【第56回日本リウマチ学会】 新規TNF抗体の患者QOLに与える影響 ~迅速かつ持続的な改善~

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/11

 



2012年4月26日~28日に第56回日本リウマチ学会総会・学術集会が品川で開催された。その中で開発中のTNF抗体「セルトリズマブペゴル(以下CZP)」の日本での臨床試験(HIKARI試験、J-RAPID試験)の患者QOL改善効果に関する解析結果が東京女子医科大学 山中寿氏によって報告された。

日本国内で実施された第III相臨床試験のHIKARI試験は、メトトレキサート(MTX)を投与できない日本人関節リウマチ患者230例を対象に実施され、CZP群はプラセボ群と比較して症状、疼痛、身体機能(HAQ-DI*)、健康関連QOLを有意に改善することが示された。

また、第II/III相臨床試験のJ-RAPID試験は、MTXで効果不十分な日本人関節リウマチ患者316例を対象に実施され、CZP+MTX群ではプラセボ+MTX群と比較して、HIKARI試験と同様、症状、疼痛、HAQ-DI、健康関連QOLを有意に改善することが示された。なお、本報告はQOLに関する解析結果であったため、CZPの安全性については言及されず、今後の報告が待たれる。

山中氏は「CZPは、HIKARI試験とJ-RAPID試験において、投与1週目より速やかなHAQ-DI、ACR20**の改善がみられ、試験期間の24週間に及ぶ効果持続性の高さも示された」とまとめた。

なお、両試験は2011年11月にシカゴで開催された第75回米国リウマチ学会議(ACR)において、有効性と安全性が発表された。それを受けて本剤は2012年1月に日本において製造販売承認申請が行われており、今後が期待される薬剤である。

*HAQ-DI 
日常動作20項目について患者記入式質問票により評価を行い、機能障害指数を算出したもの

**ACR20 
米国リウマチ学会(ACR)による関節リウマチの臨床的改善を評価する指標で、20%以上の改善がみられた患者の割合

(ケアネット 森 幸子)