脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

脳梗塞の疾病負荷は今後も増大するとの予測

 脳梗塞の疾病負荷は1990~2019年にかけて増加しており、今後も増加が続くと予測されるとの研究結果が、「Neurology」に5月17日掲載された。  上海第四人民医院(中国)のJiahui Fan氏らは、GBD2019データベースに基づく年齢調整死亡率(ASMR)および障害調整生存年(ASDR)を用いて、1990~2019年における脳梗塞の世界的疾病負荷の地理的分布と傾向を示した。また、7つの主要リスク因子で説明可能な脳梗塞の死亡数を解析し、2020~2030年の死亡数を予測した。

脳梗塞、血管内治療可能な施設で血栓溶解療法は必要か/Lancet

 大血管前方循環脳卒中に対する血管内治療での静脈内血栓溶解療法の意義を検討したオランダ・アムステルダム大学のCharles B. Majoie氏らは、血管内治療センターに直接入院した患者において、血管内治療単独が血管内治療+静脈内血栓溶解療法に対し非劣性であることを立証できなかったと報告した。血管内治療前の静脈内血栓溶解療法が推奨されているが、その意義は血管内治療が可能な施設に直接入院した患者では疑問視されていた。既存の6つの無作為化試験では、2試験で血管内治療単独の非劣性が示されているが、4試験では統計学的確証は得られておらず、研究グループは今回、この6試験の参加者データを用いてメタ解析を行った。Lancet誌オンライン版2023年8月25日号掲載の報告。

食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。  20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。

意識不明の脳損傷患者、EEGとMRIで「隠れた意識」が明らかに?

 意識不明のように見える急性脳損傷患者の中には、言葉による指示に反応して脳の活動が検知できる一方で、実際に行動を起こす兆候は認められない状態の患者が存在する。この状態は、「認知と運動の解離(cognitive motor dissociation;CMD)」と呼ばれ、機能的な回復との関連が示唆されているが、その詳細は明らかになっていない。こうした中、米コロンビア大学神経学教授のJan Claassen氏らによる研究で、MRI検査と脳波検査(EEG)のデータ解析により、CMD患者と非CMD患者での脳の構造や機能の違いが明らかにされた。米国立衛生研究所(NIH)とダナ財団から助成金を受けて実施されたこの研究は、「Brain」に8月14日掲載された。

脳卒中の診断、年齢の左桁バイアスはあるか

 人間には、年齢などの連続変数の左端の桁の数字に基づいて判断する傾向(left-digit bias:左桁バイアス)がある。このバイアスが医師の意思決定にも影響するのだろうか。最近の研究では、80歳の誕生日直前の患者より、直後の患者に冠動脈バイパス術を行う可能性が低かったことが示されている。今回、京都大学の福間 真悟氏らは、脳卒中に対する画像検査のオーダーに年齢の左桁バイアスが影響するかを検討した。その結果、男性患者に対してのみ、40歳前後でオーダーの不連続的な増加がみられ、医師の脳卒中リスクの推定に認知バイアスが存在することが示唆された。Social Science & Medicine誌2023年8月26日号に掲載。

日本人高齢者の歩行速度と軽度認知障害リスクとの関係

 これまでの研究では、歩行速度の低下と認知機能低下との関連が示唆されている。しかし、この関連が高齢者集団の年齢および性別の影響を受けるかは、よくわかっていない。慶應義塾大学の文 鐘玉氏らは、年齢、性別の影響を考慮し、軽度認知障害(MCI)と歩行速度との関連について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年8月2日号の報告。  本横断研究には、2016~18年に65歳以上の日本人高齢者8,233人が登録された。性別、年齢により層別化した後、対象者の歩行速度を5分位に分類し、それぞれのMCI有病率の差を算出した。歩行速度別のMCI有病率、年齢および性別の影響を評価するため、ロジスティック回帰分析を用いた。

薬物+EC-ICバイパス術、ICA・MCA閉塞患者の脳卒中を抑制するか/JAMA

 内頸動脈(ICA)または中大脳動脈(MCA)にアテローム性動脈硬化症による閉塞を有し、患部に血行動態不全を認める症候性の患者においては、薬物療法(内科的治療)に頭蓋外-頭蓋内(EC-IC)バイパス術を併用しても、内科的治療単独と比較して脳卒中または死亡の発生を抑制しないことが、中国・National Center for Neurological DisordersのYan Ma氏らが実施した「CMOSS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年8月22・29日合併号に掲載された。  CMOSS試験は、中国の13施設が参加した非盲検(アウトカム評価者盲検)無作為化試験であり、2013年6月~2018年3月に患者を登録した(中国国家衛生健康委員会の助成を受けた)。

日本人のBMIと認知症リスク、男女間で異なる

 BMIと認知症リスクとの関連は、年齢によりばらつきがあり、性別の影響を受ける可能性がある。新潟大学のAlena Zakharova氏らは、地域在住の日本人を対象に、BMIと認知症リスクとの関連に対する性別の影響を明らかにするため、コホート研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年8月1日号の報告。  ベースライン時(2011~13年)に40~74歳であった地域在住の日本人1万3,802人を対象に8年間のフォローアップ期間を伴うコホート研究を実施した。直接測定により収集された身長、体重、腹囲を含む社会人口統計学的およびライフスタイル、病歴に関する情報を自己記入式アンケートで収集した。BMIに基づき参加者を次の6群に分類した。

レビー小体型認知症のパーキンソニズムに対するゾニサミド補助療法

 レビー小体型認知症(DLB)患者のパーキンソニズムに対してレボドパで効果不十分な場合、レボドパの増量とゾニサミド併用の効果および安全性の違いについては、よくわかっていない。大阪大学の池田 学氏らは、レボドパ300mg/日以下で治療されたパーキンソニズムを伴うDLB患者を対象に、ゾニサミド25mg/日併用療法とレボドパ100mg/日増量療法の比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年7月20日号の報告。  本DUEL研究は、多施設共同ランダム化非盲検並行群間非劣性試験として実施された。観察期間中、レボドパ300mg/日以下で4週間投与を行った。その後患者は、ゾニサミド25mg/日併用群またはレボドパ100mg/日増量群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、16週目および24週目のMDS-UPDRS Part III総スコアの平均変化とした。

脳卒中の病院間搬送、推奨時間内に収まらず/JAMA

 急性脳卒中の病院間搬送において、最初の病院の救急部門(ED)到着から転院搬送開始までの時間(door-in-door-out time:DIDO時間)の中央値は174分であり、現在のガイドラインで推奨されている時間(120分以内)よりも長いことを、米国・ミシガン大学のBrian Stamm氏らが、米国心臓協会(AHA)のAmerican Heart Association Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke)レジストリを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにした。一刻を争う急性脳卒中の治療は、すべての病院で実施できるわけではなく、しばしば病院間搬送を必要とする。今回の結果について著者は、「DIDO時間の延長に関連する格差や修正可能な医療システム要因は、医療の質の改善に向けた取り組みの目標として適している」と述べている。JAMA誌2023年8月15日号掲載の報告。