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2025-02-24 ~ 2025-03-02

2025/02/28

血栓溶解療法なしの急性期脳梗塞、nerinetideの有用性は?/Lancet

ジャーナル四天王

 シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドであるnerinetideは、発症後12時間以内の急性期虚血性脳卒中患者において良好な機能的アウトカムの達成割合を改善しなかった。重篤な有害事象との関連はみられなかった。カナダ・カルガリー大学のMichael D. Hill氏らが、カナダ、米国、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スイス、オーストラリア、シンガポールの77施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ESCAPE-NEXT試験」の結果を報告した。先行のESCAPE-NA1試験で、nerinetideは静脈内血栓溶解療法の非併用集団において機能的アウトカムの改善と関連していたが、血栓溶解療法との併用における有益性は確認されていなかった。

臨床意思決定支援システム、不適切な画像診断依頼を減らせず/JAMA

ジャーナル四天王

 臨床意思決定支援システム(CDSS)を導入しても、大学病院における医師による不適切な画像診断依頼の数は減少しなかった。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのStijntje W. Dijk氏らが、CDSSとしての欧州放射線学会(ESR)iGuideの導入が医師の画像検査発注行動の適切性に与える影響を評価する目的で実施したクラスター無作為化臨床試験「Medical Imaging Decision And Support trial:MIDAS試験」の結果を報告した。医療画像診断が広く使用されていることを考慮すると、適切性を向上させるための介入の有効性を評価することは、医療資源と患者のアウトカムの最適化において非常に重要とされる。JAMA誌オンライン版2025年2月10日号掲載の報告。

高齢透析患者のHb値と死亡の関連、栄養状態で異なる可能性/奈良県立医科大

医療一般

 血液透析を受けている患者における最適なヘモグロビン(Hb)値は依然として議論が続いている。今回、日本における高齢の透析患者では、Hb値と死亡と関連は栄養状態によって異なり、栄養リスクの低い群ではHb値が10.0g/dL未満および13.0g/dL以上の場合に死亡リスクが増大したが、栄養リスクの高い群ではHb値が死亡に与える影響は弱まったため、栄養不良の高齢患者では貧血管理よりも栄養管理を優先する必要があることを、奈良県立医科大学の孤杉 公啓氏らが明らかにした。Journal of Renal Nutrition誌オンライン版2025年1月24日号掲載の報告。

「DNAR」を説明できますか?高齢者救急について日本救急医学会が提言

医療一般

 日本救急医学会では、高齢者救急に関連する学会・団体と共同で、⾼齢者が救急医療を必要としたときに適切で意に沿った医療を受けることができ、その後も納得できる暮らし⽅を選ぶことができるようにすることを目的として、「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」を策定、2025年2月号の学会雑誌に掲載した。医療・福祉従事者のほか、市民、施設職員、救急隊員などそれぞれの立場に向けて提言を提示している。また、高齢者救急に関する用語が正しく使用されていない状況があることから、臨床現場で正しく使⽤されるようになることを目的として、「高齢者救急に関する用語の統一概念」が策定された。

COVID-19が日本の精神科医療に及ぼした影響

医療一般

 COVID-19パンデミック中、日本では他の多くの国とは対照的に自殺が増加した。北海道大学の阿部 計大氏らは、COVID-19パンデミック中の日本における精神疾患患者の外来および入院治療へのアクセスが維持されていたかどうかを調査した。Social Science & Medicine誌2025年2月号の報告。  日本の急性期病院242施設のデータを用いて、COVID-19前後(2015〜19年vs.2020年)の精神疾患患者の精神科入院を比較するため、ポアソン回帰による差分分析を行った。2020年4月の日本政府による緊急事態宣言を外生的ショックとみなした。主要アウトカムには、統合失調症、気分障害、不安症、認知症、アルコール関連疾患の入院患者数および入院した外来患者数を含めた。

脊髄刺激療法が脊髄性筋萎縮症患者の筋力回復を促す

医療一般

 脊髄の硬膜外腔に挿入した電極を通して電気刺激を与える脊髄刺激療法が、脊髄性筋萎縮症(SMA)患者の筋肉の機能回復を促し、運動機能の強化や歩行機能の改善につながる可能性のあることが、新たな研究で示された。SMAは徐々に筋力が低下する遺伝性疾患の一つだが、1カ月間の小規模な予備的研究で、3人のSMAの成人にデバイスを植え込んで微弱電流で脊髄を刺激したところ、予想外の改善が認められたという。米ピッツバーグ大学のMarco Capogrosso氏らによるこの研究は、「Nature Medicine」に2月5日掲載された。

