神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

帯状疱疹ワクチンが認知症を予防する:観察研究が質の低いランダム化比較試験を凌駕するかもしれない(解説:名郷直樹氏)

 水痘ウイルスが長く神経系に留まり、認知機能などに影響を及ぼす可能性が疑われているが、ウェールズでの帯状疱疹生ワクチンと認知症予防の研究とほぼ同時に発表された、オーストラリアの6つの州にまたがる65の一般医(general practitioner)の電子レコードを利用した観察研究である。2016年の帯状疱疹生ワクチンの無料接種が開始された時期に、ワクチン接種対象者と非接種対象者を比較し、認知症の発症との関連を見た、ビッグデータを利用した観察研究である。研究デザインが準実験的研究と書かれているように、観察研究でありながらさまざまな工夫がなされた研究である。まず曝露群と比較対照群の設定であるが、実際の接種者ではなく、無料の接種が始まる前に80歳の誕生日を迎えた非接種対象者と、開始後に誕生日を迎えた接種対象者を比較し、ランダム化比較試験のITT(intention to treat)を模倣した解析を行っている。

バーチャル合唱プログラムで孤立した高齢者の気分やウェルビーイングが向上

 歌を歌うことが魂にとって救いとなることがあるが、バーチャルな集団の中で歌うことにも同様の効果はあるのだろうか? その答えは「イエス」であることが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のロックダウン中にバーチャル合唱団へ参加したことが高齢者の感情面あるいは精神面に良い影響をもたらしたのかどうかを検証した研究で示された。研究によると、孤立した高齢者からは、ZoomやFacebook Liveを介して合唱の練習に参加したことで不安が軽減され、社会とのつながりが深まり、感情的および知的な刺激を受けることができたとの評価が得られたという。米ノースウェスタン大学音楽療法プログラムのBorna Bonakdarpour氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Alzheimer’s Disease」に4月22日掲載された。

筋萎縮性側索硬化症、リルゾール+低用量IL-2で死亡リスク低減か/Lancet

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者において、リルゾールへの低用量インターロイキン2(IL-2LD)の上乗せは補正前解析では有意ではないものの死亡リスクの減少をもたらし、補正後解析では脳脊髄液中リン酸化ニューロフィラメント重鎖(CSF-pNFH)低値集団で有意な死亡リスクの減少が認められた。フランス・Pitie-Salpetriere HospitalのGilbert Bensimon氏らMIROCALS Study Groupが、フランスの10施設および英国の7施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「MIROCALS試験」の結果を報告した。ALSは、運動ニューロンの進行性喪失を特徴とする生命を脅かす疾患であり、治療法は限られている。著者は、「主要エンドポイントにおける補正前解析と補正後解析の結果の差は、ALSの無作為化比較試験において疾患の異質性を考慮する重要性を強調しており、CSF-pNFH低値集団で死亡リスクが減少したことは、ALSに対するこの治療法が有望であることを示すものであり、さらなる研究が必要である」とまとめている。Lancet誌オンライン版5月9日号掲載の報告。

40%の患者が過小診断される心不全疾患とは/アレクシオン

 新たなトランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬アコラミジス(商品名:ビヨントラ)が2025年5月21日に発売された。これに先駆け、アレクシオンファーマが4月16日にメディアセミナーを開催し、北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授)が『心アミロイドーシスを取り巻く環境と治療の現状と課題』、田原 宣広氏(久留米大学病院 循環器病センター 教授)が『新薬アコラミジスがもたらすATTR-CMに対する新たな治療』と題して講演を行った。

若年性認知症リスクとMetSとの関連

 若年性認知症は、社会および医療において大きな負担となっている。メタボリックシンドローム(MetS)は、晩年の認知症の一因であると考えられているが、若年性認知症への影響はよくわかっていない。韓国・Soonchunhyang University Seoul HospitalのJeong-Yoon Lee氏らは、MetSおよびその構成要素が、すべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症を含む若年性認知症リスクを上昇させるかを明らかにするため、本研究を実施した。Neurology誌2025年5月27日号の報告。

