2型糖尿病のスクリーニングにおいて、空腹時血糖値(FPG)単独、またはHbA1c値単独、あるいはその両方の測定、のいずれが有用かを比較検討した後ろ向きコホート研究の結果が発表された。帝京大学の野村氏らにより、PLos One誌(2012年4月27日付)に報告された。 対象は、ベースライン時点で糖尿病を発症していない19歳~69歳の9,322名の日本人成人(男性:4,786名、女性:4,536名)。有用性は、予測値(PV)、感度、特異性、最大カットオフ値における最大ROC曲線下面積(AUROC)により評価した。
その結果、FPGが一般集団で糖尿病を予測するために最も有用であることが明らかとなった。しかし、FPGが6.1~6.9 mmol /Lの被験者群では、FPGの有用性は低かった。また、女性ではHbA1c値が糖尿病予測に最も有用であったのに対し、男性はFPGとHbA1c値の診断能に区別がなかった。このことから、糖尿病発症予測においては、FPGとHbA1c値の両方を測定しておく方が有用である可能性が示された。
主な結果は以下のとおり。
・フォローアップ期間は平均6年
・期間中、男性221名(4.6%)と女性92名(2%)が糖尿病を発症した。
・FPGではカットオフ値(男性5.67 mmol / L、女性5.5 mmol / L)において、最大のAUROC、PV(男性13%、女性9%)を得た。
・FPGが6.1~6.9 mmol / Lであるハイリスク群において、男性119人(26.8%)、女性39人(28.3%)が糖尿病を発症した。
・男性ではFPGとHbA1c値の診断能に区別がなかった。
・女性ではHbA1c値が最も有用であった。
(ケアネット 佐藤 寿美)