進行胃がん治療におけるベバシズマブのバイオマーカーの検討:無作為化第III相試験(AVAGAST)での評価

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/11

 



進行胃がんの1stライン治療において、ベバシズマブ(商品名:アバスチン、胃がんには未承認)を化学療法と併用する場合の転帰を予測するバイオマーカーとして、血漿VEGF-Aと腫瘍neuropilin-1が候補となることが、5月7日付Journal of Clinical Oncology誌オンライン速報版に掲載された。これは、未治療の局所進行または転移性胃がん患者における、化学療法へのベバシズマブ併用の有用性を検討した無作為化第III相試験であるAVAGASTにおいて評価されたもの。Eric Van Cutsemらが報告した。

本試験では、ベバシズマブ併用群(n = 387)またはプラセボ群(n = 387)に無作為に割り当て、治療開始時、血漿サンプルを712例(92%)から、腫瘍組織サンプルを727例(94%)から採取した。なお、事前にバイオマーカーとして、血漿中の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)-A、neuropilin-1、VEGF受容体(VEGFR)-1およびVEGFR-2が指定されていた。

主な結果は以下の通り。

・投与開始時における血漿VEGF-A値および腫瘍neuropilin-1の発現は、ベバシズマブの有効性の予測因子として同定された。
・投与開始時に血漿VEGF-Aが高値の患者の全生存率(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.57~0.93)は、低値の患者(HR:1.01、95%CI:0.77~1.31)に比べて改善傾向が認められた(interaction p = 0.07)。
・neuropilin-1発現が低い患者の全生存率(HR:0.75、95%CI:0.59~0.97)は、高い患者(HR:1.07、95%CI:0.81~1.40)に比べて改善傾向が認められた(interaction p = 0.06)。
・サブグループ解析において、アジア地域以外の患者でのみ、両バイオマーカーの有意性が示された。