脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

「人生をエンジョイ」する人は認知症発症リスクが低い~JPHC研究

 人生をエンジョイすることは、自身の環境と楽しく関わる能力と関連しており、これは認知症リスクとも関連しているといわれている。順天堂大学の田島 朋知氏らは、日本の地域住民における人生のエンジョイレベルと認知症発症との関連を調査した。The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences誌オンライン版2023年9月18日号の報告。  対象は、Japan Public Health Center-based(JPHC)研究に参加した5年間のフォローアップ調査時点で45~74歳の日本人3万8,660例。心理的状態およびその他の交絡因子の特定には、自己記入式アンケートを用いた。認知症発症は、2006~16年の日本の介護保険(LTCI)制度に基づき評価した。Cox比例ハザードモデルを用いた、ハザード比[HR]および95%信頼区間[CI]を算出した。

日本における軽度認知障害とアルツハイマー病の疾病負荷

 軽度認知障害(MCI)およびアルツハイマー病の予防や管理対策の開発には正確な疫学データが必要とされるが、日本ではこのようなデータが不足している。九州大学の福田 治久氏らは、日本における新規発症のMCIまたはアルツハイマー病患者の疾病負荷と進行について調査を行い、急速に高齢化が進む国においてMCIやアルツハイマー病は優先度の高い疾患であり、本結果は日本におけるこれらの疾病負荷や進行について重要な初の考察を提供するものである、とまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年9月9日号の報告。

急性脳卒中への遠隔虚血コンディショニングは有効か?/JAMA

 急性脳卒中患者において、四肢虚血と再灌流の一過性サイクルによる遠隔虚血コンディショニング(RIC)を、病院到着前から病院到着後に継続して行っても、90日時点での機能的アウトカムは改善しなかった。デンマーク・オーフス大学病院のRolf Ankerlund Blauenfeldt氏らが、1,500例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。これまで、いつくかの有望な前臨床および臨床データが示されてはいたが、RICが急性脳卒中に対して有効な治療法かどうかは依然として不明であった。JAMA誌2023年10月3日号掲載の報告。

レビー小体病のバイオマーカーとして期待される「脂肪酸結合タンパク質」

 高齢人口の世界的な増加は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などの認知症や運動機能障害といった、加齢に伴う疾患の増加につながる。これらの障害に関連するリスク因子の正確な予測は、早期診断や予防に非常に重要であり、バイオマーカーは疾患の診断やモニタリングにおいて重要な役割を担う。α-シヌクレイノパチーなどの神経変性疾患では、特定のバイオマーカーが疾患の有無や進行を示す可能性がある。

妻の迅速な対応で脳梗塞から完全に回復した郵便配達員

 月曜日の午前5時15分、米国カリフォルニア州に住む男性、Levan Singletaryさんの目覚ましが鳴った。道路の清掃が始まる前に、路上に止めてある車を移動しなければいけない時間だった。アパートのドアを出て2階から階段を駆け下り、約200メートル歩いた所にあった車を移動。自宅に戻ってから、郵便局への出勤前にもう1時間、ひと眠りしようとベッドに入った。妻のAngelaさんは既に目を覚ましていたが、まだベッドの中にいた。「Van? 今日は休みじゃなかったの?」と彼女は尋ねた。彼女は夫のことを普段、Vanと呼んでいる。

実臨床における片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有用性~メタ解析

 片頭痛は、中等度~高度な頭痛エピソードを特徴とする神経疾患である。カルシトニン遺伝子に特異的なモノクローナル抗体由来の新規薬剤の開発により、従来治療で効果不十分であった片頭痛患者にとって、新たな治療選択肢がもたらされた。ブラジル・パラナ連邦大学のVinicius L. Ferreira氏らは、片頭痛予防に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(抗CGRP抗体)の実臨床での効果を評価するため、観察コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の使用に関する実臨床を反映した観察研究のメタ解析の結果は、これまでのランダム化比較試験で報告された結果と同様であり、抗CGRP抗体の有効性が確認された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2023年9月4日号の報告。

脳梗塞急性期の尿酸値低下が転帰不良に関連―福岡脳卒中データベース研究

 脳梗塞急性期に尿酸値が大きく低下するほど、短期転帰が不良であることを表すデータが報告された。九州大学大学院医学研究院病態機能内科学の中村晋之氏、松尾龍氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に6月29日掲載された。この関連は交絡因子調整後にも有意であり、かつ年齢や性別、入院時の尿酸値、脳梗塞の重症度にかかわらず、一貫して認められるという。  高尿酸血症は脳梗塞を含む心血管疾患発症のリスクマーカーであることは明らかになっており、独立したリスクファクターである可能性も示唆されている。その一方で尿酸には強力な抗酸化作用があり、尿酸値高値と健康関連指標の一部が良好であることとの関連を示した報告も散見される。ただし、脳梗塞急性期の尿酸値の変動と予後との関連は、ほとんど研究されていない。中村氏、松尾氏らはこの点について、福岡県内の急性期病院7施設が参加している「福岡脳卒中データベース研究(Fukuoka Stroke Registry:FSR)」(研究代表者:北園孝成氏)のデータを解析して検討した。

認知症治療支援保険、東京海上日動とエーザイが共同開発

 東京海上日動火災保険とエーザイは認知症の早期発見や早期治療について経済的に支援するための「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを、9月28日のプレスリリースにて発表した。アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症に特化した補償は業界初となる。  9月25日に、エーザイとバイオジェンが共同開発したヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体レカネマブが、日本において「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果において厚生労働省より承認を取得した。

実臨床における日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療

 片頭痛治療に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体フレマネズマブの有効性は、ランダム化比較試験で実証されているものの、実臨床での研究結果は、いまだ限られている。獨協医科大学の鈴木 紫布氏らは、リアルワールドにおける日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療の有効性および忍容性を明らかにするため、単一施設観察研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2023年7月6日号の報告。  対象は、6ヵ月間、毎月または四半期ごとにフレマネズマブ投与を行った反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)患者。主要アウトカムは、フレマネズマブ治療後の1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)および治療反応率の変化とした。副次的アウトカムは、治療6ヵ月時点での治療反応患者の予測因子を特定とした。また、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者におけるフレマネズマブ治療の有効性を評価し、毎月投与群と四半期投与群におけるフレマネズマブの有効性を比較した。MMDは、頭痛日誌を用いて評価した。

手術を頼むなら女性外科医、男性外科医?

 外科領域はいまだに男性中心の世界であるが、患者が手術後に長期にわたる良好な転帰を得たいのなら、女性外科医に執刀してもらうことが鍵であることを示唆する2件の研究結果が報告された。両研究とも、「JAMA Surgery」に8月30日掲載された。  1件目の研究は、トロント大学(カナダ)外科学分野のChristopher Wallis氏らが、2007年1月1日から2019年12月31日の間にカナダのオンタリオ州で実施された25種類の一般的な待機的手術または緊急手術を受けた成人患者116万5,711人を対象に、外科医の性別と術後90日および1年後の転帰(死亡、再入院、合併症の発生)との関連を検討したもの。