希少疾病の診断ラグへの提言を入れた希少疾病白書を刊行/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、希少疾患領域での貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断の遅れ(診断ラグ)の分析、およびその解決策を提示した『希少疾患白書「診断ラグ」の実態と解消に向けての提言~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~』を刊行した。  希少疾患患者は、確定診断されるまで長い時間がかかることが多く、その影響は患者本人だけでなく、医療システム全体にも及んでいる。この実情を踏まえ、診断ラグが希少疾患患者の医療の公平性の実現における大きな障壁であると問題提起し、わが国における希少疾患患者を取り巻く現状と課題を整理する。

アルツハイマー病のアジテーション、日本におけるブレクスピプラゾールの長期安全性

 アジア人アルツハイマー病患者におけるアジテーション(攻撃的行動および発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性および有効性は、明らかとなっていない。香川大学の中村 祐氏らは、第II/III相試験において10週間の二重盲検投与期間を完了した日本人患者におけるブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日を14週間投与した場合の安全性および有効性を評価した。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2025年4月16日号の報告。  本試験は、多施設共同第III相オープンラベル試験である。元試験において、プラセボまたはブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日の10週間投与を完了した患者を、本延長試験に組み入れた。主要エンドポイントは、有害事象の発現頻度とした。

若年層での脳梗塞、意外な疾患がリスクに?

 片頭痛、静脈血栓、腎臓病や肝臓病、がんなどは、一般に脳梗塞リスクを高めるとは考えられていない。しかし、一般的な心臓の構造的異常を有する50歳未満の人においては、このような因子が脳梗塞リスクを2倍以上に高める可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。ヘルシンキ大学病院(フィンランド)脳卒中ユニットの責任者であるJukka Putaala氏らによるこの研究の詳細は、「Stroke」に4月17日掲載された。  Putaala氏は、「われわれは、これまで脳梗塞のリスク因子と見なされていなかった因子(以下、非伝統的リスク因子)、特に片頭痛がもたらす影響に驚かされた。片頭痛は、若年成人の脳卒中発症の主なリスク因子の1つであると思われる」と米国心臓協会(AHA)のニュースリリースの中で述べている。

帯状疱疹ワクチンで認知症の発症リスクを低減できる可能性(解説:小金丸博氏)

「帯状疱疹ワクチンの接種が、認知症の発症リスクを低減する可能性がある」。この仮説は近年の観察研究で示唆されてきたが、2025年になってそれを強く支持する2つの高品質な準実験的研究がNature誌およびJAMA誌に相次いで報告され、大きな注目を集めている。まず、先行研究としてウェールズでの研究結果が2025年4月2日号のNature誌に報告された。2013年にウェールズで導入された帯状疱疹ワクチン接種プログラムでは、1933年9月2日以降に生まれた人が接種対象となり、それ以前に生まれた人は対象外とされた。この明確な誕生日による区分を利用し、年齢のみがわずかに違うと推定される2つの集団を比較することで、交絡因子の影響を最小限に抑えた。その結果、ワクチン接種者では、7年間の追跡期間中に認知症と診断されるリスクが20%低下(3.5%ポイントの絶対リスク減少)し、この効果はとくに女性で顕著であった。

カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連

 アルツハイマー病は、世界的な健康問題として深刻化しており、疾患進行に影響を及ぼす可能性のある改善可能な生活習慣因子への関心が高まっている。この生活習慣因子の中でも、カフェイン摂取は潜在的な予防因子として期待されているものの、そのエビデンスは依然として複雑であり、完全に解明されていない。パキスタン・Rehman Medical InstituteのZarbakhta Ashfaq氏らは、カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連性についてのエビデンスをシステマティックにレビューし、評価した。Cureus誌2025年3月20日号の報告。