脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:113

低酸素血症のない脳卒中急性期患者に酸素投与は推奨できない(解説:内山真一郎氏)-754

低酸素は、脳卒中発症後数日間にはよく起こるが、間欠的なことが多く、気づかれないこともある。酸素補給は低酸素や脳卒中症状悪化を予防しうるので、回復を改善する可能性がある。本研究は、通常の予防的な低用量の酸素補給が90日後の死亡と後遺症を減らすかどうか、またもしそうなら低酸素がもっとも多く起こり、酸素投与がリハビリテーションの邪魔をしない、夜間だけの酸素補給が持続的な補給よりいいのかを評価することを目的として行われた。

卵円孔開存は問題か?(解説:後藤信哉氏)-753

胎児循環では心房中隔の一部としての卵円孔は開存している。出生とともに閉じるのが一般的である。剖検例を詳細に検討すると、20%程度の症例には機能的卵円孔開存を認めるとの報告もある。経食道心エコーでは心房の血流の詳細な検討が可能である。バブルを用いたコントラスト法により機能的卵円孔開存の診断精度も向上した。原因不明の脳梗塞の一部は、静脈血栓が開存した卵円孔を介して左房・左室と移動した血栓が原因と考えられた。とくに、出産時、潜水時などに比較的若いヒトに起こる脳塞栓には卵円孔開存を原因とするものが多いと想定された。

ドネペジル+コーヒーで治療効果が高まる可能性

 アルツハイマー型認知症(AD)に一般的に用いられる塩酸ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を示し、認知機能を高める。ヒドロキシケイ皮酸のカフェイン酸(Caffeic acid)成分は、ヒトの食生活に広く存在する。ナイジェリア・Federal University of TechnologyのOdunayo Michael Agunloye氏らは、ドネペジルのアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ阻害活性に及ぼすカフェイン酸の影響についてin vitroでの検討を行った。Journal of complementary & integrative medicine誌オンライン版2017年9月22日号の報告。

脳卒中急性期にルーチンの酸素投与は有益か?/JAMA

 低酸素血症のない脳卒中(脳梗塞、脳内出血、一過性脳虚血発作)急性期の患者に対する低用量酸素の予防的投与は、3ヵ月後の死亡または障害を減少しないことが示された。英国・キール大学のChristine Roffe氏らによる、多施設共同無作為化単盲検臨床試験「SO2S試験」(The Stroke Oxygen Study)の結果で、「これらの患者では低用量酸素療法を支持しない結果が示された」と報告している。低酸素血症は、急性脳卒中発症後の最初の数日間に生じることが多く、しばしば間欠的であったり検出されないことがある。酸素投与は、低酸素症や二次的神経機能低下を予防することによって回復を促す可能性がある一方、有害事象が生じる可能性もあった。JAMA誌2017年9月26日号掲載の報告。

炭水化物過剰摂取は全死亡を増やすが心血管病発症に影響せず(解説:島田俊夫氏)-740

生活習慣病は文字通り生活の悪習が原因で発症する病気で、発症を抑えるためには生活習慣の改善が必要不可欠である。生活習慣の基本は食および運動習慣の改善に尽きる。その中でも、食習慣は健康維持に最も重要である。食に関しては多くの論文報告があるが、その多くが欧米のデータに基づいており、食習慣の異なる国・地域に対して、これまでの成果を短絡的に敷衍できるか不明な点も多い。とくに、欧米に比べて全食事カロリーに占める炭水化物の比率が高いアジア諸国の人々に対して、これまでの成果を適用しうるか否かは疑問の多いところである。Lancet誌の2017年8月29日号で、カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、5大陸18ヵ国の全死亡・心血管疾患への食の影響を検討した大規模前向きコホート研究(PURE)の成果を報告した。本論文は幅広い国・地域集団をカバーするデータ解析に基づく興味深い論文であり、私見をコメントする。

潜因性脳梗塞、PFO閉鎖術の長期的効果は?/NEJM

 原因不明の潜因性脳梗塞を発症した成人患者において、卵円孔開存(PFO)閉鎖術群は薬物療法単独群より脳梗塞の再発が低率であったことが、980例を登録して行われた多施設共同無作為化非盲検試験「RESPECT試験」の、延長追跡期間中(中央値5.9年)の解析で示された。PFO閉鎖術の無作為化試験での主要解析は、平均2~4年の期間をベースに行われている。RESPECT試験も、追跡期間中央値2.1年時点で主要解析が行われ、PFO閉鎖術群で脳梗塞の再発率が低かったことが示されたが、有意なベネフィットは示されなかった(N Engl J Med. 2013;368:1092-1100.)。RESPECT研究グループは、長期的な影響を探索的に評価するため、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJeffrey L. Saver氏らが延長フォローアップデータの解析を行った。NEJM誌2017年9月14日号掲載の報告。

認知症になりにくい性格は

 「誠実さ」が認知症に対して保護的に働くことが、複数の研究で示唆されている。米国・フロリダ州立大学のA. R. Sutin氏らは、「誠実さ」の特定の因子が認知機能障害に対し最も保護的であるか、これらの関連が患者背景的因子や遺伝的リスクにより緩和されるかについて検討を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年9月6日号の報告。

潜因性脳梗塞への抗血小板療法単独 vs.PFO閉鎖術併用/NEJM

 原因不明の潜因性脳梗塞を発症した卵円孔開存(PFO)を有する患者において、PFO閉鎖術+抗血小板療法の併用は、抗血小板療法単独より脳梗塞の再発リスクが低いことが示された。ただしPFO閉鎖術は、デバイス関連合併症および心房細動の発現率増加と関連した。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Sondergaard氏らが、脳梗塞の再発予防を目的としたPFO閉鎖術の有用性を検討した国際無作為化比較試験「Gore REDUCE試験」の結果を報告した。PFOは潜因性脳梗塞の原因である可能性があるが、脳梗塞後の再発予防におけるPFO閉鎖術の有効性はこれまで不明であった。NEJM誌2017年9月14日号掲載の報告。