた。DASH研究において食塩6g/日以下にすることで有意に血圧低下が認められることが示され、現在の各国の高血圧治療ガイドラインにおいては食塩摂取量を1日6g以下にすることを推奨している。しかし、わが国の食塩摂取量は1日12~13g程度で、まだまだ目標レベルに程遠いのが現実である。本研究は、ナトリウム摂取量2,200mg(食塩として5.59g)/日の1週間継続、ナトリウム摂取量500mg(食塩として1.27g)/日の1週間継続をクロスオーバーデザインで行い、24時間平均自由行動下血圧の違いを評価した研究である。結果として、低ナトリウム食によって4mmHgの平均血圧低下が認められた。低ナトリウム食で73.4%の参加者で平均血圧が低下しており、食塩感受性が46%の参加者に認められている。低ナトリウム食の降圧効果は、対象者の年齢、性別、人種、高血圧の有無、ベースラインの血圧値、糖尿病、肥満度には影響を受けなかった。わずか1週間の減塩で血圧低下が起こることは非常に驚きであり、今後の患者指導で有用なデータであると考えられた。