脳卒中発症にさまざまな気象条件が影響し、気温が大きく低下した4日後に脳内出血の発症頻度が増加する可能性があることを、広島「救急と気象」研究(HEWS)の脳卒中研究グループが報告した。PLOS ONE誌2017年6月2日号に掲載。
研究グループでは、脳卒中の発症日および前日の気象条件が、身体状態の調節に重要な役割を果たすと仮定した。発症前の気象条件やその変化と脳卒中発症の関連に着目し、脳卒中の発症頻度と気象条件およびそれらの日々の変化との相互作用を評価する多施設後ろ向き研究を行った。3つの地域における脳卒中病院7施設に入院した急性脳卒中患者(3,935例、73.5±12.4歳、女性1,610例)を登録した。time lag変数を含むポアソン回帰モデルを用いて、湿度補正気温(THI)の平均、気圧、それらの各日の変化と、各日の脳卒中発症率を調べた。THI、気圧、およびそれらの発症前7日間の各日の変化に基づき、発症日を五分位に分けた。
主な結果は以下のとおり。
・虚血性脳卒中の頻度は、発症前日よりTHIが上昇もしくは低下したときに有意に増加した(きわめて低下した日のリスク比[RR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.05~1.34、きわめて上昇した日のRR:1.16、95%CI:1.03~1.31、r2=0.001 for the best regression、p=0.001)。
・脳内出血の頻度は、THIの高い日に有意に減少し(きわめて高い日のRR:0.72、95%CI:0.54~0.95、r2=0.013 for the best regression、p<0.001)、気圧の高い日に有意に増加した(高い日のRR:1.31、95%CI:1.04~1.65、r2=0.009 for the best regression、p<0.001)。
・発症日のTHIとそれ以外の日のTHIの変化を調整した後も、4日前にきわめてTHIが低下したときに脳内出血が増加した(RR:1.33、95%CI:1.03~1.71、r2=0.006 for the best regression、p<0.001)。
(ケアネット 金沢 浩子)