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2025-09-15 ~ 2025-09-19

2025/09/17

食事の頻度とうつ病との関係

医療一般

 これまでの研究において、1日の食事回数および夜間の絶食期間がうつ病と関連していることが示唆されているが、一定の限界や矛盾も示されていた。中国・ハルビン医科大学のYan Chen氏らは、1日の食事回数や夜間の絶食期間とうつ病との関連を検証するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌2025年12月15日号の報告。  対象は、2005〜18年の米国国民健康栄養調査(NHANES)より抽出した2万9,035人。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)総スコア10以上とした。1日の食事回数で定量化し、夜間の絶食期間は1日の最後の食事と最初の食事を調査することで評価した。重み付けロジスティック回帰モデル、制限付き3次スプライン(RCS)、媒介分析を実施した。

慢性流涎治療にA型ボツリヌス毒素が登場/帝人ファーマ

医療一般

 パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの日常症状として「流涎(よだれ)」が患者のQOLを低下させるために問題となっている。これまで、この流涎に効果的な治療法が少なかったが、2025年6月、帝人ファーマは、インコボツリヌストキシンA(商品名:ゼオマイン筋注用)について、慢性流涎の効能または効果の追加承認を取得した。そこで、同社はインコボツリヌストキシンAの追加承認について、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、パーキンソン病などの疾患と流涎の関係や治療薬の効果、投与での注意点などが解説された。

20歳以降の体重10kg増加が脂肪肝リスクを2倍に/京都医療センター

医療一般

 20歳以降に体重が10kg以上増えた人は、ベースライン時のBMIにかかわらず5年以内に脂肪肝を発症するリスクが約2倍に上昇し、体重変動を問う質問票は脂肪肝のリスクが高い人を即時に特定するための実用的かつ効果的なスクリーニング方法となり得る可能性があることを、京都医療センターの岩佐 真代氏らが明らかにした。Nutrients誌2025年8月6日号掲載の報告。  脂肪性肝疾患は、心血管疾患や代謝性疾患、慢性腎臓病のリスク増大と関連しており、予防と管理のための効果的な戦略の開発が求められている。脂肪肝に関連する質問票項目を特定することで、脂肪性肝疾患の高リスク者の早期発見につながる可能性があることから、研究グループは一般集団の健康診断データベースから収集した生活習慣情報を縦断的に分析し、脂肪肝リスクの高い個人を特定する質問票の有用性を検討した。

2025/09/16

閉塞性肥大型心筋症、aficamtenが有効/NEJM

ジャーナル四天王

 β遮断薬は、有効性に関するエビデンスが限定的であるにもかかわらず、症候性閉塞性肥大型心筋症(HCM)の初期治療に用いられてきた。心筋ミオシン阻害薬であるaficamtenは、標準治療への追加投与で左室流出路圧較差を軽減し、運動耐容能を改善してHCMの症状を軽減することが示されている。スペイン・Centro de Investigacion Biomedica en Red Enfermedades Cardiovaculares(CIBERCV)のPablo Garcia-Pavia氏らMAPLE-HCM Investigatorsは、HCMの治療におけるこれら2つの薬剤の単剤投与の臨床的有益性を直接比較する目的で、国際的な第III相二重盲検ダブルダミー無作為化試験「MAPLE-HCM試験」を実施。メトプロロール単剤に比べaficamten単剤は、最高酸素摂取量の改善に関して優越性を示し、症状の軽減や左室流出路圧較差、NT-proBNP値、左房容積係数の改善と関連したことを示した。研究の成果は、NEJM誌2025年9月11日号で報告された。

ベルイシグアトは広範なHFrEF患者に有効~2つの第III相試験の統合解析/Lancet

ジャーナル四天王

 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬ベルイシグアトは、2021年、VICTORIA試験の結果に基づき、最近の心不全悪化を経験した左室駆出率(LVEF)の低下を伴う心不全(HFrEF)患者の治療薬として欧州医薬品庁(EMA)および米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た。フランス・Universite de LorraineのFaiez Zannad氏らVICTORIA and VICTOR Study Groupsは、本薬のHFrEF患者全般における有効性と安全性の評価を目的に、VICTORIA試験と、最近の心不全の悪化を経験していないHFrEF患者を対象としたVICTOR試験の患者レベルのデータを用いた統合解析を行い、ベルイシグアトは、現行のガイドラインに基づく治療を受けている患者を含む幅広い臨床的重症度のHFrEF患者において、心不全による入院および心血管死のリスクを低減したことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年8月30日号に掲載された。

透析患者におけるアルドステロン拮抗薬の位置付けを再考する―ALCHEMIST試験の結果から(解説:石上友章氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

