神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療の日本における費用対効果

 日本においてフレマネズマブは、反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)患者に対して有効な治療薬だが、その費用対効果は明らかになっていなかった。大阪・富永病院の竹島 多賀夫氏らは、日本の医療観点から、治療歴を有するEMおよびCM患者に対するフレマネズマブの費用対効果について標準治療(SOC)との比較を行った。PharmacoEconomics誌オンライン版2024年5月21日号の報告。  フレマネズマブとSOCの有効性および健康関連QOLに関連するデータを分析するため、マルコフモデルで推定回帰モデルを行った。モデルには、さらに文献データを追加した。調整された日本の医療観点には、生産性の損失も含めた。主なモデルアウトカムは、質調整生存年(QALY)、コスト(2022年時点の日本円)、増分費用効果比(ICER)を含む費用増加アウトカムとした。分析は、EM患者とCM患者の個別に実施し、その後組み合わせた。費用と効果は、年率2.0%の割引を行った。

米国てんかんセンター協会がガイドライン改訂

 米国てんかんセンター協会(National Association of Epilepsy Centers;NAEC)はこのほど、てんかんセンターが提供する医療に関するガイドラインを改訂。米ホフストラ大学ザッカー医学部のFred A. Lado氏らが作成したガイドラインの要約版が、「Neurology」に2月2日掲載された。  NAECは米国内の260以上のてんかんセンターが加盟している非営利団体で、1990年に初のガイドラインを発行。初版発行以降、約10年サイクルで改訂を重ねてきており、前回の改訂は2010年だった。今回の改訂に際してはPubMedとEmbaseを用いたシステマティックレビューが行われ、重複削除後の5,937報から197報を抽出。医師、患者、介護者、看護師、検査技師などさまざまなバックグランドを持つ41人から成る委員会が、それらの報告に基づき推奨の草案を作成。その後、修正デルファイ法によって最終的な合意を得るという手法により、信頼できるコンセンサスベースの推奨(trustworthy consensus-based statements;TCBS)として52項目がまとめられた。

スタチンにEPA併用、日本人の心血管イベント再発予防効果は?/Circulation

 スタチン治療を受けている慢性冠動脈疾患の日本人患者で、エイコサペンタエン酸/アラキドン酸(EPA/AA)比の低い患者において、高純度EPAのイコサペント酸エチルによる心血管イベント再発予防の可能性を検討したRESPECT-EPA試験で、心血管イベントリスクは数値的には減少したが統計学的有意差は認められなかった。一方、冠動脈イベントの複合は有意に減少した。順天堂大学の宮内 克己氏らがCirculation誌オンライン版2024年6月14日号で報告。

片頭痛予防の再定義、抗CGRPモノクローナル抗体による早期治療が治療反応を強化

 片頭痛予防に承認されている抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、患者によって治療反応が異なり、多くの国では費用償還(reimbursement)ポリシーがあるため、治療が妨げられることもある。スペイン・Vall d'Hebron HospitalのEdoardo Caronna氏らEUREkA study groupは、6ヵ月間の抗CGRP抗体に対する良好/優良な治療反応およびそれに関連する臨床的因子を調査するため、本研究を実施した。Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry誌オンライン版2024年5月22日号の報告。  本研究は、2018年3月以降に抗CGRP抗体による治療を行った高頻度の反復性片頭痛または慢性片頭痛患者を対象とした欧州の多施設共同プロスペクティブリアルワールド研究である。良好/優良な治療反応の定義は、6ヵ月後の1ヵ月あたりの頭痛日数(MHD)の減少がそれぞれ50%以上、75%以上とした。治療反応と独立して関連する変数を特定するため、一般化混合効果回帰モデルを用いた。

アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有用性〜メタ解析

 最近のランダム化比較試験(RCT)において、アルツハイマー病患者の行動障害(アジテーション)のマネジメントに対するブレクスピプラゾールの有用性が示唆されている。しかし、その有効性および安全性は、まだ明らかとなっていない。ブラジル・Federal University of CearaのGabriel Marinheiro氏らは、アジテーションを有するアルツハイマー病患者を対象にブレクスピプラゾールとプラセボを比較したRCTのメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年5月20日号の報告。

くも膜下出血の発症リスクが上がる/下がる薬は?

 オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJos P. Kanning氏らは、動脈瘤によるくも膜下出血(aSAH:aneurysmal subarachnoid hemorrhage)の発症リスクを下げるとされる処方薬として、5剤(リシノプリル[商品名:ロンゲスほか]、アムロジピン[同:アムロジンほか]、シンバスタチン[同:リポバスほか]、メトホルミン[同:メトグルコほか]、タムスロシン[同:ハルナールほか])を明らかにした。一方で、aSAHの発症に関連している可能性がある薬剤についても示唆した。Neurology誌オンライン版2024年6月25日号掲載の報告。

コーヒー・紅茶と認知症リスク、性別や血管疾患併存で違い

 コーヒーや紅茶の摂取は、認知症リスクと関連しているといわれているが、性別および血管疾患のリスク因子がどのように関連しているかは、よくわかっていない。台湾・国立台湾大学のKuan-Chu Hou氏らは、コーヒーや紅茶の摂取と認知症との関連および性別や血管疾患の併存との関連を調査するため、本研究を実施した。Journal of the Formosan Medical Association誌オンライン版2024年5月6日号の報告。  対象は3施設より募集したアルツハイマー病(AD)の高齢患者278例、血管性認知症(VaD)患者102例、対照者468例は同期間に募集した。コーヒーや紅茶の摂取頻度および量、血管疾患の併存の有無に関するデータを収集した。コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスクとの関連性を評価するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。性別および血管疾患の併存により層別化して評価を行った。

日本人における頭痛で受診する患者としない患者の特徴

 富士通クリニックの五十嵐 久佳氏らは、頭痛で医療機関を受診した患者と受診しなかった患者の特徴を明らかにするため、観察研究を実施した。BMJ Open誌2024年4月29日号の報告。  横断的なオンライン調査および医療請求データを用いて、観察研究を実施した。オンライン調査は、2020年11月に自己記入式アンケートで実施し、2017年12月〜2020年11月の医療請求データは、DeSCヘルスケアより提供された。性別と年齢が請求データと一致した19〜74歳の回答者2万1,480人のうち、頭痛を経験した人は7,311人であった。アウトカムは、参加者の特徴、医療機関の受診状況、薬物療法、片頭痛のQOLアンケート(MSQ)Ver.2.1より測定したQOL、頭痛重症度とした。

東日本大震災による住宅被害や精神的ダメージと修正可能な認知症リスクとの関連

 東北大学の千葉 一平氏らは、地域住民の高齢者における、東日本大震災による住宅被害および精神的ダメージと認知症の修正可能なリスク因子との関連を評価する目的で横断的研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2024年5月3日号の報告。  対象は、地域住民の高齢者2万9,039人(平均年齢:69.1±2.9歳、女性の割合:55.5%)。東日本大震災後の災害関連被害(住宅全壊または半壊)および精神的ダメージ(心的外傷後ストレス反応[PTSR])を、自己申告式アンケートを用いて収集し評価した。修正可能なリスク因子には、うつ病、社会的孤立、身体不活動、喫煙、糖尿病を含んだ。災害関連被害と修正可能なリスク因子との関連を評価するため、社会人口統計学的変数と健康状態変数を調整した後、最小二乗法および修正ポアソン回帰モデルを用いた。

入院中に認知症が疑われる、または診断された高齢患者の特徴

 日本では、身体疾患による入院時に認知症の疑いまたは診断を受けた患者に対する加算制度が、2016年に開始された。藤田医科大学の芳野 弘氏らは、入院中に認知症の疑いまたは認知症と診断された高齢患者の臨床的特徴を調査した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2024年4月24日号の報告。  参加者569例の年齢、性別、併存疾患、入院の原因疾患、BMI、血液検査、入院前の環境、入院前の処方歴、せん妄の割合を調査した。高頻度の疾患については、それぞれのリスク因子を独立変数とし、単回帰分析を行い、その後、重回帰分析を実施した。