血液検査で大腸がんを正確に検出/ASCO-GI

医療一般

 実験的な血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査により、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人において、大腸がんを効果的に検出できることが示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のAasma Shaukat氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23〜25日、米サンフランシスコ)で発表された。Shaukat氏は、「このような血液検査は、大腸がんのスクリーニング検査の受診率を高めるのに役立つ可能性がある」と述べている。  現状では、大腸がんのスクリーニング検査のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査であるが、この検査では事前に下剤服用や食事調整などの準備が必要な上に、検査時には麻酔や鎮静薬を使用する。便中の血液の有無を調べる便潜血検査も大腸がんのスクリーニングに用いられるが、現在のガイドラインでは毎年の検査実施が必要である。こうした現状を踏まえてShaukat氏は、「便利で安全、かつ実施も容易な新たな大腸がんスクリーニング検査の手段が求められている」と話す。

2025/02/27

世界初、遺伝子編集ブタ腎臓の異種移植は成功か/NEJM

ジャーナル四天王

 米国・マサチューセッツ総合病院の河合 達郎氏らは、遺伝子編集ブタ腎臓をヒトへ移植した世界初の症例について報告した。症例は、62歳男性で、2型糖尿病による末期腎不全のため69の遺伝子編集が施されたブタ腎臓が移植された。移植された腎臓は直ちに機能し、クレアチニン値は速やかに低下して透析は不要となった。しかし、腎機能は維持されていたものの、移植から52日目に、予期しない心臓突然死を来した。剖検では、重度の冠動脈疾患と心室の瘢痕化が認められたが、明らかな移植腎の拒絶反応は認められなかった。著者は、「今回の結果は、末期腎不全患者への移植アクセスを拡大するため、遺伝子編集ブタ腎臓異種移植の臨床応用を支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2025年2月7日号掲載の報告。

米国、中絶禁止法施行の州で乳児死亡率が上昇/JAMA

ジャーナル四天王

 米国において中絶禁止法を導入した州では、施行後の乳児死亡率が、施行前の乳児死亡率に基づく予測値と比べて上昇したことが明らかにされた。乳児死亡の相対増加率は、先天異常による死亡で大きく、黒人や南部の州などベースラインの乳児死亡率が平均より高い集団でも大きかったという。米国・ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のAlison Gemmill氏らが報告した。最近の中絶禁止法の施行が乳児死亡率に及ぼす影響については十分に理解されておらず、また、中絶禁止法が乳幼児の健康における人種的・民族的格差とどのように相互作用するかについてはエビデンスが限られていた。JAMA誌オンライン版2025年2月13日号掲載の報告。

抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ、再発難治性濾胞性リンパ腫に適応拡大の承認を取得/ジェンマブ

医療一般

 ジェンマブ株式会社は2025年2月20日、抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ)について、2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より取得した。  今回の承認はRR FLを含む成熟B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象に、エプコリタマブ単剤の安全性および有効性を評価した海外非盲検多施設共同第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験)と国内第I/II相臨床試験(EPCORE NHL3/GCT3013-04試験)等の結果に基づいている。

朝食の習慣や質と抑うつ症状との関連

医療一般

 朝食は、1日で最も重要な食事とみなされることが多く、身体的および精神的健康に影響を与えると考えられる。多くの研究では、朝食を抜くことがうつ病に及ぼす影響に焦点が当てられているが、朝食の質や朝食時間について調査した研究はほとんどない。中国・西安交通大学のMengzi Sun氏らは、朝食習慣および朝食の質と抑うつ症状との関連性を調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年1月23日号の報告。  対象は、2007〜18年の全国健康栄養調査(NHANES)の20歳以上の参加者2万3,839人。朝食習慣は、24時間食事回想法を2回実施して評価した。朝食摂取の有無とその時間を記録した。朝食の質を評価するため、朝食の質スコア(BQS)を算出した。抑うつ症状の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。関連性の評価には、バイナリロジスティック回帰を用いた。  主な結果は以下のとおり。

乳がん発見のためのWGSを用いたctDNAアッセイ

医療一般

 乳がんにおいて、全ゲノムシークエンス(WGS)を用いた循環腫瘍DNA(ctDNA)アッセイにより、ベースライン時および追跡調査時の検出が改善され、臨床的な再発診断までの期間(リードタイム)が長くなることが、英国・The Institute of Cancer ResearchのIsaac Garcia-Murillas氏らによる後ろ向き研究で示唆された。Annals of Oncology誌オンライン版2025年2月4日号に掲載。

拡大中のコロナ変異株LP.8.1のウイルス学的特性/東大医科研

医療一般

 2025年2月現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のJN.1の子孫株であるXEC株による感染拡大が主流となっており、さらに同じくJN.1系統のKP.3.1.1株の子孫株であるLP.8.1株が急速に流行を拡大している。東京大学医科学研究所システムウイルス学分野の佐藤 佳氏が主宰する研究コンソーシアム「G2P-Japan(The Genotype to Phenotype Japan)」は、LP.8.1の流行動態や免疫抵抗性等のウイルス学的特性について調査結果を発表した。LP.8.1は世界各地で流行拡大しつつあり、2025年2月5日に世界保健機関(WHO)により「監視下の変異株(VUM:currently circulating variants under monitoring)」に分類された。本結果はThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2025年2月10日号に掲載された。