アルドステロンは副腎皮質球状帯より分泌される鉱質コルチコイドであり、その主要な作用部位は腎臓遠位尿細管に属するアルドステロン感受性遠位ネフロン(aldosterone-sensitive distal nephron:ASDN)である。アルドステロンは核内因子である鉱質コルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)と結合し、アルドステロン誘導性タンパク(aldosterone-inducible protein:AIP)の遺伝子発現を活性化することにより、ナトリウム再吸収およびカリウム排泄を促進する。この作用特異性は、11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2(11βHSD2)によって担保される。血中に高濃度に存在し、かつMR親和性においてアルドステロンを凌駕するコルチゾールが、11βHSD2により不活性型のコルチゾンへ変換されることで、MR結合がアルドステロンに選択的に保証されているのである。この点において、アルドステロンは生理的に特異的なシグナル伝達を遂行するホルモンと位置付けられる。

再発・難治性多発性骨髄腫への新たな二重特異性抗体トアルクエタマブのベネフィット、隔週投与も可能/J&J

医療一般

 再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新たな治療薬として二重特異性抗体トアルクエタマブ(遺伝子組換え)(商品名:タービー皮下注)が8月14日に発売されたことを受け、9月5日にJohnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ)による記者説明会が開催され、岩手医科大学の伊藤 薫樹氏が本剤の効果や有害事象の特徴、ベネフィットを紹介した。

小細胞肺がん1次治療の維持療法、タルラタマブ上乗せで1年OS率82%(DeLLphi-303)/WCLC2025

医療一般

 PS0/1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬であり、維持療法ではPD-L1阻害薬単剤の投与を継続する。PD-L1阻害薬+lurbinectedinによる維持療法の有用性を検討した「IMforte試験」では、維持療法開始時からの全生存期間(OS)中央値が併用群13.2ヵ月、PD-L1阻害薬単剤群10.6ヵ月と報告されており、アンメットニーズが存在する。そこで、PD-L1阻害薬単剤による維持療法にタルラタマブを上乗せする治療法が検討されている。世界肺がん学会(WCLC2025)において、ED-SCLCの1次治療の維持療法における、PD-L1阻害薬+タルラタマブの安全性・有効性を検討する国際共同第Ib試験「DeLLphi-303試験」の結果を米国・Providence Swedish Cancer InstituteのKelly G. Paulson氏が報告した。本試験において、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は報告されず、維持療法開始後のOS中央値25.3ヵ月、1年OS率82%と良好な治療成績が示された。本結果はLancet Oncology誌オンライン版2025年9月8日号に同時掲載された。

抗アレルギー点鼻薬がコロナ感染リスクを低減

医療一般

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝露前予防には、ワクチン接種以外の医薬品の選択肢は限られている。今回、抗アレルギー薬であるヒスタミン受容体拮抗薬アゼラスチンの点鼻スプレーは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の発生率の有意な減少と関連し、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体の総感染リスク低減とも関連していたことを、ドイツ・ザールランド大学のThorsten Lehr氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年9月2日号掲載の報告。

先進医療技術の普及により1型糖尿病患者の血糖管理が大きく改善

医療一般

 先進的テクノロジーを用いた医療機器の普及によって、1型糖尿病患者の血糖管理状態が顕著に改善しているとする研究結果が、「JAMA Network Open」に8月11日掲載された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のMichael Fang氏らの研究によるもので、血糖コントロールが良好(HbA1c7%未満)の18歳未満の患者の割合は、2009年は7%であったものが2023年には19%となり、成人患者では同期間に21%から28%に増加したという。  研究者らによると、これらの改善は、持続血糖モニターやインスリンポンプの技術革新によるところが大きいという。Fang氏は、「かつて、1型糖尿病患者の血糖コントロールは困難なことが多かった。こうした顕著な改善は喜ばしい変化だ」と述べている。ただし一方で、1型糖尿病患者の多くが、いまだに十分な血糖コントロールができていないことを、研究者らは指摘している。

2025/09/15

主要5クラスの降圧薬、単剤・併用の降圧効果を定量化/Lancet

ジャーナル四天王

 オーストラリア・University of New South WalesのNelson Wang氏らは、主要5クラスの降圧薬の降圧効果およびそれらの組み合わせによる降圧効果の定量化を目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験のシステマティックレビューとメタ解析を行った。降圧薬のあらゆる組み合わせについて、期待される降圧効果の強固な推定値を提示し、その降圧効果の程度を低強度・中強度・高強度に分類可能であることを示した。著者は、「得られた知見は、世界中の高血圧治療を受ける人々の、不良な血圧コントロールを改善するための処方決定に役立つ情報となるだろう」と述べている。Lancet誌2025年8月30日号掲載の報告。

慢性冠動脈疾患の抗血小板薬はアスピリン、クロピドグレル?(解説:後藤信哉氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

急性心筋梗塞ではアスピリンは死亡率低減効果を示した。慢性期の使用でも心血管死亡・心筋梗塞・脳梗塞発症予防効果が示され標準治療となっていた。クロピドグレルは冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患ではアスピリンに勝る優越性と安全性をCAPRIE試験で示した。冠動脈疾患のみに限局しても、アスピリンよりも有効で安全かもしれないとの仮説はあった。特許切れして特定メーカーの宣伝がなくなっても、クロピドグレルの使用は拡大した。臨床研究も多数施行されていた。本研究では、慢性冠動脈疾患にてアスピリンとクロピドグレルを比較した7つの試験のメタ解析をした。MACCEは0.86(95%信頼区間:0.77~0.96、p=0.0082)とクロピドグレル群で低く、死亡と重篤な出血では差がなかった。有効性が優れ、安全性に差がなく、価格も安いとなればクロピドグレルの使用が広がることに誰も困らない。

