脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

片頭痛患者における睡眠障害併存が中枢性感作に及ぼす影響

 片頭痛患者では、睡眠障害が見られることが多く、このことがQOLに影響を及ぼす。また、中枢感作は、片頭痛の重症度や慢性化と関連している可能性がある。獨協医科大学の鈴木 圭輔氏らは、併存する睡眠障害の数が中枢感作の影響を介して頭痛関連障害に及ぼす影響を調査した。Frontiers in Neurology誌2024年2月26日号の報告。  連続した片頭痛患者215例を対象に、横断的研究を実施した。不眠症の定義は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)総スコア5超とした。レム睡眠行動障害の可能性は、RBDスクリーニングスコア5以上と定義した。日中の過度な眠気の定義は、エプワース眠気尺度(ESS)スコア10以上とした。睡眠時無呼吸症候群の疑いの定義は、いびきまたは睡眠時無呼吸症候群の症状が3夜/週以上とした。中枢感作の評価には、Central Sensitization Inventory(CSI)を用いた。

少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍/横浜市大

 わが国で高血圧は、脳・心血管疾患の死因の第2位であり、働き盛りの健康リスクともなっている。この一方で、若年から中年における血圧分類と心血管疾患(CVD)イベントとの関連に関するエビデンスは乏しかった。そこで、桑原 恵介氏(横浜市立大学 医学部公衆衛生学・大学院データサイエンス研究科)らの研究グループは、関東・東海地方に本社のある企業など10数社による職域多施設共同研究“Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study”(J-ECOHスタディ)に参加した高血圧の治療中ではない就労者8万1,876例を9年間追跡調査した。その結果、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まることが確認された。この結果は、Hypertension Research誌オンライン版2024年4月8日に掲載された。

取り過ぎた塩分を出す「排塩コントロール」と具体的な指導方法

 10年ほど前に話題になったDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食。それが今、塩分を排出させる食事として再注目されているようだ。DASH食とは、飽和脂肪とコレステロールの少ない果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を豊富に摂取することで降圧効果が期待される“塩分の排出に重点を置いた食事療法”で、米国・国立衛生研究所(NIH)などが考案したのを契機に、国内の高血圧治療ガイドライン2019年版でも推奨されている。また、この食事療法に減塩を組み合わせたものはDASH-sodium食と呼ばれ、これまでに十分なエビデンスが報告されている。

ASPECTS 0~5の広範囲脳梗塞にも血管内治療は有効か?/NEJM

 ベースラインでの梗塞サイズの上限を設けずに試験登録した急性期広範囲脳梗塞患者において、血栓除去術+内科的治療は内科的治療単独と比べて、良好な機能的アウトカムをもたらし、死亡率も低下したことが示された。ただし症候性脳出血の発生率は高かった。フランス・Hopital Gui de ChauliacのVincent Costalat氏らLASTE Trial Investigatorsが、多施設共同前向き非盲検無作為化試験「LASTE試験」の結果を報告した。梗塞サイズの上限を設けない急性期広範囲脳梗塞患者における血栓除去術の使用については、これまで十分に検証されていなかった。NEJM誌2024年5月9日号掲載の報告。

日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスク~JPHC研究

 果物や野菜には、ビタミンC、α-カロテン、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれている。果物や野菜の摂取が認知症リスクに及ぼす影響を評価したプロスペクティブ観察研究はほとんどなく、結果には一貫性が認められていない。筑波大学の岸田 里恵氏らは、日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスクとの関連を調査した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年4月8日号の報告。  2000~03年(ベースライン時)に50~79歳の4万2,643例を対象としたJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)においてフォローアップ調査を実施した。食事による果物および野菜の摂取量、関連する抗酸化ビタミン(α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC)の摂取量は、食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて収集した。認知障害の診断は、2006~16年の介護保険制度における認知症に係る日常生活障害の状況に基づいて行った。認知障害に関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、潜在的な交絡因子で調整した後、エリア層別Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の多変量HRを算出した。