出血リスクを比較、NOACs vs.アスピリン~9試験のメタ解析

医療一般

 新規経口抗凝固薬(NOAC)とアスピリンは広く用いられているが、出血リスクの比較に関するデータは限られている。そこで、カナダ・マクマスター大学のMichael Ke Wang氏らの研究グループは、NOACとアスピリンを比較した無作為化比較試験(RCT)について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、出血リスクを評価した。その結果、アピキサバンとダビガトランはアスピリンと比較して出血リスクを上昇させなかったが、リバーロキサバンは上昇させる可能性が示唆された。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2025年2月11日号に掲載された。

2025/02/26

新たな慢性血栓症、VITT様血栓性モノクローナル免疫グロブリン血症の特徴/MEJM

ジャーナル四天王

 ワクチン起因性免疫性血小板減少症/血栓症(またはワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症、VITT)は、血小板第4因子(PF4)を標的とする抗体と関連し、ヘパリン非依存性であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンまたはアデノウイルス感染によって誘発される急性の血栓症を特徴とする。オーストラリア・Flinders UniversityのJing Jing Wang氏らの研究チームは、VITT様抗体と関連する慢性的な血栓形成促進性の病態を呈する患者5例(新規症例4例、インデックス症例1例)について解析し、新たな疾患概念として「VITT様血栓性モノクローナル免疫グロブリン血症(VITT-like monoclonal gammopathy of thrombotic significance:VITT-like MGTS)」を提唱するとともに、本症の治療では抗凝固療法だけでなく他の治療戦略が必要であることを示した。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2025年2月12日号に短報として掲載された。本研究は、カナダ保健研究機構(CIHR)などの助成を受けた。

非代償性肝硬変、スタチン+抗菌薬併用療法は有効か/JAMA

ジャーナル四天王

 スタチンは肝硬変患者の門脈圧を低下させ、肝硬変合併症のリスクを軽減し、生存期間を延長する可能性が示唆されており、広域スペクトル抗菌薬であるリファキシミンは肝性脳症の再発リスクを低下させ、肝硬変患者にみられる腸内細菌叢の顕著な異常を改善することが知られている。スペイン・バルセロナ病院のElisa Pose氏らLIVERHOPE Consortiumは、「LIVERHOPE試験」において、非代償性肝硬変患者の慢性肝不全の急性増悪(acute-on-chronic liver failure:ACLF)の予防では、プラセボと比較してシンバスタチン+リファキシミンの併用療法はその発生率を抑制せず、肝硬変の合併症や有害事象の頻度は同程度であることを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2025年2月5日号で報告された。

アテゾリズマブ、胞巣状軟部肉腫に適応追加/中外

医療一般

 中外製薬株は、2025年2月20日、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)について、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対する適応追加承認を取得したと発表。  今回の承認は、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対するアテゾリズマブの有効性および安全性を評価した国内第II相臨床試験であるALBERT試験、および米国国立がん研究所主導の海外第II相臨床試験の成績に基づいている。

医薬品供給不足の現在とその原因は複雑/日医

医療一般

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、「医薬品供給等の最近の状況」をテーマに、メディア懇談会を2月19日に開催した。懇談会では、一般のマスメディアを対象に現在問題となっている医薬品の安定供給の滞りの原因と経過、そして、今後の政府への要望などを説明した。  はじめに松本氏が挨拶し、「2020年夏頃より医薬品供給などに問題が生じてきたが、4年経過しても解決していない。後発医薬品だけではない、全体的な問題であり、その解消に向けて医師会も政府などに要望してきた。複合的な問題であるが、早く解消され、安心・安全な医薬品がきちんと医師、患者さんに届くことを望む」と語った。

統合失調症の陰性症状に対する抗精神病薬+スルフォラファンの有用性

医療一般

 統合失調症の陰性症状に対する確立された治療法はほとんどなく、多くの患者では、陽性症状軽減後も陰性症状が持続している。酸化ストレス、炎症、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)に関わるエピジェネティックな変化は、統合失調症の病態生理と関連していると考えられている。中国・中南大学湘雅二医院のJing Huang氏らは、統合失調症の陰性症状軽減に対する抗酸化作用を有するHDAC阻害薬であるスルフォラファンの有効性を評価するため、24週間の二重盲検プラセボ対照試験を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年1月20日号の報告。

日本の乳がん統計、患者特性・病理・治療の最新データ

医療一般

 2022年にNCD(National Clinical Database)乳がん登録に登録された日本国内1,339施設の乳がん症例10万2,453例の人口学的・臨床病理学的特徴を、兵庫医科大学の永橋 昌幸氏らがBreast Cancer誌2025年3月号に報告した。  日本乳癌学会では1975年に乳がん登録制度(Breast Cancer Registry)を開始し、2012年からはNCD乳がん登録のプラットフォームへ移管された。NCDに参加する医療機関で新たに乳がんと診断された患者は、乳房手術の有無にかかわらず登録対象となっており、2012~21年の10年間で累計89万2,021例が登録されている。

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