脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:124

コーヒー1日3杯以上で脳腫瘍リスク低下~JPHC研究

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究)で、コーヒーや緑茶を飲む頻度で脳腫瘍のリスクを比較したところ、コーヒーを1日3杯以上飲むグループでリスクの低下がみられ、日本人ではコーヒー摂取が神経膠腫(グリオーマ)を含む脳腫瘍のリスクを減らす可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌2016年12月号に掲載。

脳梗塞の血栓除去術、全身麻酔 vs.意識下鎮静法/JAMA

 前方循環系の急性虚血性脳卒中患者に対する血栓除去術において、意識下鎮静法は全身麻酔と比較し24時間後の神経学的状態を改善しない。ドイツ・ハイデルベルク大学病院のSilvia Schonenberger氏らが単施設で行った、無作為化非盲検比較試験SIESTA(Sedation vs Intubation for Endovascular Stroke Treatment)試験で示された。急性虚血性脳卒中に対する血栓除去術中の適切な鎮静と気道の管理については、無作為化試験のエビデンスが少なく、議論の的となっていた。著者は、「今回の結果は、意識下鎮静法の使用を支持しないものであった」と結論している。JAMA誌オンライン版2016年10月26日号掲載の報告。

脳梗塞血栓除去療法:治療までの時間と転帰―メタ解析(解説:中川原 譲二 氏)-604

第2世代デバイスを用いた血栓除去療法は、頭蓋内の大血管閉塞による虚血性脳卒中患者に対して有益である。治療までの時間と転帰との関係図式は、治療実施をガイドするために役立つ。本研究は、血栓除去療法が有益である期間、および治療遅延が機能的転帰、死亡、症候性頭蓋内出血と関係する範囲を特定することにある。研究結果は、JAMA誌2016年9月27日号に掲載された。

脳梗塞の血栓除去療法、7.3時間以内がアウトカム良好/JAMA

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJeffrey L. Saver氏らが、これまでに発表された無作為化試験についてメタ解析を行った結果、大血管虚血性脳卒中の患者に対し、血栓除去療法と薬物療法を早期に行うことで、薬物療法のみを行った場合に比べて、3ヵ月後の障害の程度は有意に低かった。また、血栓除去療法は、症状発症から7.3時間以内に行うことで3ヵ月後のアウトカムがより良好となり、7.3時間以降に実施した場合は、アウトカムについて有意差は認められなかった。第2世代デバイスを用いた血栓除去術の有益性は認められているが、施術時間に関するアウトカムについて詳細は示されていなかった。JAMA誌2016年9月27日号掲載の報告。

日本初のDOAC特異的中和剤イダルシズマブ、承認取得

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は、2016年9月28日、直接トロンビン阻害剤ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤であるイダルシズマブ(遺伝子組換え)(商品名:プリズバインド)の製造販売承認を取得したことを発表した。直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は日本初である。なお、米国と欧州では昨年、承認を取得している。

転移性脳腫瘍に対するSRSは、SRS+WBRTに比べて認知機能障害が少ない(解説:中川原 譲二 氏)-584

 全脳照射は、定位放射線照射後の腫瘍コントロールを改善するが、認知機能障害を合併するため、転移性脳腫瘍治療におけるその役割については、論争がある。1~3個の転移性脳腫瘍を有するがん患者では、SRS単独はSRS+WBRTに比べ認知機能の悪化割合が低いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul D Brown氏らの無作為化臨床試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年7月26日号に掲載された。

INTERSTROKE研究:脳卒中はどこまで予防できるか?(解説:有馬 久富 氏)-583

INTERSTROKE研究は、脳卒中の危険因子を検討した大規模国際共同ケース・コントロール研究である。アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中東、アフリカの32ヵ国からリクルートされた、発症5日以内の急性期脳卒中患者1万3,447例と性・年齢をマッチしたコントロール1万3,472例を対象として、10の危険因子(高血圧、定期的な運動、アポリポ蛋白B/A1比、食習慣、ウエスト・ヒップ比、心理社会的要因、喫煙、心疾患、飲酒、糖尿病)が脳卒中発症に及ぼす影響を検討した。その結果、これらの危険因子の人口寄与危険割合(PAR)は90.7%であった。つまり、以前から知られている10の古典的危険因子を取り除く、あるいはきちんと治療することにより、現在起こっている脳卒中の約90%を予防できる可能性が示されたわけである。

慢性期脳梗塞に対するヒト神経幹細胞療法の安全性/Lancet

 ヒト神経幹細胞(hNSC)製剤であるCTX-DPの単回脳内投与(hNSC2,000万個まで)は、有害事象を発現することなく神経学的機能の改善をもたらすことが認められた。英国・グラスゴー大学のDheeraj Kalladka氏らが、CTX-DPの第I相first in man試験であるPilot Investigation of Stem Cells in Stroke(PISCES)試験の結果、報告した。CTX-DPは、ヒト胎児の大脳皮質神経上皮細胞に由来する不死化hNSC株であるCTX0E03から同種細胞療法のために開発された製剤で、先行研究においてラットに中大脳動脈梗塞後4週後にCTX-DPを投与した結果、用量依存的な感覚運動機能の改善が確認され、脳卒中患者におけるCTX-DP治療の安全性や忍容性の評価が望まれていた。著者は今回の結果を受け、「虚血性脳卒中患者に対するこの新たな細胞療法は実現可能かつ安全であり、今後、大規模な第II相試験が行われるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月3日号掲載の報告。