神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

入院中の高齢者におけるせん妄が長期的な認知症リスクに及ぼす影響

 これまでの研究において、せん妄と認知症との関連性が示唆されているが、その多くは術後環境においての検討である。韓国・亜洲大学のGyubeom Hwang氏らは、幅広いリアルワールドデータを活用し、入院患者におけるせん妄とその後の認知症との関連を評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。The American Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2024年8月21日号の報告。  韓国の医療機関9施設より抽出された60歳以上の入院患者1,197万475例を対象に、分析を行った。せん妄の有無を特定し、傾向スコアマッチング(PSM)を用いて比較可能なグループを作成した。10年間の縦断分析を行うため、Cox比例ハザードモデルを用いた。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。すべての結果を集約し、メタ解析を実施した。さまざまなサブグループ解析および感度分析を実施し、各条件における結果の一貫性を評価した。

早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ点滴静注液」承認/リリー

 日本イーライリリーは9月24日付のプレスリリースにて、同日に厚生労働省より、早期アルツハイマー病(AD)治療薬「ケサンラ(R)点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)について、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能又は効果として、日本における製造販売承認を取得したことを発表した。  ケサンラは、アミロイドβプラークを標的とする早期AD治療薬だ。既承認のエーザイのAD治療薬「レケンビ点滴静注」(一般名:レカネマブ)に続く抗アミロイドβ抗体薬で、国内2製品目となる。

脳を使ってしゃべることができる未来が来る(解説:岡村毅氏)

ブレイン・コンピュータ・インターフェースが注目を集めている。映画「マトリックス」などでも扱われており、ご存じの方も多いだろう。イーロン・マスク氏も「ニューラリンク」という会社を立ち上げている。 この論文は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の脳の表面に電極を設置し、口を動かして発語しようとする電気活動を検出し、それを音声化することに成功したというものである。米国・カリフォルニア大学のYoutube https://www.youtube.com/watch?v=thPhBDVSxz0 Accessed September 15, 2024 で動画を見ることができるが、衝撃的そして感動的である。

片頭痛は最初の兆候が現れたときのケアで抑制可能か

 片頭痛が始まる前の最初の兆候(プロドローム)が現れた時点で治療薬のubrogepantを使用すると、患者はほとんど症状を感じることなく普段通りの生活を送れる可能性のあることが、新たな臨床試験で明らかになった。Ubrogepantは、抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide;CGRP)受容体に結合し、痛みの伝達に重要な役割を果たしているCGRPを遮断することにより効果を発揮する。米アルバート・アインシュタイン医科大学のRichard Lipton氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に8月28日掲載された。

レビー小体型認知症に対する抗認知症薬の10年間フォローアップ調査

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のHong Xu氏らは、レビー小体型認知症(DLB)に対するコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)とメマンチンの使用が、認知機能、主要心血管イベント、死亡率に及ぼす影響を評価した。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2024年8月23日号の報告。  対象は、スウェーデンの認知症レジストリより抽出したDLB患者1,095例。DLB診断90日以内にChEIまたはメマンチンを開始した場合と抗認知症薬を使用しない場合の認知機能の軌跡、主要心血管イベント、死亡リスクに及ぼす影響を評価した。分析には、治療確率逆重み付けを用いた。

新たな抗PACAPモノクローナル抗体、片頭痛予防に有効か/NEJM

 片頭痛の新たな治療手段として、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)を標的とするアプローチの開発が進められている。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは「HOPE試験」において、プラセボと比較してLu AG09222(PACAPリガンドに対するヒト化モノクローナル抗体)の単回投与は、4週間後の片頭痛の頻度を有意に減少させたことから、PACAPシグナル伝達の阻害は片頭痛の新たな予防的治療戦略となる可能性があることを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年9月5日号に掲載された

国内初承認のダニ媒介性脳炎ワクチンを発売/ファイザー

 ファイザーは9月13日付のプレスリリースにて、成人および小児におけるダニ媒介性脳炎の発症を予防する国内初の承認ワクチン「タイコバック(R)水性懸濁筋注0.5mL」および「タイコバック(R)小児用水性懸濁筋注0.25mL」(一般名:組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン)を、同日より発売したことを発表した。  本剤は、1970年代にIMMUNO社が開発した不活化ダニ媒介性脳炎ウイルスワクチンで、最初に市販された組織培養由来ダニ媒介性脳炎ワクチン。その後の改良を経て、ダニ媒介性脳炎の流行国を中心に使用されている。ファイザーは、2015年にバクスターから本剤の製造販売承認を承継した。

アルツハイマー病患者における第2世代抗精神病薬関連有害事象

 アルツハイマー病(AD)は、記憶障害、認知機能障害、神経精神症状などを引き起こす神経変性疾患である。ADの神経精神症状のマネジメントでは、第2世代抗精神病薬(SGA)が頻繁に使用されるが、AD患者に対するSGAの安全性プロファイルについては、詳しく調査する必要がある。中国・福建医科大学のJianxing Zhou氏らは、米国FDAの有害事象報告システム(FAERS)のデータベースより、薬物有害反応(ADR)を分析し、AD患者におけるSGAの安全性を評価した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2024年8月20日号の報告。  2014~23年のFAERSデータを包括的に分析し、リスペリドン、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、アリピプラゾールなどのSGAで治療されたAD患者のADRに焦点を当て評価を行った。Bayesian confidence propagation neural network(BCPNN)、ワイブル分析、PBPKモデルを用いて、記述的、不均衡性、時間、用量について分析を実施した。

ATTR型心アミロイドーシスへのブトリシラン、全死亡を低下/NEJM

 進行性の致死的疾患であるトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)患者において、ブトリシランによる治療はプラセボとの比較において、全死因死亡および心血管イベントのリスクを低下させ、機能的能力とQOLを維持することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMarianna Fontana氏らHELIOS-B Trial Investigatorsが行った二重盲検無作為化試験で示された。ブトリシランは、肝臓のトランスサイレチンの産生を阻害する皮下投与のRNA干渉(RNAi)治療薬である。NEJM誌オンライン版2024年8月30日号掲載の報告。

緑内障による認知機能障害や認知症リスク~メタ解析

 緑内障と認知症に関して、病理学的メカニズムおよび病因的因子が共通していることを裏付ける十分なエビデンスが報告されている。しかし、緑内障、認知症、認知機能障害の関連性は十分に解明されていない。中国・河南中医薬大学のXiaoran Wang氏らは、緑内障が認知症または認知機能障害のリスク上昇に及ぼす影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Aging Clinical and Experimental Research誌2024年8月20日号の報告。