Handler MZ氏らは、ヒト成長ホルモン(HGH)療法を利用した夫婦がともに使用開始3ヵ月後にメラノーマを発症した例を報告した。これまでにHGHあるいはインスリン様成長因子-1(IGF-1)が、種々のがんの悪性転化や進行を担うことは示されている。また、HGHはメラノーマの病因に結びついていることでも知られ、良性、悪性を問わずメラニン細胞の臨床的増殖を手助けする効果が示唆されている。著者は、「それにもかかわらず、HGH療法を追跡しメラノーマのリスク増大を示した決定的な研究は行われていない。一方で、HGHとその他ホルモン剤の併用あるいは照射を受けた後で、メラノーマを発症した症例報告が現にある」と述べ、「外因性HGHの真のリスクが判定されるまで、その使用のサーベイを強化すべきである」と結んでいる。Arch Dermatol誌2012年10月1日号の掲載報告。
アンチエイジング法として外因性HGHの使用が増大
HGHを使用し、ともにメラノーマが診断された夫婦の例を報告した。
主な結果は以下のとおり。
・患者は新規の黒色調丘疹を有した49歳白人男性で、メラノーマと診断された。
・彼は診断前3ヵ月間、HGHを利用していたことを報告した。
・彼の妻(51歳白人女性)も3ヵ月間、外因性HGHを使用しており、2週間前にメラノーマ発症の診断を受けていた。
・短期間にメラノーマを発症した非血縁の2人を結びつけることとして、共通の環境要因(HGHあるいはその他の共有曝露)が関与していると仮定するのは妥当なことである。
・アンチエイジング法として外因性HGHの使用が増大しているため、このホルモンの成長促進効果を認識することは重要である。
・外因性HGHの真のリスクを判定したデータが入手できるまで、そのアンチエイジング剤としての使用についてサーベイを強化する価値がある。
(ケアネット)