AI診断支援とImplementation:TRICORDER試験(解説:香坂俊氏)
CLEAR!ジャーナル四天王
前回の稿では、外傷診療におけるImplementation Science(実装科学)という考え方を取り上げた。今回は、AI診断支援技術の実装を検証したTRICORDER試験についてご依頼をいただいたので、循環器診療の現場に引き寄せながら、少し考えてみたい。TRICORDER試験で扱われたのはAI聴診器である。心不全、心房細動、弁膜症といった循環器疾患を、日常診療の中で早く拾い上げるための支援技術として、非常に魅力的で、ある意味自然な発想である。しかし、この試験のintention-to-treat解析では、これらの疾患の新規診断は有意には増加せず、心不全診断の場も地域診療側へはシフトしなかった。