日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-I、症状はどの程度改善するか

医療一般

 不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、不眠症状だけでなく抑うつ症状の改善にも大きな可能性を秘めている。しかし、その効果により健康者と同等レベルまで症状が改善するかは不明である。東京家政大学の岡島 義氏らは、日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-Iにより、不眠症状および抑うつ症状が健康者レベルまで改善するかを検証するため、本研究を実施した。BioPsychoSocial Medicine誌2025年7月21日号の報告。  対象は、日本人労働者752例。不眠症およびうつ病尺度のカットオフスコアを用いて、不眠症群、うつ病群、不眠症/うつ病併存群、健康群の4群に分類した。すべての群に対してデジタルCBT-Iを2週間実施し、治療後、1ヵ月後、3ヵ月後の追跡調査でスコア変化を比較した。

EGFR陽性NSCLCへの術前オシメルチニブ、ctDNAによるMRD解析(NeoADAURA)/WCLC2025

医療一般

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)における治療選択肢として術前補助療法があるが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低い。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されており、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが、すでに報告されている1)。新たに、事前に規定された探索的解析として循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた分子的残存病変(Molecular Residual Disease:MRD)の解析が実施され、世界肺がん学会(WCLC2025)において、米国・カリフォルニア大学のCollin M. Blakely氏が解析結果を報告した。

慢性疼痛への医療用大麻、患者の期待に応えられていない?

医療一般

 慢性的な筋肉痛や関節痛に対して医療用大麻を処方された人の多くが1年以内にその使用をやめていたことが、新たな小規模研究で明らかにされた。米ペンシルベニア州で医療用大麻の使用が認められた患者78人のうち約58%が1年以内に治療を中止していたことが示されたという。米トーマス・ジェファーソン大学のAsif Ilyas氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に8月7日掲載された。  このような高い離脱率は、「医療用大麻が、関心を集めて広く採用されているにもかかわらず、多くの慢性疼痛患者の期待に応えられていないことを示している」とIlyas氏は述べている。

成人の心血管疾患患者は一般的な感染症のワクチンを接種すべき/ACC

医療一般

 米国心臓病学会(ACC)が、心血管疾患の成人患者における予防接種に関する専門家のコンセンサス声明である「2025 Concise Clinical Guidance: An ACC Expert Consensus Statement on Adult Immunizations as Part of Cardiovascular Care(2025年簡潔版臨床ガイダンス:心血管ケアの一環としての成人予防接種に関するACC専門家コンセンサス声明)」を作成し、「Journal of the American College of Cardiology」に8月26日公表した。声明では、心血管疾患患者が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、インフルエンザ、RSウイルス感染症などの一般的な感染症を予防するワクチンを接種することの重要性が強調されている。

健康的な食事と運動は飲酒による肝臓のダメージを抑制して死亡を減らす

医療一般

 ビール、ワイン、ウイスキーなどを楽しむなら、健康的な食事と運動を続けた方が良いかもしれない。飲酒は肝臓の障害による死亡リスクを高める一方、健康的な食事と運動によりそのリスクが低下することを示唆するデータが報告された。米インディアナ大学のNaga Chalasani氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Hepatology」に8月26日掲載された。  論文の上席著者である同氏は、「あらゆる飲酒パターンにおいて、質の高い食事や活発な身体活動の習慣が、肝臓関連死亡リスクの低下と関連していることが分かった」と述べている。なお、米国では成人の半数以上(53%)が習慣的に飲酒し、毎年約17万8,000人が大量飲酒により死亡しているという。

GLP-1RAが2型糖尿病患者のGERDリスク増大と関連

医療一般

 2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の処方が、胃食道逆流症(GERD)のリスク増大と関連していることを示すデータが報告された。GLP-1RAが処方されている患者では、SGLT2阻害薬(SGLT2i)が処方されている患者に比べて、GERDおよびGERDに伴う合併症の発症が有意に多く認められるという。全南大学校(韓国)のYunha Noh氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月15日掲載された。  2型糖尿病および肥満の治療薬であるGLP-1RAは胃排出遅延作用を有しており、これが血糖上昇抑制や食欲低下に部分的に関与していると考えられている。しかし一方でこの作用は、理論的にはGERDのリスクとなり得る。とはいえ、GLP-1RAの処方とGERDとの関連を示す大規模な研究に基づくエビデンスは十分ではないことから、Noh氏らは英国の臨床データベース(Clinical Practice Research Datalink)を用いて、SGLT2iを実薬対照とするターゲット試験エミュレーション研究を実施し、GERDおよびGERD関連合併症の発症リスクを比較した。

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