気候変動により脳卒中による死者数が増加か

 気候変動による気象の激しい変化は、脳卒中による死者数の増加につながっているようだ。新たな研究で、2019年には、厳寒をもたらす寒冷前線や灼熱の熱波が年間50万人以上の脳卒中による死亡に関係していた可能性のあることが示された。中南大学湘雅医院(中国)のQuan Cheng氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に4月10日掲載された。  Cheng氏は、「近年の劇的な気温の変動は、人間の健康に影響を及ぼし、広範な懸念を引き起こしている」と述べ、「われわれの研究では、このような気温の変動は世界中で脳卒中の負担を増加させ、特に高齢者や医療格差の大きい地域においてその影響が強い可能性が示唆された」と同誌のニュースリリースの中で述べている。

降圧薬を開始・追加した高齢者は〇〇に注意?

 高齢者は転倒リスクの1つである起立性低血圧が生じやすい。そこで、米国・Rutgers UniversityのChintan V. Dave氏らの研究チームは、降圧薬が高齢者の骨折リスクへ及ぼす影響を検討した。その結果、降圧薬の開始・追加は骨折や転倒、失神のリスクを上昇させた。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年4月22日号で報告された。  研究チームは、2006~19年に長期介護施設へ入所した米国の退役軍人2万9,648人を対象に、target trial emulationの手法を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。50個以上の共変量について1:4の割合で傾向スコアマッチングを行い、降圧薬の開始・追加後30日以内の骨折の発生リスクを評価した。認知症の有無、収縮期血圧(140mmHg以上/未満)、拡張期血圧(80mmHg以上/未満)、降圧薬の使用歴、年齢(80歳以上/未満)別のサブグループ解析も実施した。さらに、入院または救急受診を要する重度の転倒、失神のリスクも評価した。なお、降圧薬の開始・追加は、過去4週間以内に降圧薬を使用していない患者の降圧薬の使用、または過去4週間に使用している降圧薬とは別のクラスの降圧薬の追加と定義した。

レビー小体型認知症における抗コリン負荷と長期認知機能低下との関連

 トルコ・University of Health SciencesのCemile Ozsurekci氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者における1年間のフォローアップ期間中の抗コリン負荷(ACB)と認知機能変化との関連を調査するため、コホート研究を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2024年3・4月号の報告。  対象には、DLBと診断され、tertiary geriatric outpatient clinicに入院した患者を含めた。認知機能、機能的パフォーマンス、栄養状態の評価は、ベースライン時、フォローアップ期間中の6ヵ月目、12ヵ月目に評価した。ACBを評価し、ACB≧1とACB=0に層別化した。

アルツハイマー病に対するレカネマブ10mg/kg隔週投与の有効性と安全性~メタ解析

 アルツハイマー病は、60歳以上で多くみられ、認知症の中で最も多く、記憶力や認知機能を著しく損なう疾患である。世界におけるアルツハイマー病の患者数は2050年までに3倍になると予想されており、効果的な介入を開発することは急務とされる。アミロイドβを標的としたモノクローナル抗体であるレカネマブは、アルツハイマー病の進行抑制に期待される薬剤の1つである。ポジティブな臨床試験での結果は、患者に希望を与えており、疾患の理解と介入の可能性を拡大させるために進行中の研究を加速させる。エジプト・アレクサンドリア大学のKarim Abdelazim氏らは、知見のアップデートのために、レカネマブ10mg/kgにおける有効性および安全性に焦点を当て、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年4月3日号の報告。

認知症患者の抗精神病薬使用、複数の有害アウトカムと関連/BMJ

 50歳以上の認知症患者において、抗精神病薬の使用は非使用と比較し脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、骨折、肺炎および急性腎障害のリスク増加と関連していることが、英国・マンチェスター大学のPearl L. H. Mok氏らによるマッチドコホート研究で示された。有害アウトカムの範囲は、これまで規制当局が注意喚起を行っていたものより広く、リスクが最も高かったのは治療開始直後であったという。BMJ誌2024年4月17日号掲載の報告。  検討には、英国のプライマリケア研究データベースのClinical Practice Research Datalink(CPRD)AurumおよびGOLDのデータが用いられた。これらのデータベースは、入院、死亡、社会的格差など他のデータと連携している。